「リンパ浮腫」は、体のリンパ液の流れが滞ることで生じるむくみの一種です。特に、がん治療後の患者さんに多くみられますが、そのほかの要因でも発症することがあります。今回は、リンパ浮腫を放置することの危険性について、「キャンサーコンパスクリニック」の和田先生に解説していただきました。

監修医師:
和田 仁(キャンサーコンパスクリニック)
東北大学医学部卒業。その後、東北大学医学部放射線医学講座入局、いわき市立総合磐城共立病院(現・いわき市医療センター)、竹田綜合病院、山形市立病院済生館などで経験を積む。山形大学医学部准教授、宮城県立がんセンター放射線治療科診療部長、南東北がん陽子線治療センター副センター長などを歴任。2021年、宮城県仙台市に「キャンサーコンパスクリニック(旧・がんコーディネートくりにっく)」を開院。医学博士。日本放射線腫瘍学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医。
編集部
リンパ浮腫と普通のむくみは、どう違うのでしょうか?
和田先生
一般的なむくみは、長時間の立ち仕事や塩分の摂取量が多いなどで一時的に起こることがありますが、要因が解消されると徐々に軽減していきます。しかし、リンパ浮腫は慢性的に続き、適切なケアをしない限り自然に改善することはほぼありません。
編集部
リンパ浮腫を放置するとどうなりますか?
和田先生
放置すると皮膚が硬化し、慢性的な炎症を引き起こすことがあります。さらに進行すると、感染症やリンパ管の閉塞が起こり、より重篤な状態になることもあります。また、むくみによる圧迫や血流不良などにより静脈に血栓ができる、いわゆる「エコノミークラス症候群」が起こることもあります。リンパ浮腫は早期に発見し、対処することが大事です。
編集部
どうしたら、早期に気がつくことができますか?
和田先生
初期の症状では気づくのが難しかったり、むくみ自体に気がついていても、普通のむくみと区別がつかなかったりすることがあります。見分け方として、特にがん治療後のリンパ浮腫は、治療を受けた側の腕や脚に発生することが一般的なので、むくみに左右差があった場合などは注意が必要です。がん治療を受けたことがある人は、手や足の決まった場所の周経(太さ)をときどき測ることもおすすめです。
編集部
リンパ浮腫の予防はできますか?
和田先生
100%防ぐことは難しいですが、手術後の早い段階から適切なケアをおこなうことで、発症リスクを減らすことができます。特に、体重管理などの肥満予防や、感染対策をはじめとする皮膚のセルフケアが大切です。また、最近では「リンパ浮腫発症予防には、上肢への弾性着衣装着が有効」という報告もあります。
※この記事はメディカルドックにて<「リンパ浮腫」の初期症状はご存じですか? なりやすい人の特徴・4つの治療法も医師が解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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