大学生のころ、男女数人のグループで海へ遊びに行ったことがあります。天気にも恵まれ、みんなで海に入ったり写真を撮ったりして、楽しい時間を過ごしていました。ところが帰る直前、友人のA子が突然席を立ち……。戻ってきた彼女は、どこか思い詰めたような表情を浮かべていたのです。
「ちょっとごめんね…」突然席を立った友人
その日は朝から、友人たちと海を満喫していました。たっぷり遊んだあとは海の家で休憩し、「このあと近くのお店でご飯を食べよう!」と盛り上がっていたときのことです。
それまで楽しそうに笑っていた友人のA子が、急に表情を曇らせました。
「ちょっとごめんね……」
そう言うと、そのまま席を立ってどこかへ行ってしまったのです。最初は「電話かな?」くらいに思っていました。しかし、10分、20分と時間が過ぎても戻ってきません。
「A子、遅くない?」と、みんなが心配し始めたころ、ようやくA子が戻ってきました。
私だけに打ち明けられたこと
戻ってきたA子はどこか元気がない様子で、さっきまでの笑顔はありません。
私が「大丈夫?」と声をかけると、A子は周りを気にしながら、「ちょっといい?」と私だけを少し離れた場所へ連れていきました。
そして、小さな声でこう聞いてきたのです。
「ねえ……ナプキン持ってる?」
話を聞くと、海で遊んだあとに急に生理が始まってしまったそうです。
予定日まではまだ日数があり、生理用品は持ってきていないとのこと。しかも水着を着ていたため、どうしたらいいのかわからず、トイレでひとり慌ててしまったそう。
ちょうど私も生理予定日が近かったため、念のためポーチにナプキンを入れていました。
「あるよ! 使って!」
そう答えると、A子は安心したように大きく息をつき、「本当に助かった……」と何度もお礼を言ってくれました。
その後は無事にみんなと合流し、予定通り食事を楽しむことができました。それ以来、私は外出するときにはナプキンをポーチに入れておくようにしています。自分のためだけでなく、あの日のA子のように困っている誰かの力になれるかもしれないと思ったからです。
ほんの少しの備えが、自分にも周りの人にも安心を与えてくれる――。あの日の出来事は、今でも私の心に残っています。
著者:田中千佳子/30代女性・元気いっぱいの男の子を育てている専業主婦です。趣味は映画鑑賞。
イラスト:ほや助
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年7月)
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