
愛犬・颯太との散歩中に、ブレーキとアクセルを踏み間違えた車が突っ込んできた。とっさに飼い主の健吾をかばった颯太は、車に轢かれて命を落としてしまう。颯太を亡くした健吾は、泣きじゃくりながらも会社に出勤しようとしたのだが、扉を開けたそこに立っていたのは、全裸で“警察に通報”確定案件の不審者だった。彼は「健吾ぉ〜」と名を呼びながらじゃれついてきて、顔をペロペロ舐めるのだが、彼の正体は一体…!? 本当に颯太なのだろうか。



本作を読んだ読者からは「犬の気持ちがわかればいいな、と思ったよいお話でした。もうかなり前に愛犬は亡くなっていますが、自分が空に行ったら覚えていてくれるかな? 謝れるかな?」と自身の愛犬を想う声が寄せられた。また、人間の姿になった颯太について「あの世の再生係の方も、どうせなら耳や尻尾も出ないようにしてくれればいいのに…と思いましたが、それはそれでかわいかったです」というほのぼのした感想も届いている。
■「自分が居ない間に死んでしまった」著者の実体験が原動力に
本作を描いたのは、企業漫画や子ども向け学習図鑑の挿絵などの仕事をしつつ、「ジャンプルーキー!」にオリジナル漫画を掲載している夏野ばな菜(@NatsunoBanana)さんだ。作中には「柴犬あるある」が詰め込まれているが、夏野さん自身も保護犬を飼っていた経験があるという。
「子どものころ、保健所が開催する譲渡会に参加して保護犬を譲渡してもらいました。ずっと我が家のわんこでいてくれたのですが、私が進学で家を離れている間に、『死んでしまった』と両親から連絡を受けました。自分が居ない間に死んだというのがショックでしたね」
つらい別れを経験した夏野さんだが、その後、不思議な出来事があったという。
「誰かがうちのわんこの元に子犬を捨てて行っていて、うちのわんこはオスだったんですけど、子犬のためにえさを噛んで柔らかくして与えて育てていて…。だからそのままその子を二代目わんことしてうちで育てることにしたよ、と。死んでしまったという連絡と共に、新しいわんこが訪れたことも両親から聞かされました」
■「言葉がわかればいいのに」飼い主の切実な想いが作品のテーマ
「何て言っているのか言葉がわかればいいのに」という飼い主なら誰もが抱く想いについても、夏野さんは自身の経験から深く共感している。
「尻尾がちぎれんばかりにふりふりしている様子を見ると『うれしいんだろうな』とはわかるんですけど、やはり詳細な部分はわからなくて。ごはんも好きなメーカーとかあるみたいで、喜んで食べるやつと全然食べないやつがあるんですが、食べないと『具合悪いからかな、嫌いなだけかな』とやたら心配になるので、言葉がわかればいいなとは思います。意思疎通ができて、『あ、これ嫌い』とか『今、散歩の気分なんで出かけようよ!』と言ってくれるといいなと切実に思っていました(笑)」
夏野さんは現在「ジャンプルーキー!」にて、楽しい職場と愉快なサラリーマンたちが繰り広げるラブコメディから始まり、家族が増えるにぎやかな日常を描いた「SSS」という漫画を連載中だ。本作同様、人間の内面や人と人のつながりを描いた人間味あふれる物語となっているので、気になった人はぜひチェックしてみてほしい。
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