2歳の娘を育てながら専業主婦として暮らす凪(なぎさ)。仕事熱心な夫・圭太(けいた)は、家事や育児にも協力的で、2人は周囲から見れば理想的な夫婦でした。しかし、穏やかに見える夫婦の日常の裏で、圭太は凪の知らない秘密を抱えるようになっていたのです……。
つきまとい被害に遭っていた女性・ゆうきを助けたことをきっかけに、圭太は凪に隠れて彼女と連絡を取り合うようになりました。既婚であることは伏せたまま関係を深め、やがて一線を越えてしまった圭太。嘘を重ねる夫に、凪はこれまでにない違和感を覚え、何かを隠しているのではないかという疑いを募らせていきます。
前回、圭太は「残業で遅くなる」と偽り、その裏でゆうきの部屋を訪れていました。胸騒ぎを抑えきれない凪が夫の勤務先に電話をかけると、返ってきたのは「定時にあがられましたよ」という言葉。残業のはずの夫がとうに退社していたと知り、凪の予感は最悪の形で的中します。それでも確かな証拠をつかめないまま、凪は疑いと不安を抱えて圭太の帰りを待つことに。
深夜、帰宅した圭太を、凪は「おかえり、大変だったね」と気丈に迎えます。問い詰めたい思いをこらえながら、夫にビールをすすめ続ける凪。その胸の内には、確かめたい気持ちと、知るのが怖い気持ちがせめぎ合っていました。やがて訪れる「今しかない」という瞬間。圭太が熟睡したのです。
凪の手が、静かに圭太のスマホへと伸びていきます――。
「今しかない」夫のスマホを開いた結果























深夜1時をまわっても、凪は娘の隣で眠れずにいました。本当なら今すぐ圭太を問い詰めたい——そんな思いを抱えたまま、帰宅した圭太を迎えます。「おかえり、大変だったね」と残業だったことを信じたふりをしてねぎらい、疲れたでしょうとビールをすすめる凪。圭太は、凪のやさしさに触れるほど罪悪感でいっぱいになっていきます。
凪は疑いの気持ちをもちつつも、「そんな日もあるわよ」と穏やかにふるまい、夫にビールを勧め続けます。圭太がビールを飲めば熟睡することを、凪は知っていたのです。やがて夫がソファで深い眠りに落ちると、凪の胸に「今しかない」という決意がよぎります。
震える手で圭太のスマホを手に取った凪は、ロック解除に成功。「たちばな」という名前のトーク画面を探し当てます。
「見ない方がいい? 知らないままの方が……」と、指先は激しくためらいました。それでも凪は、画面を開いてしまいます。
すると、そこにあったのは、圭太と見知らぬ女性が寄り添う写真と、「会えないときはこの写真を見ることにするね♡」「俺もそうする♡」という甘いやり取りでした。知りたくなかった現実を目の当たりにした凪は、ショックで固まってしまうのでした――。
◇ ◇ ◇
信じたい相手だからこそ、疑いを抱いた自分自身にも苦しむことがあるのではないでしょうか。かといって、知らないままでいたい気持ちと、真実を確かめたい気持ちは、簡単には切り分けられないものですよね。真実を知った瞬間に言葉を失うほどの衝撃を受けるのは、それだけ相手を信じ、大切に思ってきた証拠なのでしょう。
心が揺らぐことは誰にでも起こりうることなのかもしれません。だからこそ、その一歩を踏み出す前に、いちばん傷つくのは誰かを一度想像してみること。それが、大切な関係を守る分かれ目になるのではないでしょうか。
著者:マンガ家・イラストレーター おーちゃん

