サプリでは不十分?「悪性貧血」を改善する“あの薬”の効果【医師監修】

サプリでは不十分?「悪性貧血」を改善する“あの薬”の効果【医師監修】

ビタミンB12は動物性食品に多く含まれており、日々の食事での摂取が基本となります。一方、吸収障害がある場合は食事だけでは補えないこともあります。ビタミンB12を豊富に含む食品の種類や摂取量の目安、サプリメントと医療機関での治療の違いについて整理します。

山本 佳奈

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)

滋賀医科大学医学部卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科

ビタミンB12欠乏症・悪性貧血の治療:サプリメントと医療機関での治療

ビタミンB12欠乏症では、原因に応じて治療法が異なります。食事からの摂取不足が原因であれば、食生活の改善やサプリメントによる補充が有効な場合があります。一方、悪性貧血(自己免疫性胃炎)や胃切除後など、ビタミンB12の吸収障害がある場合には、食事や市販のサプリメントだけでは十分に改善できないことがあり、医療機関でのビタミンB12補充療法(経口薬または筋肉注射)が基本となります。 このセクションでは、サプリメントと処方薬の違いや、それぞれが適しているケース、受診の目安について解説します。

サプリメントによるビタミンB12補充の考え方

市販のビタミンB12サプリメントには、主に「シアノコバラミン」と「メチルコバラミン」の2種類があります。シアノコバラミンは安定性が高く、多くのサプリメントや医薬品に使用されています。一方、メチルコバラミンは、ビタミンB12の活性型の一つで、日本では末梢神経障害の治療薬として用いられることがあります。いずれもビタミンB12を補充する目的で使用されますが、どちらが優れているかについては、用途や病態によって考え方が異なります。
通常、ビタミンB12は胃から出る「内因子」と結合した後、小腸の末端(回腸)で吸収されます。しかし、高用量(一般に500〜1,000μg/日以上)のビタミンB12を経口投与した場合には、内因子が欠乏していても、ごく一部(約1%程度)は受動拡散によって吸収されることが知られています。 この仕組みを利用して、高用量の経口ビタミンB12製剤が悪性貧血の治療に用いられることもあります。

一方、吸収障害が高度な場合や重度のビタミンB12欠乏症、神経症状を伴う場合には、経口補充だけでは十分な効果が得られないことがあります。このような場合には、医師の判断のもとでビタミンB12筋肉注射などによる補充療法が選択されます。自己判断でサプリメントだけに頼るのではなく、早めに医療機関を受診することが大切です。

なお、悪性貧血では、市販のサプリメントだけで自己判断するのではなく、医師の診断のもとで適切なビタミンB12補充療法を受けることが重要です。

医療機関での治療:注射・経口薬の選択肢

血液検査などで悪性貧血や重度ビタミンB12欠乏症と診断された場合には、ビタミンB12補充療法が行われます。特に、神経症状を伴う重症例では筋肉注射が選択されることが多く、症状や患者さんの状態に応じて高用量経口療法が用いられることもあります。
治療の初期段階では、ビタミンB12を十分に補充するため、比較的頻回に投与され、その後は血液検査や症状を確認しながら維持療法へ移行します。悪性貧血では、長期的なビタミンB12補充が必要となることが一般的です。適切な治療により、貧血の改善だけでなく、神経症状や生活の質(QOL)の改善も期待できます。

治療法は、ビタミンB12欠乏の原因や重症度、神経症状の有無、患者さんの生活状況などを総合的に判断して選択されます。疲労感や息切れ、手足のしびれなどが続く場合は自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。

まとめ

悪性貧血は、ビタミンB12の吸収障害によって起こる代表的なビタミンB12欠乏症です。疲れや息切れといった貧血症状だけでなく、手足のしびれ、舌の痛み、気分の落ち込み、記憶力の低下など、一見すると貧血とは結びつきにくい症状が現れることもあります。
ビタミンB12欠乏症の背景には、悪性貧血(自己免疫性胃炎)のほか、胃切除後、動物性食品の摂取不足、妊娠・授乳、加齢など、さまざまな原因が考えられます。症状が気になる場合やリスク因子がある場合は、自己判断せず、内科や血液内科などでビタミンB12値を含めた血液検査を受けることが大切です。
ビタミンB12欠乏症は、早期に発見し適切な補充療法を開始すれば改善が期待できる疾患です。一方で、神経症状は治療が遅れると回復に時間がかかったり、一部の症状が残ったりすることがあります。「年齢のせい」「疲れのせい」と見過ごさず、気になる症状があれば早めに医療機関へ相談しましょう。

参考文献

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」

国立健康・栄養研究所「ビタミンB12の解説」

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。