[IN THE BACK] vol.9
Starring Rinko Kikuchi
FLY AWAY TOWARDS FREEDOM
ふとした瞬間の表情や仕草に宿る、その人自身の奥にある“何か”を引き出す、メイキャッパーUDAさんが手がける不定期連載。今回は日本のみならず海外でも活躍する菊地凛子さんが登場。俳優として、母として、ひとりの人間として、多様な顔を持つ彼女が体現する自由な女性像とは。
ネックレス 上〈クラッシュ ドゥ カルティエ〉[YG]¥4,567,200、同 イヤリング[PG]¥1,570,800、ネックレス 下〈トリニティ〉[WG×YG×PG×DIA]¥1,650,000、同 リング[WG×YG×PG×DIA]¥4,989,600、同 右手に持ったネックレス[WG×YG×PG]¥11,484,000(全てカルティエ/カルティエ カスタマー サービスセンター)
ジャケット¥513,700、キャミソール¥292,600、デニム¥330,000、ベルト¥124,300、ネックレス¥135,300(全てクロエ/クロエ カスタマーリレーションズ)、右手のリング〈クラッシュ ドゥ カルティエ〉[PG×オニキス]¥913,000、同 左手のリング[PG×ピンクカルセドニー]¥1,056,000(共にカルティエ/カルティエ カスタマー サービスセンター)
ジャケット¥740,300、シャツ¥408,100、シューズ[ヒール11㎝]¥522,500(全てサンローラン バイ アンソニー・ヴァカレロ/サンローラン クライアントサービス)、ブレスレット〈トリニティ〉[WG×YG×PG×DIA×ブラックラッカー] ¥11,286,000、リング 上〈クラッシュ ドゥ カルティエ〉[PG×ピンクカルセドニー]¥1,056,000、同 リング 下[PG×オニキス]¥913,000(全てカルティエ/カルティエ カスタマー サービスセンター)、その他スタイリスト私物
BEHIND THE SCENES
俳優としての仕事と母としての日常。そのどちらも抱えながらも、軽やかな表情でスタジオに現れた凛子さん。「打ち合わせのときから楽しみにしてたの」と語る彼女が見せた、今だからこそ表現できる自由な女性像とは。
ドレス¥1,815,000(ヴァレンティノ/ヴァレンティノ インフォメーションデスク)、シューズ[ヒール10㎝]¥181,500(ヴァレンティノ ガラヴァーニ/ヴァレンティノ インフォメーションデスク)、ネックレス 上〈クラッシュ ドゥ カルティエ〉[YG]¥4,567,200、同 イヤリング[PG]¥1,570,800、同 ブレスレット[YG]¥1,702,800、ネックレス 下〈トリニティ〉[WG×YG×PG×DIA ]¥1,650,000、同 リング[WG×YG×PG×DIA]¥4,989,600、同 右手に持ったネックレス[WG×YG×PG]¥11,484,000(全てカルティエ/カルティエ カスタマー サービスセンター)、その他スタイリスト私物
自由に飛ぶために、一度立ち止まる。
多面性、自由、本能、成熟した女性像。さまざまなキーワードが重なり合うなかで、凛子さんは今回の撮影を「1本の映画を観ているようだった」と振り返る。
「最初にコンセプトを伺ったとき、いろんな女性像をスチールで表現できるのが面白そうだなと思いました。実際に撮影してみると、本当にひとつの映画を観ているように、いろんな女性が出てきて。私自身も視聴者のような気持ちで楽しんでいました」
表現の場で、これまであまり求められてこなかったという成熟した女性のグラマラスさや、女性らしい鋭さ。今回はその部分に光が当たった。
「ただかっこいいだけではなく、その人だけの時間を生きてきた女性という感じがありました。ひとりの女性であり、母であり、いろんなことを経験してきたからこそ出てくるものがある。今回は、そういう部分を表現できたことがすごく楽しかったです。年を重ねた今だからこそできたことなのかもしれません」
撮影前の打ち合わせでは、今後のキャリアについても話題に上がった。何事も急いで決めるのではなく、一度立ち止まり、自分を見つめ直す時間。その感覚は凛子さんにとって重要なものでもある。
「私はいつも一度立ち止まるタイプなんです。立ち止まって考えて、また先に進む。飛行機が離陸する前に、整備をして、燃料を蓄えて、ようやく飛び立つみたいに。自分の中に必要なものを蓄える時間というか、駐機場や滑走路にいるような時間が、私にはすごく大事なんです」
今回の撮影は、そんなタイミングに訪れたひとつの刺激でもあった。
「刺激を受けられる人たちと一緒にひとつの作品を作れることは、仕事を続けていくエネルギーになります。こういう表現もできるようになったんだ、こういう一面がカメラにも映るようになったんだ、という発見もあって。自分をもう一度捉え直すような時間でした」
年齢を重ねることは、喜びだけではなく、迷いや失敗、後悔も自分を形づくる一部になっていく。
「人生にはネガティブなことも起こるじゃないですか。嫌だったこと、失敗したこと、後悔したこと。でも、そういう経験が自分という人間を作っていると思うんです。いいことだけが成長に繋がるわけではなくて、自分の嫌な部分や弱い部分を見つめることで、人として少しずつ変わっていける気がします」
人はそんなに強くはないし、白黒や善悪だけで割り切れるものでもない。そう感じられるようになったことも、俳優として多くの役柄に触れてきた時間と繋がっている。
「グレーでいいと思うんです。若いころはそう思えない時期もあったけど、いろんな役を演じる中で、前のあの役にはこういう感情があったから、こう考えていたのかなと気付かされることもあって。年齢を重ねる中で、感じ方や捉え方をもう少しラフにしていけたらいいんじゃないかなと思います」
自由で、奔放で、ひとつの顔には収まりきらない。今回の撮影で写し出されたのは、表現者として、女性として、そして母として、いくつもの時間を重ねてきた凛子さんの現在地だった。
Profile_UDA(うだ)/大手化粧品会社にてPRやマーケティング、教育、店頭プロモーションなどさまざまな業務に携わり、その後独立。現在は国内外のエディトリアル、コスメティック、ファッションのキャンペーン広告、ショーなどのメイクアップを担当。2021年に日本の季節にフォーカスした初の著書『kesho:化粧』(NORMAL)を刊行し、話題を集めた。
Profile_菊地凛子(きくち・りんこ)/1981年生まれ。映画『生きたい』(1991年)でスクリーンデビュー。『バベル』(06年)でアカデミー賞助演女優賞をはじめ、多数の賞にノミネート。主な出演作に、映画『ノルウェイの森』『658㎞、陽子の旅』、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、連続テレビ小説「ブギウギ」、舞台『いのこりぐみ』など。主演最新作『Ha-chan, Shake Your Booty!』はサンダンス映画祭で上映された。映画『パシフィック・リム』シリーズほか海外の作品にも出演し、国内外問わず活躍。
direction & make-up: UDA[mekashi project] photograph: ITTETSU MATSUOKA styling: TAKANOHVSKAYA
hair: KOICHI NISHIMURA[VOW-VOW] model: TAMAYO SUZUKI edit: MIYU SUGIMORI
otona MUSE 2026年9月号より

