“偏屈”とは…稲垣吾郎演じる最強のツンデレ弁護士登場!1話の流れを総復習<リーガルビート>

“偏屈”とは…稲垣吾郎演じる最強のツンデレ弁護士登場!1話の流れを総復習<リーガルビート>

雪村明日実役の小雪、星秀幸役の稲垣吾郎(「リーガルビート」第1話場面カット)
雪村明日実役の小雪、星秀幸役の稲垣吾郎(「リーガルビート」第1話場面カット) / (C)「リーガルビート -逆転の法廷-」製作委員会

鈴鹿央士が主演を務めるドラマ9「リーガルビート -逆転の法廷-」(毎週金曜夜9:00-9:54、テレビ東京ほか/Leminoほかにて配信)の第1話「卑劣なパワハラに逆転勝利!」が、7月24日に初回15分拡大SPで放送された。鈴鹿が演じる吃音の主人公・泰地空(たいち・そら)を迎え入れる弁護士事務所所長・雪村明日実役の小雪と、唯一の先輩弁護士として泰地の教育係となる星秀幸役の稲垣吾郎が、2008年1月期放送の「佐々木夫妻の仁義なき戦い」(TBS)以来18年ぶりに弁護士役で共演するということでも話題だ。今後の展開にも大きく関わるであろう2人のキャラクターの興味深い描写もあり、愛を込めたツッコミを入れつつ2話放送直前の復習として第1話ストーリーを細密にレビューする。(以下、ネタバレを含みます)

■完全オリジナル脚本の痛快逆転リーガルドラマ「リーガルビート -逆転の法廷-」

本作の主人公、新人弁護士・泰地は、吃音で満足に思いを伝えられず何度も悔しい思いをしてきたが、ラップのリズムに乗れば言いたいことを思いのまま話すことができるという特性を持っていた。そんな泰地が、慈善事業に精を出す雪村の法律事務所に拾われ、現実主義で偏屈な先輩弁護士・星とバディを組み現代社会の不寛容や政治家の闇に立ち向かっていくという、完全オリジナル脚本の痛快逆転リーガルドラマとなっている。

第1話のゲスト俳優として、相武紗季、河内大和、橋本淳らが出演した。

■吃音対応の基礎知識「落ち着いて、ゆっくりでいいからね」はNGだよ(by偏屈弁護士)

第1話は、ヘッドホンをした泰地のさわやかな独り言ラップからスタート。新発売のコンビニスイーツ「ふわっとシュガードーナツ」を食べたいようだが、今回もレジで吃ってしまって言えずに断念。失意の中、暗い表情の鈴原明子(相武)を見かけた泰地は、財布を落とした彼女を追いかける。

一方、雪村法律事務所には、読書をしながら初出勤の泰地を待つ星の姿が。時刻は10時10分。雪村に遅刻の連絡を入れたとはいえ、初出勤で遅刻をするという、なかなか勇気のある主人公ムーブを発揮する泰地。

ここの雪村と星の丁々発止のやりとりで、「(泰地は)司法試験に一発合格、司法修習も優秀な成績だそうよ」「君(雪村)が法廷に立たなくなった今…」「(勝率100%だうそぶく星は)“勝てる勝負しかしない”で有名なんだから」と、キャラクターの設定が明かされていくのが自然で心地よい。星と雪村は、同じく稲垣と小雪の演じた“佐々木夫妻”と違って夫婦ではないが、相性はかなり良さそう。

また、自己紹介をしようとする泰地の吃音も非常にリアルで自然。「落ち着いて、ゆっくりでいいからね?」と声がけする雪村に「所長、『落ち着いて、ゆっくりでいいからね』はNGだよ。プレッシャーを与えて逆効果になる」と助言する星。公式HPでは至るところに“偏屈な弁護士”と紹介されている星、確かにシニカルな物言いではあるのだが、偏屈どころかめちゃめちゃいい人では…?

偏屈な星は、泰地に向かって「厳しく指導していくからね」と宣言。「まずは僕のサポートに徹して仕事を覚えてもらうよ?少なくとも君の名前で仕事が舞い込むようになるまで…」と、偏屈に見えてとても常識的な内容を告げたところで、遅刻の原因となった鈴原の親族から泰地指名で依頼が。助ける際に名刺を示したことで、いつの間にか営業活動になっていたようだ。

■新人弁護士、介護離職&ビジネスケアラーに「そういうバイブス感じたんで…」

鈴原家に出張相談に行く星と泰地。依頼の電話をかけた叔父は、1年前に明子が受けた不当解雇で大手広告代理店を訴えたいと言うが、明子は自主退職だから訴える必要はないとやんわりと断る。

明子は当時、3年前に脳梗塞で倒れて言語障害と手足の麻痺が残った母の介護が必要という状況にあったという。早退や欠勤で同僚に迷惑を掛け、時短勤務や配置転換もさせてもらっていた上に、重要な企画コンペを飛ばしてしまったことでいたたまれなくなり、自ら退職を申し出たのだ。

唯一、叔父の証言する“妙な面談”には、パワハラや退職勧奨が疑われたが録音など客観的証拠はない。仮に訴えても勝ち目がなく「お節介はやめて」と叔父を止めた明子に帰るよう促されても、泰地は星を置いてわざわざ戻り、「もし本当に悔しくて戦う意志があるなら、我々は一緒に戦います」と必死に語りかける。

勝手な行動を諌める星に、泰地は「初めて会ったとき、彼女泣いていたんです。叫んでいるように見えた、助けてって…」とバイブスで感じた理由を、真剣に語る。

そんな泰地について、雪村から評価を問われた星は、「僕の右腕と呼ぶには程遠い」「弁護士は正義感と情熱だけでは務まらない」とバッサリ。しかし、それだけに留まらず、問うた雪村に対して「フォローが必要ならご自由に。ああいうタイプは、打たれ弱いから」と丁寧なパスまで出す。え、偏屈な弁護士、とは…?

一方、「あの子はそんなに軟(やわ)じゃないと思う」という雪村。タイプの違う弁護士2人の、「君が利益度外視の慈善活動をしている間、僕が堅実に稼いでいることを忘れないように」「もちろん!頼りにしてるわ、星くん」と、軽妙に互いを補い合うようなやりとりがかわいい。

■「行動力がエグめ」の新人弁護士、ついに依頼者の隠された本音を引き出す

所変わって、泰地の友人・MCチキン(前原瑞樹)の店。ラッパー同士のご機嫌なハンドサインで挨拶を交わした後、初出勤の話から、初めて会ったときの印象を語り出すMCチキン。「(緊張と吃音で)ひと言もしゃべれないのに、ラップ始めた途端ビシッと様になっていた、今は弁護士だ。エグいぜその行動力」とリズミカルに言われた泰地は、「自分にはまだやれることがある」と気付いた様子。

その翌朝、例のコンビニで明子を待ち伏せる泰地。…確かに、一歩間違えたらヤバいレベルで、行動力がエグい。

そして泰地は唐突に、「これ、あなたの広告ですよね」と語りかける。実は泰地が食べたがっていた「ふわっとシュガー」は、明子が最後に取り組み、コンペを飛ばすことになってしまった企画だった。明子の家で出張相談をしたとき、泰地はその広告プレゼン資料を見かけていたのだ。

「何か思うことがあるのでは?」と畳み掛ける泰地に、明子からついに本音が。「ありますよ。あるに決まっています!でも、会社は慈善事業じゃないし…」と、昔上司に言われた内容をまるっとそのまま自分で言う明子が悲しい。

泰地は、「理不尽に追い詰められて、不本意な退職をしたのなら、声を上げていい、僕はそう思います」と語り、ついに明子から会社の不当性を聞き出すことに成功。この日は10時ギリギリに事務所に到着し、雪村と「セーフ!」と喜び合う。かわいい。

そして、自らの吃音に重ね、「いろんな思いがうずまいているのに声が出ない、そういう人の声を拾うために弁護士になったんです」という泰地は、「そんなに肩入れしていたら身が持たないよ」と忠告する星に、「お願いしますやらせてください!」と訴える。

ここで入るBGMが、少しずつ事態が動き出すことを感じさせて、とてもいい感じ。「僕は勝てない勝負はしない…」と言って泰地を一瞬がっかりさせた星だが、「でも、依頼人が望むのなら仕方がない。やるからには必ず勝つよ」と乗っかる。

え、どこが偏屈なんだこの弁護士…!もはや“偏屈”の対立概念である、“柔軟性”や“包容力”すら感じさせる。

■やる気になった弁護士バディvs大手広告代理店、陰湿な不当解雇を裏付け

出来事の時系列や育児・介護休業法について、刑事ドラマっぽいホワイトボードで情報を整理する泰地たち。調べていくうちに、子育てで退職した元同僚・小坂麻衣(綾乃彩)が、「鈴原さんのためなら」と証言してくれることに。

そして小坂によって、明子に追い込み面談をしたのは、営業企画部長・稲本崇(橋本淳)であり、明子と真逆の、部下を駒としか見ていないようなタイプだと判明する。

迎えた統和企画労働訴訟第一回口頭弁論及び証人尋問。何と相手側の弁護士は、泰地が就活中に面接を受けた法律事務所の弁護士・氏家史郎(河内大和)。泰地が吃って言葉に詰まると、すかさず「何ですか?聞こえません」「質問の意図が不明です」と攻撃する。

隣から「…落ち着いて。新人だと思って動揺させようとしているだけだ。あ。今のは落ち着いてっていうのはプレッシャーを与えようと思って言っているわけじゃないからね」という星に「分かってますよ!いちいち気を使わないでください」とツッコむ泰地。星相手には大分スラスラと言葉が出ている。

一方、氏家は、再び言葉に詰まった泰地に向かい、半笑いで「落ち着いて?ゆっくりでいいですから」という純度100%のNGフレーズを重ね、その様子に傍聴席も笑い出す。第三者が笑うことにはそこまでの悪意がないと分かっていても、傍聴席で見守るMCチキンと、「週刊スクープ」記者・三戸晴生(伊藤万理華)は居心地が悪そう。

■時短勤務にしてもらっても仕事量が同等以上なら有名無実の配慮

たっぷり数分間、CMを挟んでもなおまだ言葉が出ない泰地を見かねて、星が「質問を続けます」と挙手してバトンタッチ。

時短勤務の明子に、敢えて重要な企画コンペを任せて仕事量を増やし、予備として水面下で別のチームにも取り組ませていた稲本。それは、明子の介護と仕事の両立を困難にさせ、自主退職へと追い込むことが目的だったのではないかと星に問われるも、当然ながら否定する。

しかし元同僚・小坂が証言台に立ち、星たちの推測が正しかったことが裏付けられたばかりか、配置転換を希望した明子の周囲を、稲本部長のチームで固めて孤立させ、逆にやりづらくさせていたことも明らかに。

だが、氏家も負けていない。当時、明子には引き抜きの話があったことを突き止め、転職をするために自主退職しただけではないかと問い詰める。証拠は、小坂とその同期数名が交わしたチャットのログや、彼女を引き抜こうとした会社の人事担当者から得た面接日程のメールだった。

ここで星が「異議あり。新たな証拠についてこちらは把握しておらず、このまま尋問を続けるのは不当です。事実確認のため、期日を改めさせてください」として一旦閉廷に。

泰地は「すみませんでした、上手くできなくて」と明子に謝罪するが、明子は「こちらこそ。在職中は転職なんて考えていなかった…考えていたら部下に話しませんから。会社が引き抜きの件まで知ってると思っていなくて。伝えておくべきでした」と詫びる。

■小雪と河内大和、笑顔で高度な嫌味の応酬がむしろ気持ちよいレベル

一方、外で待つ雪村の前に被告側弁護士の氏家が現れ、お互い笑顔で嫌味の応酬が始まる。

「お宅の博愛精神には頭が下がりますよ。どこも雇わなかった彼(泰地)を拾って、法廷に立たせてあげるんですから」「彼もきっと喜んでます。あなたのような意地の悪い弁護士のいる事務所に入らずに済んで」「はっはは…手厳しい。あなたが法廷に立ったほうがいいんじゃないですか?まだ一応、弁護士資格はあるんでしょ?」「ご忠告どうも。大きなお世話です」「では失礼!」

と、氏家が去った後、「チッ」と舌打ち、「あ~ムカつく!」と地団駄を踏む姿もどこかさわやか。小雪演じる雪村のキャラクター性がとてもよい。

一方、稲本は廊下で思い悩む明子を見かけ、何故か話しかけに行こうとするが、統和企画常務・小早川克久(岸田真弥)に「稲本く~ん!ハハハ、面倒な役割をすまないねえ、社長にもよく言っておくよ」と割って入られ、不発に終わる。

稲本は常務に向かい、「ありがとうございます」と応じながら、自身の右腕を左手でぎゅっと強く抑え込んむ。その拳のバイブスに遠くから見ていた泰地は気づいている点はさすがだ。

■“お荷物だ”という負の感情の連鎖…介護の現実を、相武紗季の名演で

明子の自宅介護を手伝いながら、「稲本さんは会社の同期ですよね」とあらためて確認する泰地。

かつて広告代理店でバリバリ働き、深夜のデスクで栄養ドリンクの乾杯をする明子と稲本の姿がインサートされる中、「だから、彼を責める気にはなれないんです。立場もあるだろうし。ただ、本当のことを話してほしかった…」と明子。

「同僚に迷惑かけて、責任感じて。終わらない仕事を家に持ち帰って、でも母の世話でそれもできなくて…。私、思ってた。母さえいなければって。会社にお荷物扱いされているみたいでつらかった。でも、私だって、母を同じように思っていたんです」と告白する。

女手一つ、何をするにも娘優先で育ててくれた母だから、自分で介護すると決めたのに、揺らぐ心。

泰地は「小坂さんは鈴原さんに感謝していました。会社は助け合いだから、もっと頼っていい、その言葉に救われたって。1人で抱え込まなくてもいいんじゃないでしょうか」と伝える。

■偏屈エリート弁護士はお勉強熱心&所長はサイファーで弁護士をスカウトしていた

明子を引き抜こうとしたノクターンコンサルティング人事部採用担当・岩下弘也(守谷勇人)を訪ねる泰地と星。「勧誘は違法じゃないですよね」と構える岩下に経緯を尋ねると、「統和企画の優秀な社員が転職を考えているって聞いて」「とあるビジネスセミナーで出会った人なんですが、名刺を切らしているとかで名前は分からなくて」と、不自然な情報提供があったことが示唆される。

明子の詳しい経歴も匿名で送られており、その時期も含めて、引き抜き自体が会社の仕込みの可能性もあると推測する星。

雪村は泰地に「次も法廷弁護する?」と軽い調子で尋ねるが、「僕がやろう。そのほうが勝率が高い」と星。「それでいいの?」と問われた泰地は、しばらく逡巡した後、「それが鈴原さんにとって一番いいと思います」と笑顔で言い切り去っていく。依頼者の利益と自己実現をちゃんと分けて考え、正しく優先順位をつけられる、いい若者だ。

そんな泰地について残された2人が語り合う。「弁護士が向いていないとは言わない、でも瞬発力と対話力が物を言う法廷弁護は彼には無理だ」「そう思うなら本人に言えば?」「だいたいうちは募集もかけていないのに。どこで見つけてきたんだ」というやりとりで、雪村が泰地をスカウトした状況が明らかになる。

曰く、「たまたま見かけたのよ、公園でサイファーやっているところ」「ラップよ。ラッパーが輪になって、フリースタイルラップを競い合う集まり。弁護士バッジをつけてラップしてる面白い子がいるな~って思って、思わず声をかけたの。楽しそうに笑っていたけど、就活は全滅だったらしくてね」。

「いろんな苦労をしてきたみたいだけど、だからこそあの明るさがあるんでしょうね」という雪村。「法律で人は救えない。声を上げても救えるとは限らない。でもあの子が弁護士になったら、もう一度法曹界に期待できるような気がしたのよね」と、法廷に立つことをやめてしまった彼女にも、何か抱えるものがある様子。

星は「興味ないね」と吐息混じりに切り捨てるが、雪村は「またまた~?こんな本読んでるくせに?」と、星が冒頭でも読んでいたカバーを掛けた本が『吃音のことがよくわかる本 菊池良和監修(講談社)』であることを暴露。ちなみにこれは実在する本で、著者の菊池良和氏は本作の吃音監修・宮里周太氏のドラマ告知ポストをリポストしていた。

「お勉強熱心な星くんらしいわ」という雪村に、「一応情報として入れておいただけだ」と星。うーん、偏屈って、何だっけ…優しいってことだっけ?

■ラッパー弁護士、調査メモでも韻を踏んでいた…思考自体が音の連想方式なのかも

事務所の屋上で調査ノートを見ながら、これまでのすべての情報を脳内でリフレインさせる泰地。彼がヘッドホンをすると周囲の音がミュートされ、クラシック音楽をアレンジしたようなラップのベース音が流れる。こうした演出過程のためか、急にラップをされても自然に受け入れやすい。

録画を見返していて気付いたが、泰地の調査ノートは、普通にメモった重要なワードの周囲に、同じような韻を持つワードが並べられている。ふざけているわけではなく、そうすることで次の可能性へと思考を展開させているようだ。だから、ただ単に「得意だからラップなら自然に歌える」というわけではなく、きっと普段の思考回路からして“韻”をきっかけに連想していく方式の人なのだ。

そうしてラップで状況を整理して、1つヒントを得た泰地の背後には、いつの間にか星がいて、そのパフォーマンスをガッツリ鑑賞していた様子。「言葉、スラスラ言えているじゃない」「ラップしているときは吃音出ないんですよ」「歌なら詰まらずに言葉が出ると聞いたことがある」という会話を経て、「…前から思っていたんですけど、何でそんなに詳しいんですか吃音のこと」と訝しがる泰地。

マズい、雪村の言う“お勉強熱心な星くん”が泰地にもバレてしまう…!と全視聴者が思ったところで、「そんなこと、どうでもいいだろ」と、これ以上なく分かりやすい“ツンデレ”ムーブをする星。

そんなツンデレ弁護士は、「人脈づくりのためにビジネスパーソンの集まる会合によく顔を出す」ため、岩下が明子の情報を得たビジネスセミナーの主催者とも知り合いだった。「まだやれることはありそうだ」「僕もちょっと調べたいことが!」と、やる気を出す先輩後輩弁護士バディ。

■「ここは法廷じゃなくサイファー、やるのは尋問じゃなくてバトル」…名フロー爆誕

そして始まる第二回口頭弁論及び証人尋問。

「原告代理人、証人尋問を始めてください」と言われても動かない星に焦る泰地。しかし星は悠然と、「泰地、君に任せる。ここを法廷だと思うな。法廷じゃなくてサイファー。尋問じゃなくてバトル。そう思ってやってみるんだ」と、急にまさかと思うほどパンチの効いたフローを生み出す。

覚悟を決めた泰地は、原告の母・貴子(瀧マキ)の「あなたのフォローで周りが大変、あなたに合うのは別の会社」「時短勤務になった」「新しいチームで話す人もなく」と書かれた日記を、“妙な面談”のパワハラ性を裏付ける証拠として提示。少しリズムに乗り始めている。

稲本にその意図はなかったと否定されると、一旦引き下がり、岩下との面識を問い正す泰地。星が得たビジネスセミナーでの写真には、稲本と岩下の2ショットがあった。

これを受け、氏家弁護士は作戦を変更。引き抜き工作を「彼(稲本)が個人的にやったことだ」、パワハラ面談も「上司として未熟だっただけで、会社による不当な退職勧奨を証明するものではない」ということにして、完全に稲本切り捨てモードに。

窮地に追い込まれるも、小早川常務の顔を伺いながらあくまで会社の駒としての立場を貫き「会社は関係ありません」という稲本に、泰地は「稲本さん、いいんですか?」と真っ直ぐ問いかける。

吃りそうになるたびに、氏家から意地悪く「落ち着いて、ゆっくりでいいですから」とからかわれながらも、一瞬の無音を経て、泰地の周囲の法廷が急に屋上のサイファーに変貌するエフェクト。

「本当はあなたはやりたくなかった。逆らえば自分が切り捨てられるんじゃないか。その恐怖から口を閉ざした」と急に韻を踏み出した弁論にざわめく法廷の中で、雪村法律事務所の2人と、傍聴席のMCチキンだけがニヤリと笑う。

■自分が言われた嫌な言葉を、自分の言葉として発してしまってきた人々の覚醒が胸熱

稲本の“戦友”としての明子の気持ちまでをも包含するラップ弁論に、ついに陥落する稲本。「今の会社にいたら彼女が潰される。せめて彼女には、もっと働きやすい会社を見つけてほしかった」と引き抜きを依頼したことを認めた。

泰地は、すかさず会社の意志や関与の有無を確認。やはり、デキる弁護士だ。すると稲本は、明子の異動願いを上に伝えたときの社長と常務の反応を供述し始める。

そして会社側の「時短勤務も介護休暇も認めてやってる。その上もっと楽したいから異動させろ?配慮配慮と求めすぎじゃないのかなぁ!」「会社は慈善事業じゃない。成果を出せない社員が多くを望むな」という言い分を暴露し、「彼女を自主退職に追い込めと、指示されました」と明言した。

そう、明子だけじゃなく、稲本も自分が言われた嫌な言葉を、自分の言葉として発していたのだ。泰地は「2030年には約4割がビジネスケアラーになる。個人の問題ではなく会社や社会全体で取り組むべき問題です」と語り、氏家の「和解の方向で検討したいと思います」との言葉を引き出した。

閉廷後、常務たちにぶら下がりコメントを求め、「絶対いい記事にする!」と息巻く三戸記者を背景に、「君にひどいことをした」と明子に頭を下げる稲本の姿が。

明子は「(会社に逆らって)大丈夫?後悔しない?」と心配するが、「限界だったんだ。ふへへ。すっきりしたよ~本当のことが言えて。あー、でもやばいな~。一から出直しだ」と、涙ぐみながらもいい笑顔。ここの、人生と覚悟を感じる橋本淳の泣き笑いに、涙腺をグッと押されてしまう。

そして「君も、このままじゃ終わらないだろ」とグータッチをして別れる2人の姿がかっこいい。そうだ、この人たち、ハイスペックのバリキャリだった。理不尽に負けず、かっこいいまま、生きてくれと願わずにはいられない。

泰地が明子に手渡した母の日記には、短冊に書ききれなかった七夕の日の願い事が。「明子が楽しく仕事ができますように」「明子が自由でいられますように」「明子が私のせいで苦しみませんように」「明子とまた旅行に行けますように」「明子と毎日笑いあえますように」――。

■弁護士、記者、政治家…全く違った立場から“声なき声”という同じワードが…

後日、和解金をもらい、いい介護施設も見つかったという明子から、就活を始めたという報告が。「泰地が“声なき声”を拾ったおかげかな」という雪村に、「何ですかそれ?」と反応する泰地。

雪村が「結構バズってるみたいよ」と見せたのは、三戸が書いたWEBニュース。そこには、「声なき声を拾う吃音ラッパー弁護士 法曹界を変える期待のニューホープ」という見出しと「斬新でエモーショナルな弁論が静かな注目を集めている」という書き出しが。

これを見て、まんざらでもない様子の泰地。演じる鈴鹿のキャラクター性も相まって、吃音で苦労したかもしれないけれど、ちゃんと愛されて育ってきたんだなあと感じる。

そこに我らが偏屈弁護士・星が登場。「浮かれるのは結構だが、今回はギリギリ勝てただけだ。僕の右腕を任せるからには、もっと精進してもらわないと」としっかり偏屈してみせるが、泰地は「これからもビシバシご指導お願いします!」と、完全に扱い方を覚えた対応。「ナイスコンビの誕生、なるぜ星の相棒!」とフローを奏で、雪村とハイタッチ…いい感じに2-1の構図になってきている。

「この際、はっきり言うが、僕はラップは苦手なんだ。音楽はクラシックしか聞かない」とハイタッチを拒否した星が読んでいた本。そのカバーを雪村が外すと、「サルでもわかるラップ入門 押田健介」の表紙がお目見え。うん、勉強熱心だなぁ。しかも、「【推しの子】」の有馬かな(CV.潘めぐみ/ツンデレで有名)と同じような「○○でもわかる」系の本を読んでいる…。

なお、調べてみたところこちらは非実在図書の模様。雪村はカバーをめくって表紙を自分(と視聴者)に見せただけで特に指摘をするようなウザ絡みはしない。いい温度感。その背後で、泰地は星にオススメのラッパーを教えてくれるらしい…誰だろう。気になる。

後日、念願の「ふわっとシュガー」を味わう泰地に駆け寄るムックこと椋井岳(夏生大湖)の姿が。泰地にラップを教えた人物ということで、こちらも今後掘り下げがありそう。

さらに場面は、人気政治家・村主功(すぐり・いさお/田中哲司)の講演会に。「日々、声なき声を拾う。それが我々政治家の務めなのです」と語る村主の後頭部ナメで映し出された客席最後列には、意味深な表情で拍手を彼に送る星の姿が…。と、いろいろ気になるところで、第2話へと続く。

◆文=坂戸希和美


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