SNSなどで写真をアップするときに、加工するのが当たり前になりつつある現在。
どうして自分の顔やスタイルを加工してしまうのか?
それによるデメリットは?
ミサクリニック六本木本院院長の寺井美佐栄先生の解説です。

はじめに:数秒で『理想の顔』が作れる時代に、なぜ人は見た目に悩むのか?
近年、SNSやAI技術の進歩により、誰でも簡単に理想の顔を作れる時代になりました。
肌を滑らかにしたり、輪郭を整えたりと、数秒で理想の自分を表現できるようになっています。
美容皮膚科では、肌質改善やシミ、毛穴、ニキビ跡などのお悩みを通して、「もっと自分に自信を持ちたい」「肌をきれいにしたい」というご相談を多くいただきます。
美容医療は、コンプレックスの改善や前向きな気持ちにつながる一方で、SNSやAI加工で作られた理想像を基準にしてしまうと、現実とのギャップに悩み、自分の見た目を必要以上に否定してしまうこともあります。
本記事では、美容皮膚科医の立場から、AI加工やルッキズムが自己認識に与える影響や、自分らしい美しさとの向き合い方、美容医療との健全な付き合い方についてお話ししたいと思います。
なぜ「AI加工後の自分」と現実の顔を比べて落ち込んでしまうのか?
Ai加工は、写真をより魅力的に見せる便利な技術です。
しかし、何度も加工後の自分を見ているうちに、その姿を「本来の自分」と感じるようになってしまうことがあります。
その結果、鏡に映る自分や写真に写った素顔との違いに違和感を覚え、「本当の自分はかわいくない」「もっと変わらなければ」と感じる方も少なくありません。
特にSNSでは、多くの人が加工した写真や最も写りの良い一枚を投稿しています。
そのため、無意識のうちに「周りはみんなきれいなのに、自分だけ違う」と感じてしまい、自信を失う原因になることがあります。
脳が「加工後の顔」を現実だと錯覚する理由と、SNSの罠
人は繰り返し目にするものを「基準」として認識しやすい傾向があります。
加工した自分の写真を何度も見返していると、その顔が理想像として脳に定着し、現実との違いばかりが気になるようになります。
しかし、AI加工は現実では再現できないバランスや質感まで補正していることも少なくありません。
そのため、加工画像をそのまま現実の目標にしてしまうと、「どれだけ努力しても満足できない」という状態に陥る可能性があります。
SNSでは、自分と他人を比較しやすい環境が常に存在しています。
しかし、SNSに投稿されている写真は、加工やライティング、撮影角度などさまざまな工夫が加えられていることが多く、必ずしも普段の姿ではありません。
他人と比較して落ち込んでしまうときは、「見えているのはその人の一部分である」という視点を持つことが大切です。
過度なルッキズム(外見主義)と距離を置くためのマインドセット
ルッキズムとは、見た目を過度に重視して人を評価する考え方です。
もちろん、身だしなみを整えたり、美容を楽しんだりすること自体は決して悪いことではありません。
大切なのは、「誰かと比べて美しくなること」ではなく、「自分が心地よいと思える状態を目指すこと」です。
美容医療も、本来はコンプレックスを改善し、生活の質や自信を高めるための選択肢の一つです。
他人の評価やSNSの流行だけを理由に治療を選ぶのではなく、「自分自身がどうなりたいのか」を基準に考えることが重要です。
美容医療は「誰かになるため」ではなく「自分らしく生きるため」の選択肢
診療の中で感じるのは、自分の欠点ばかりに目を向けてしまう方が増えているということです。
しかし、他人が気にしているほど、自分の小さなコンプレックスは目立っていないことも少なくありません。
美容は「欠点をなくすこと」ではなく、「自分らしく前向きに過ごせる状態をつくること」だと私は考えています。
肌を整えることや生活習慣を見直すこと、美容医療を適切に活用することは、自信につながるきっかけになります。
一方で、「もっと完璧にならなければ」という気持ちが強くなりすぎていると感じたときは、一度立ち止まって、自分が本当に求めているものを考えてみることも大切です。
過熱する「整形ブーム」は今後どうなる?美容皮膚科医が考えるこれからの美容医療
SNSやAI技術の普及によって、美容医療は今後さらに身近な存在になっていくでしょう。
一方で、医療として大切なのは、「流行の顔」を目指すことではなく、その方一人ひとりに合った自然な美しさを引き出すことです。
美容医療には多くの選択肢がありますが、どの治療も十分なカウンセリングを受け、自分自身が納得したうえで選択することが重要です。
AI加工で作られた理想像を追い続けるのではなく、自分本来の魅力を活かしながら、より自分らしく過ごせるための手段として美容医療を活用していただきたいと思います。
おわりに:情報あふれる時代だからこそ「自分が心地よい美しさ」を軸に
AI加工やSNSは、美容を楽しむきっかけになる一方で、他人や加工後の自分と比較し続けることで、自己肯定感に影響を与えることがあります。
美容医療は、自分に自信を持つための有効な選択肢の一つですが、その目的は「誰かになること」ではなく、「自分らしく前向きに毎日を過ごせること」にあると考えています。
情報があふれる時代だからこそ、他人の価値観ではなく、自分自身が心地よいと感じる美しさを大切にしながら、美容と向き合っていただきたいと思います。
[執筆者]

寺井美佐栄先生
ミサクリニック六本木本院院長
10年に及ぶ複数の大手美容皮膚科クリニックでの院長経験を経て、2022年にミサクリニック六本木本院を開院。
豊富な症例経験を生かし、メスを使わず『ナチュラルな美しさ』を引き出す施術を得意とし、特に切らないたるみ治療やクマ取りなどのエイジングケアに定評がある。
また、日々のスキンケアも重視し、医師としての知見を生かしたドクターズコスメ「Do skin」の開発も手がける。
YouTubeなどでの情報発信にも力を入れ、施術からホームケアまで幅広い美容情報を患者目線で分かりやすく発信。
一人ひとりのライフスタイルに寄り添った美容医療を提供している。
プライベートでは2歳児を育児中。
ミサクリニック六本木本院
https://misa.clinic/
コスメオンラインショップ『M Lab SKIN』
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