名古屋で「高齢ドライバー」による死亡事故、認知症が関係していたら「無罪」になる?

名古屋で「高齢ドライバー」による死亡事故、認知症が関係していたら「無罪」になる?

●「心神喪失」と「心神耗弱」の違い

まず、責任能力がまったく認められない「心神喪失」(しんしんそうしつ)です。

精神の障害のため、善悪を判断する能力や、判断に従って行動する能力が完全になくなっていたことをいいます(刑法39条1項)。

この場合は無罪となりますが、「単に認知症がある」というだけでは足りず、事故にどの程度影響したのかが厳密に検討されます。

次に限定的にしか認められない「心神耗弱」(しんしんこうじゃく)です。

精神の障害のため、善悪を判断する能力や、判断に従って行動する能力が著しく低下していたことをいいます(刑法39条2項)。

この場合は、刑が軽くされますが、「著しく」低下していることが要件で、こちらも認知症があるというだけでは認められません。

最後に、仮に認知症の診断を受けていても、運転を自分の意思でおこない、危険を認識できていたなら、責任能力があると判断されるでしょう。

実際の裁判で「認知症がある」と認められた場合でも、心神喪失や心神耗弱とされるのは、ごくまれです。

●どうやって判断するのか

運転者が事故当時どんな精神状態にあったかは、精神科医などによる鑑定などをもとに判断されます。医師が認知症の有無や程度、事故当時の精神状態について詳しく分析し、意見を述べます。

ただし、最終的に判断を下すのは裁判所です。医師が「認知症です」と診断しても、それだけで責任能力が否定されるわけではありません。

医師の鑑定結果は重要な判断材料の一つですが、事故当時の具体的な行動、事故前後の言動、日常生活での様子など、さまざまな事実を総合的に見て、裁判官は「責任能力があったかどうか」を判断します。

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