
「毎日定時ぴったりに帰りやがって……!」と、悔しげにデスクを叩く上司。以前は終電まで残業することが当たり前だったはずの社員・うさやんが、今では18時になると同時に席を立つ――。



SNS上で「読むだけで心が軽くなる」と多くのビジネスパーソンから共感を集めているのが、漫画家・あおいし(@ao144444)さんの描く『うさやんが定時に上がる理由』だ。過酷な労働環境を描いて話題を呼んだ前作『残業地獄のねこが転職するまでの120日間の記録』の番外編として誕生した本作。その制作秘話や、仕事に追われる現代人へ向けたメッセージを紹介する。
■「辞めずに生き方を変える」もう1つの選択肢
本作の舞台は、過酷な労働環境で知られる「アニマル出版」。かつて主役のうさやんも、深夜まで馬車馬のように働く“社畜”の1人だった。しかし1年が経った今、彼は「無駄な残業は絶対にしない」と心に決め、定時になると周囲の目を気にせず堂々と退社していく。
この番外編を執筆した理由について、あおいしさんはこう語る。
「前作では過酷な環境から『転職する』という道を選んだねこくんを描きました。ですが、その反対に『会社を辞めずに、その場所にとどまったまま自分の生き方を変える』というもう1つの選択肢があってもいいんじゃないか、と思ったのが執筆のきっかけです」
■孤独な定時退社が周囲にもたらしたポジティブな連鎖
毎日長時間労働に追われ、生きるためにただ働くだけの人生に虚しさを感じていたうさやん。同期だったねこくんの転職を間近で見たことで、仕事に対する意識がガラリと変わったのだ。
定時で会社を出ると、まだ明るい街には開いているお店がたくさんある。そんな当たり前の事実に気づき、アフター5を楽しむ充実した時間はうさやんの表情を生き生きとさせていった。さらに、彼が毎日定時退社を貫くことで「うさやんが帰ってくれるから帰りやすくなりました!」と続く者が現れ、職場の雰囲気まで明るく変わっていく。
■ダラダラ残業からの脱却と、定時退社が生む豊かさ
一方で、そんなうさやんの姿を苦々しく見つめる編集長は「俺なんて家に帰っても酒を飲むくらいしかやることがねーし、仕事しかねーよ」と吐き捨てる。現代の職場でも、やることがないからとダラダラ残業してしまう悪習慣に陥っている人は少なくない。
本作の読者からは「定時上がりを徹底したことで少しお金は減ったけれど、それ以上に趣味の時間が取れて毎日が楽しくなった」という前向きな体験談が多数寄せられている。あおいしさんは、働き方に悩む読者に向けてこうアドバイスを送る。
「定時退社を目指して自分の時間を無理にでもつくることで、結果的に生活リズムに心地よいメリハリが生まれていきます。長年染み付いた職場環境や同調圧力を変えるのは本当に大変なことですが、まずは自分にできる小さな一歩から変えてみて、仕事と生活のバランスがうまく取れたらいいな……という、私自身の強い願望も込めてこの漫画を描きました。読んでくれた方のうち、1人でも共感して救われる人がいればうれしいです」
会社のデスクから少しだけ広い世界へと目を向け、今日から自分の時間を1分でも多く取り戻してみてはいかがだろうか。
取材協力:あおいし(@ao144444)
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