間サエコさんは、小学6年生の娘・姫子ちゃんを育てるワーママ。困っている人を見ると放っておけず、つい手を出してしまいます。
ある朝、電車内で後頭部が絶壁の赤ちゃんの頭を、断りもせず「押せば治る」とつかんだサエコさん。母親を怒らせた自覚がないまま、いいことをしたと上機嫌で帰宅します。ところが、市の不審者情報にサエコさんにそっくりな人物が……。姫子ちゃんに朝の出来事を話すと、「それは怖い」と拒絶され、ようやく事態の深刻さに気づきます。それでも、サエコさんは「待ち伏せして謝る」と理解不足な状態。夫の付き添いで警察署へむかうも、ひとりで事情聴取を受けることになり、沈黙に耐えきれず「赤ちゃんの頭を治したくて」と話し始めます。しかし、警察官から「相手に恐怖を与えたことが事実」と突き付けられたのです。今後、一切接触しないことを条件に厳重注意扱いとなり、安堵したサエコさん。ですが、サエコさんのあまりの浮かれっぷりに警察官は「相手の気持ちを想像できていますか?」と眉をしかめるのでした。
警察官から「相手のお母さんは報復が怖い」という心情を説明され、自分にそんなつもりはないと反論するサエコさん。と、警察官が突然立ち上がり、サエコさんを驚かせます。「どんな人か知らない相手から急に何かをされるという恐怖は、こういうことですよ」と身をもって示され、被害者が感じた恐怖の大きさに気づいたサエコさんは、深く謝罪するのでした。
相手の恐怖を理解する夫、叱責に不満な妻










事情聴取を終えたサエコさんに、「どうだった?」と駆け寄る夫。サエコさんは、二度としないと誓約書にサインし、謝罪したことを説明します。
被害届を出されないと知った夫は、「そんなに軽く済ませてもらえて良かった……」と胸をなでおろします。ところがサエコさんは、「軽くないわよ!」「めっちゃ怒られたんだからね!」と不満を口にしながら、警察署をあとにするのでした。
サエコさんはいまだに、自分の行動が相手に与えた恐怖よりも、自分が叱られたことに意識が向いているようです。
たとえ悪気がなく、相手のためを思った行動でも、相手が不安や恐怖を感じれば、善意では済まされないことがあります。何かをする前に「相手はどう感じるだろう」と一度立ち止まって考えることが、相手の気持ちを尊重する第一歩なのかもしれません。
著者:マンガ家・イラストレーター ミント
