
母を在宅介護で見送り、その経験をコミックエッセイ「20代、親を看取る。」として描き大きな反響を呼んだキクチ(@kkc_ayn)さん。新たな作品「父が全裸で倒れてた。」では、母を看取って約2年後、今度は一人暮らしの父に突然異変が起きる。母の介護を経験したからこそ冷静に判断できる部分がある一方、一人っ子として重要な決断を迫られる現実も描かれていく。今回は、父と突然連絡が取れなくなった夜を振り返ってもらった。
■嫌な予感が現実となった夜



一人暮らしの父は、それまで食欲もあり、体調を大きく崩す様子はなかった。しかし原因不明の体調不良が続き、連絡も取れなくなってしまう。当時、病院では「気づかない内に新型コロナかインフルエンザにかかっていて、その後ウイルスは排出されたけど、後遺症が長引いているのではないか?」と説明を受けたという。「たしかに症状も微熱、喉の違和感、頭痛、倦怠感が主でしたので、納得感がありました」と振り返る。
■胸騒ぎを抱えて実家へ!
嫌な予感が拭えず、夜9時半ごろ、キクチさんはパートナーとともに急きょ実家へ向かうことを決意する。タクシーの中では、パートナーが「お義父さんって前も連絡とれないことあったし、携帯の通知に気づいてないだけだよ。何もなければ叱ってさ、すぐ帰ろう。それで後日病院連れていけば大丈夫だよ」と励まし続けてくれたという。それでも「タクシーの時間は本当に長く感じました」と、目的地へ向かう時間は不安ばかりが募っていった。
■考えないように…それでも消えない不安
母を見送った経験があるからこそ、頭をよぎるのは最悪の結末だった。しかし、「最悪の事態を想像するとパニックになりそうだったので、考えないようにしました」と当時を振り返る。「体調がひどく悪化してベッドで寝込んでいるだけかもしれない。だったらまずは無事だけ確認して、それで翌日にでもすぐに病院に連れていこう」と、“最悪よりちょっと手前くらい”を想定し、自分を落ち着かせながら実家へ向かった。
母を見送った経験があっても、親の異変に直面したときの不安や恐怖は変わらない。「父が全裸で倒れてた。」は、そんな切迫した状況を描きながらも、キクチさんらしいユーモアを交え、読む人が最後まで向き合える作品に仕上がっている。父の身に何が起きていたのか、その続きにも注目したい。
■取材協力:キクチ
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