虐待かも…葛藤の末に
ユウコの顔が、みるみるうちにこわばっていきました。それを見た途端「しまった」と思ったものの、時すでに遅しでした。
「……マキまで、私を責めるの?」
「責めたいわけじゃない。ただ、見ていて本当に心配になったの。あのままじゃ、ユウコも、ユウタくんも、つらいだけだと思う」
すると、ユウコの目にうっすら涙が浮かび、彼女は少し震える声で言いました。
「……あんたまで、私の頑張りを否定するの?誰にも頼れなくて、毎日寝る暇もなくて……。それでも育ててるんだよ、私は!」
私は何も言い返せませんでした。ユウコの怒りは、きっと悲鳴と紙一重だったのだと思います。
その日、私は家に帰って、ずっと考えていました。私はユウコの味方でいたい。でも、子どもを守ることを、見て見ぬふりしていいのか?私はこのまま「何もできなかった」ことにしてしまって、後悔しないだろうか。不妊治療で、子どもを持てるかどうかもわからない私。それでも、あの子の悲しい泣き声だけは、耳から離れない。そして――私は決意しました。
翌日、私は児童相談所に電話をかけました。どこに連絡すればいいのか、何を伝えればいいのかもわからないまま、震える声で「友人の子どもが……」と話し始めました。電話の向こうの女性――加藤さんは、私の話をていねいに聞いてくれました。私がどれだけ迷っていたか、どれだけ苦しんでいたか、それも含めてすべて受け止めてくれました。
「ご相談いただき、ありがとうございます。誰かが声を上げてくれることが、この子の未来を守ることにつながるんです」
その言葉に、私は救われるような気持ちがしました。私はただの部外者かもしれません。でも、それでも、やっぱり――見過ごすことはできなかったのです。
ユウコのツラさを汲み取り、どうするべきか悩んだマキ。ですが、このままではユウコもユウタくんもツラい状況が続くだけです。マキは意を決して、児童相談所へ電話をかけます。
もしも、身近な人の虐待行為に気づいたら、あなたならどうしますか?このあと、マキの通告がきっかけで、ユウコは児童相談所の職員と面談をすることに。そして、支援が必要だと判断されます。
ユウコは支援のおかげで、みるみると以前の明るさを取り戻します。友人を真剣に想い、勇気を出して行動したおかげで、一組の親子が救われました。家庭のことは外からは見えづらいため、どこまで部外者が介入するべきか悩みますが、適切な機関や専門家に相談することは、とても大切ですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ももこ
(配信元: ママリ)

