「適応障害」はどのような基準で「診断」される?診断された後の注意点も解説!

「適応障害」はどのような基準で「診断」される?診断された後の注意点も解説!

適応障害の治療と生活上の注意点

適応障害の治療と生活上の注意点

適応障害を治療しないとどうなりますか?

適応障害は適切な対処によって回復が期待できる疾患ですが、治療せずにストレスにさらされ続けると、症状が長引いたり悪化したりする場合があります。また、自殺企図(自殺しようとする行動)や自殺のリスクが高まることがあることも知られています。これは重要な問題であり、早期の治療介入が必要です。

適応障害の治療法を教えてください

適応障害の治療はセルフケア、そして精神療法、薬物療法を組み合わせて行われます。

セルフケア
まず原因となっているストレスから可能な限り離れることが大切です。仕事が原因であれば休職を検討し、学校が原因であれば学校を休むことを検討するなど環境調整を行います。ストレス因子そのものをなくすことが難しい場合でも、仕事の量を調整する、人間関係を見直す、配置転換を行うなど、ストレスの影響を軽減するための対策をとります。こうした調整によってストレス刺激を減らしつつ、心と身体をしっかり休ませることが回復への第一歩です。

そのうえで、健康的な生活を送ることに努め身体的健康の維持を目指します。また、マインドフルネスと呼ばれるアプローチが取られることもあります。マインドフルネスとは、五感を使って現在に意識を集中させることをいいます。判断をせずに、今この瞬間に注意を向けます。マインドフルネスを取り入れたセルフケアでは、心に深い傷を負った方が感じやすいストレスや孤独感、怒り、悲しみ、無気力などのつらさを和らげることを目指します。

精神療法
適応障害の治療として、精神療法が行われることがあります。ただし、現時点ではその効果の科学的な根拠は限られています。精神療法は、医師や臨床心理士などとのやり取りを通じて、患者さんが自分の感情や考え方を見直し、問題を理解することで対処法を見つけ、克服しようとする治療法です。

薬物療法
症状に応じて薬物療法が用いられることもあります。ただし、適応障害そのものを治す薬はなく、薬物療法の効果についても科学的根拠は限られています。不眠や強い不安感、抑うつ気分などに対する対症療法として、医師の判断で薬が処方されることがあります。

適応障害は完治しますか?

適応障害は、完治が期待できる病気です。診断基準でも、原因となったストレス因子がなくなれば通常は6ヶ月以内に症状は消失するとされています。適切な治療を行えば、症状は改善し、元の状態に戻ることが少なくありません。実際、多くの方はストレス因子から離れ、十分な休養を取ることで、徐々に回復します。ただし、適応障害は完治が見込める病気ですが、再発のリスクもあるため油断せずに治療を継続し、ストレス対策を講じることが大切です。

適応障害と診断された後の注意点を教えてください

定期的な受診を続ける
適応障害は通常、ストレス因子が取り除かれることで症状が軽減します。症状が軽くなったからと自己判断せずに、きちんと定期的な受診は続けましょう。また、6ヶ月以上症状が持続する場合は、うつ病などほかの疾患の可能性もあります。症状が続いたり悪化したりする場合には、医師と相談のうえ治療方針の見直しが必要です。

症状が和らいでも、無理に元の生活ペースに戻さない
症状が改善し、もう大丈夫だろうと思って急に元の生活ペースに戻すと、再発や悪化を招くことがあります。仕事の復帰などの方針は必ず医師と相談して決めましょう。

健康的な生活を維持する
生活習慣の改善やセルフケアも重要です。十分な睡眠とバランスの取れた食事、適度な運動を心がけ、過度な飲酒は摂取は控えます。趣味やリラックスできる時間を持つのもよいでしょう。

希死念慮や自殺企図があるときは、すぐに専門機関に相談する
適応障害はうつ病よりは軽度とみなされる場合があるものの、自殺のリスクは高いといわれています。希死念慮とは漠然と死にたいと考える気持ちのことです。希死念慮や自殺企図などがみられる場合は、ためらわず医療機関や相談窓口に連絡してください。

編集部まとめ

編集部まとめ

適応障害は、明確なストレス因子によって、身体症状や精神症状が出現する病気です。適切な治療とサポートによって症状が改善する可能性があります。異変を感じたら、一人で抱え込まず、病院を受診しましょう。特に、希死念慮や自殺企図がみられる場合は、すぐに精神科への相談が必要です。自分や大切な方の変化に気付いたら、早めに対応しましょう。

参考文献

働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳

厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』海外の情報瞑想
Meditation

第31回「てんかんと脳波とマインドフルネス」

配信元: Medical DOC

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