AIの致命的な誤情報配信で騒動が激化
事態をさらに深刻化させたのが、XのAI機能の「暴走」です。あろうことか、Xのトレンドを自動で要約する際、事実を完全に逆転させた誤情報を出力してしまったのです。公式トレンド表示として「M氏のコルセットがS氏のものを盗作して炎上」と捉えられる、タイトルや要約が広まってしまったのです。
この誤情報は、盗作疑惑の被害者かもしれないM氏を、あたかも加害者であるかのように仕立て上げるものであり、ユーザーからは即座に訂正と怒りの声が殺到しました。もちろん、XのAIであるGrokの出力には「Grokは間違えることがある」という免責文が付記されています。しかし、商売の根幹に関わる、影響力の大きなプラットフォームの公式情報としての誤配信は、看過できない問題として大炎上。「AIの暴走」「事実確認の甘さ」といった批判がX社(@XcorpJP)やGrokアカウント(@grok)へ相次ぎました。
浮き彫りになった「AI生成コンテンツ」の信頼性問題
この騒動は、SNS上での商品盗作疑惑という商業的な問題から、生成AIの社会における役割と現状での限界という、より根源的なテーマへと飛び火しました。
寄せられたコメントは、従来の顧客たちのM氏への応援と、Grok/X社への強い批判が大半を占めています。「Grokさん、逆ですよ!」「血と汗と涙の結晶がパクられたのに、真逆の記事は許されない」といった訂正要求や、Grokの過去の誤情報問題や著作権侵害疑惑を呼び起こし、AI全体への不信感を募らせる動きも見られました。
X上では、数千件の関連投稿が発生し、騒動は10月16日朝にかけてピークを迎えました。現在もS氏本人からの公式コメントはなく、X/Grok側からの公式訂正も確認されていません(16日13時時点)。
今回の事例は、AIが生成するコンテンツが、たとえ免責事項があろうとも、瞬時にして個人の名誉や企業の信頼を大きく損ない得ることを示しています。生成AIの利用が拡大する中で、プラットフォーム側によるファクトチェックの徹底と、ユーザー側のAI出力に対するうのみにしない姿勢の重要性が改めて強く認識される教訓となったのではないでしょうか。
(LASISA編集部)

