暑い日が続くと熱中症が心配!でも、熱中症対策として経口補水液や塩タブレットを、日頃から摂り続けるのはあり?毎日飲み続けたらどんなリスクがあるの?そんな疑問について、北上しらゆりデンタルクリニック院長の境英二先生から、歯科医ならではの視点でお話しいただきました。

暑い季節になると、経口補水液や塩タブレットを常備するご家庭が増えてきます。
「熱中症予防のために、子どもにも毎日飲ませておいた方が安心なのでは?」
このように考える保護者の方も多いのではないでしょうか。
健康なお子さんが日常の水分補給として経口補水液や塩タブレットを毎日摂ることは、基本的にはすすめられていません。
その理由を国の公式見解や研究データをもとに、歯科医師の視点を交えてお話しします。
経口補水液とは?
経口補水液は、水・ナトリウム・ブドウ糖を一定の割合で配合し、脱水状態からの回復を目的として設計された飲料です。
国内で販売されているものは、消費者庁が許可した「特別用途食品(病者用食品)」に分類されており、
○感染性胃腸炎による下痢・嘔吐
○熱中症による脱水
など、特定の状態で使用することを前提とした、健康な人が日常的に飲む健康飲料ではなく、「脱水状態の改善」を目的とした飲み物です。
なぜ「毎日の水分補給」には向かないの?
「経口補水液なら体に良さそう」
そんなイメージから、暑い日の水分補給として毎日飲んでいる方もいるかもしれません。
しかし、消費者庁は2025年7月、経口補水液を普段の水分補給として使用しないよう改めて注意を呼びかけています。
理由は大きく3つあります。
(1)スポーツドリンクより塩分が多い
経口補水液には、一般的なスポーツドリンクより約3〜4倍多いナトリウムやカリウムが含まれています。
脱水していない状態で毎日飲み続けると、必要以上の塩分を摂取することになります。
(2)健康な人でも体への負担が懸念される
余分な塩分を処理するため、心臓・血管・腎臓などへ負担がかかる可能性があると指摘されています。
また、子どもは体格が小さいため、製品ごとに年齢や体重に応じた1日の摂取目安量が細かく設定されています。
(3)糖分も含まれている
経口補水液には、水分の吸収を助けるためにブドウ糖などの糖分が含まれています。
脱水時には必要な成分ですが、日常的に飲み続けることで糖分の摂取量が増えることにも注意が必要です。
経口補水液は、
●下痢
●嘔吐
●発熱
●大量の発汗
など、脱水のリスクが高まったときに必要な分だけ使用する飲み物です。
もし判断に迷う場合は、医師・薬剤師・管理栄養士へ相談しましょう。

塩タブレットは「大量に汗をかいたとき」の一時的な対策
塩タブレットも、大量に汗をかく場面を想定して作られた製品です。
厚生労働省では、
◆暑さ指数(WBGT)が高い日
◆屋外での運動
◆長時間の作業
などのとき、水分とともに塩分補給をすすめています。
一方で、日本高血圧学会は、
「通常どおり1日3食食べている人であれば、日常的に塩分を追加する必要はない」
としています。
日本人は普段の食事だけでも塩分摂取量が多い傾向があるため、外遊びや部活動などで大量に汗をかいた日にだけ補うという考え方が基本です。
歯科医師として伝えたいこと
経口補水液の中には糖分を含む製品があります。
脱水時には非常に役立つ飲み物ですが、少しずつ長時間飲み続ける「だらだら飲み」は、お口の中が酸性の状態にさらされる時間を長くし、虫歯のリスクを高める可能性があります。
また、酸性飲料を頻繁に摂取すると、歯の表面が少しずつ溶ける「酸蝕症」の原因となることも知られています。
必要な場面で適切に利用し、飲んだ後は水を飲んだり、時間を空けてから歯磨きをしたりするなど、お口の健康にも配慮すると安心です。
こんなときは活用を検討しましょう
次のような場面では、経口補水液や塩分補給が役立ちます。
・発熱・下痢・嘔吐があるとき
・屋外で長時間活動し、大量の汗をかいたとき
・熱中症の初期症状(めまい・頭痛・だるさなど)があるとき
一方で、水分を摂っても症状が改善しない場合や、ぐったりしている、意識がもうろうとしているなどの症状がある場合は、自己判断せず速やかに医療機関を受診してください。
まとめ
経口補水液や塩タブレットは、脱水や大量の発汗といった特定の場面では非常に頼りになる製品です。
しかし、健康なお子さんが「暑いから」という理由だけで毎日飲んだり、毎日塩分を追加したりすることは、国の公式見解でもすすめられていません。
普段は水や麦茶を中心にこまめな水分補給を心がけ、必要な場面でのみ経口補水液や塩タブレットを活用することが、正しい熱中症対策です。
正しい知識を身につけ、この夏もお子さんとご家族の健康を守っていきましょう。
※本文の作成にあたり事実関係の裏付けとなる出典の確認・整理のため生成AIを使用しています。
執筆者

境英二
岩手県北上市「北上しらゆりデンタルクリニック」院長。歯科医師。
患者さん一人ひとりに合わせた丁寧な説明と、将来を見据えた治療計画を大切にし、虫歯や歯周病だけでなく、お口全体の健康づくりに取り組んでいます。子どもから大人まで、「なぜその治療が必要なのか」「毎日の生活で気を付けることは何か」をわかりやすく伝えることを心掛けています。歯科医療をもっと身近に感じていただけるよう、正しい医療情報の発信にも力を入れています。

