“あの変化”が2週間続いたら?「舌がん」を疑うべき『3つの前兆』

“あの変化”が2週間続いたら?「舌がん」を疑うべき『3つの前兆』

舌がんの初期に現れやすい変化として、舌の表面にできる白い斑点(白板症)や赤い斑点(紅板症)が挙げられます。特に紅板症はがん化するリスクが高いとされており、注意が必要です。痛みがなく口内炎に似ているため見逃されやすい変化ですが、2週間以上改善しない場合は放置せず、口腔外科や耳鼻咽喉科を受診することが大切です。

柴原 孝彦

監修歯科医師:
柴原 孝彦(東京歯科大学名誉教授)

1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授。
著書は「口腔顎顔面外科学(医歯薬出版)」「標準口腔外科学(医学書院)」「カラーアトラス コンサイス口腔外科学(学建書院)」「口腔がん検診 どうするの、どう診るの(クインテッセンス出版)」「衛生士のための看護学大意(医歯薬出版)」「かかりつけ歯科医からはじめる口腔がん検診step1/2/3(医歯薬出版)」「エナメル上皮腫の診療ガイドライン(学術社)」「薬剤・ビスフォスフォネート関連顎骨壊死MRONJ・BRONJ(クインテッセンス出版)」「知っておきたい舌がん(扶桑社)」「口腔がんについて患者さんに説明するときに使える本(医歯薬出版)」など。

舌がんの初期症状|見落としやすいサインを知る

舌がんは、早期の段階では痛みがほとんどない場合も少なくなく、一般的な口内炎や歯茎のトラブルと混同されて発見が遅れることがあります。このセクションでは、舌がんの初期症状として現れやすい粘膜の変化について詳しく説明します。日常のセルフチェックで早期のサインに気づけるよう、具体的な症状の特徴を確認していきましょう。

舌にできる白斑・赤斑に気をつける

舌がんの初期症状として、舌の表面に白い斑点(白板症:はくばんしょう)や赤い斑点(紅板症:こうばんしょう)が現れることがあります。これらは医学的に「前がん病変(がんになる一歩手前の状態)」と呼ばれ、特に赤い斑点(紅板症)は悪性化(がん化)するリスクが約50%と非常に高いことが知られています。いずれの変化も発見した場合には、放置せず直ちに医療機関を受診することが推奨されます。

これらの変化は、ごく初期の段階では痛みや出血を伴わないことが多く、見た目も市販薬で治る口内炎とよく似ています。ただし、一般的な口内炎は通常1〜2週間程度で自然に回復します。2週間以上経っても一向に改善しない白斑や赤斑、あるいは徐々に広がってくる変化があれば、絶対に放置せず口腔外科や耳鼻咽喉科を受診することが大切です。

また、舌の側面(歯に触れやすい部分)や裏側は、舌がんが特に発生しやすい部位とされています。定期的に鏡で舌の左右や裏側を確認し、色の異常や盛り上がりがないかセルフチェックする習慣をつけることが、早期発見につながる重要な一歩となります。特に、長年の喫煙や飲酒の習慣がある方は発症リスクが高いため、より一層の注意が必要です。

しこり・潰瘍・出血が続く場合は要注意

舌がんの初期症状として、舌の一部が硬くなったり、境界がはっきりした盛り上がりを感じたりすることがあります。指で触れた際に粘膜の奥に「硬いしこり(硬結)」を感じるのが、柔らかい口内炎とは異なる大きな特徴です。また、表面にえぐれたような潰瘍(ただれ)が形成されることもあります。こうした変化が2週間以上続く場合は、がんの可能性を強く疑う必要があります。

出血についても注意が必要です。舌を噛んだ覚えがないのに出血が続く、食事の摩擦で舌から血が出るといった症状が繰り返される場合は、粘膜の細胞が崩れて脆くなっているサインです。初期の段階では出血量が少なく、痛みも軽微なことが多いため「たいしたことはない」と見過ごされがちですが、何度も繰り返す場合は早めに専門の医師に相談することが望まれます。

しこりや潰瘍は視覚的に確認できる場合もありますが、舌の奥側(舌根部:ぜっこんぶ)にできた場合は鏡を使っても自己確認が困難です。ものをゴクンと飲み込むとき(嚥下時)の違和感や、喉の奥に異物や痛みがつかえる感じが長引く場合も、大切なサインとなります。違和感を感じたら自己判断で市販薬に頼らず、口腔外科や耳鼻咽喉科の専門医に速やかに相談しましょう。

まとめ

舌がんは早期発見ができれば、治療の選択肢を広く持てる可能性がある疾患です。初期症状として現れる白斑・赤斑・しこり・潰瘍などの変化を見逃さないこと、そして喫煙・過度な飲酒・口腔内の不衛生といったリスク因子を減らす取り組みを継続することが、予防と早期発見の両面で重要です。禁煙や節酒は、決して容易ではないかもしれませんが、医療機関のサポートを活用しながら一歩ずつ取り組むことができます。今の生活を見直し、気になる症状がある場合は口腔外科や耳鼻咽喉科への受診を早めに検討してみてください。

参考文献

国立がん研究センター「口腔がんの検査・診断について」

厚生労働省「がん対策情報」

日本口腔外科学会「悪性腫瘍|口腔外科相談室」

配信元: Medical DOC

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