“痛みの我慢”が手術を招く?「腱鞘炎」の「症状」を見落とす落とし穴【医師監修】

“痛みの我慢”が手術を招く?「腱鞘炎」の「症状」を見落とす落とし穴【医師監修】

指や手首、肘などに見られる腱鞘炎(ばね指)。決して珍しくない症状ですが、痛みやこわばりなどのために日常生活に支障が及ぶことも少なくありません。今回は、腱鞘炎の治療法について、 志村三丁目駅前ねもと整形外科の根本先生に教えてもらいました。

根本 高幸

監修医師:
根本 高幸(志村三丁目駅前ねもと整形外科)

1994年東京慈恵会医科大学医学部卒業。1994年東京慈恵会医科大学整形外科学講座入局。東京慈恵会医科大学附属病院整形外科、東急病院整形外科、東京都職員共済組合青山病院整形外科、米国ルイビルKleinert Kutz Hand Care Center留学、太田総合病院整形外科・手外科センターを経て2024年志村三丁目駅前ねもと整形外科開院。

編集部

腱鞘炎はどのようにして治療するのでしょうか?

根本先生

大きく分けて、保存療法と外科治療の2つがあります。保存療法は手術を伴わないもの、外科治療は手術をおこなうもののことをいいます。まずは、保存療法で様子を見て、それでも効果が見られない場合には外科治療(手術)が選択されます。

編集部

保存療法ではどのようなことをおこなうのですか?

根本先生

腱鞘炎と診断がついたら、まずは指を安静にし、消炎鎮痛剤の外用薬で痛みを和らげます。それでも改善しない場合には、屈筋腱に生じた滑膜炎を抑えるためにステロイド剤を腱鞘内に注射します。効き方には個人差がありますが、これにより多くの人は軽快します。ステロイド注射の注意点としては、頻回のステロイド注射によって腱が断裂するリスクがあります。また、糖尿病や緑内障の人は、ステロイド剤により血糖値や眼圧が上がることもあるため、これらの合併症のある人は事前に医師にご相談ください。

編集部

そのほかにはどのような治療法がありますか?

根本先生

痛みやばね現象のために指を完全に伸ばすことができず、関節が硬くなっている場合(関節拘縮)には、関節を柔らかくするリハビリテーションがあります。また、持病により注射ができない人やどうしても注射が嫌な人に対して、ばね現象を和らげる目的でリハビリテーションをおこなう施設もあります。ただし、注射に比べて効果は劣ります。

編集部

それでもよくならない場合にはどうするのでしょうか?

根本先生

注射により十分な効果が得られない場合、手術治療が選択されます。手術は腱鞘切開術といい、腱が腫れて引っかかる部位の腱鞘(ほとんどが指の付け根の腱鞘)を開き、腱の通り道を広くします。入院する必要はなく、局所麻酔でおこない、15分程度で終了します。いずれにしても、早期に治療を開始すれば手術をせずに治癒が見込める場合も少なくありません。異常が感じられたら早めに医師にご相談ください。

編集部

最後にメディカルドック読者へのメッセージがあれば。

根本先生

腱鞘炎で指に引っ掛かりがある場合、放置して指の関節の動きが悪くなる前に整形外科を受診してはいかがでしょうか。なかなか治らずに治療に難渋している場合は手の病気のスペシャリストである手外科専門医にご相談ください。

※この記事はメディカルドックにて<「ばね指」の治療は『保存療法』と『外科治療』どちらがいい? 放置するとどうなる?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

配信元: Medical DOC

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