
自分にとっての常識が世間一般の常識と信じて疑わない人は、“厄介”である。立場や状況、時代の流れによっても“常識”というものは移り変わる。今回はそういったことにはお構いなしで「そんなの一般常識だよ?」「それ、普通じゃないよ?」と言いまくるちょっと困った人のエピソードを紹介する。彼女の「普通」という発言には、相手の立場や事情を考慮するという視点が欠けているため、ときに“逆に非常識”とさえ捉えられる発言を繰り返す。ゆえに「ありえなーい!予防接種しないとか普通じゃないよ?」と同僚を追い詰める発言をするにいたるのだった。彼女が「普通」と思っている世界線には、予防接種を打ちたくても打てない体質の人間がいるということは抜け落ちていたのだった――!

とある百貨店のアパレルブランド店に新しいスタッフが加入した。彼女の名前は布津(ふつ)さん。ベテランのスタッフであるが、彼女こそがこの物語をかき乱していく「普通だよ?」が口癖の人物だった。布津さんは、加入早々、さまざまな問題を巻き起こしていく。食べ物を口にしながら店頭に出たり、商品をストックしている棚の引き出しを足で蹴って閉めたり…。とても見過ごすことができない行動に、同僚スタッフも店長も注意をするのだが、聞く耳を持たない。「このくらい普通だよ?」と受け流されてしまうのだ。


そして、彼女の「普通」は度を越していく…。インフルエンザが流行していたある日のこと。「私は予防接種済みだし基本安心だけどね!キコちゃんも当然打ったでしょ?」と、同僚に問いかけた。“キコちゃん”は、予防接種を打つとアナフィラキシーショックを起こす体質だったため、その事情を布津さんに説明するのだが、「ありえなーい!予防接種しないとか普通じゃないよ?」「こんな子、店頭に立たせて大丈夫なの?」と彼女を追い詰めていく。さらには「近くの病院の予約を取ってあげるから休憩中に行ってきな」と言うのだった。

本作『ベテランスタッフ、布津さん』を描いたのは、アパレル業界で約10年の接客経験を持つゆき蔵(@yuki_zo_08)さんである。接客業をしていた当時に実際に体験した事象をベースに描く“接客業あるある”は、ウォーカープラスでも人気の漫画である。店舗名や人物は身バレしないようにアレンジをかけているものの、事実をベースに描いているというだけあり、とても興味深い。本作についてゆき蔵さんに詳しく話を聞いてみた。

――ベテランスタッフであるがゆえに、注意しづらいですね…。ほかの店舗でも注意されなかったのでしょうか?
これだけのベテランだと周りはほぼ後輩になるので、ほかの店舗でも注意しづらかったのかもしれません。
――「こんなの普通だよ?」「それ、普通じゃないよ?」を連発する布津さんですが、ゆき蔵さんが言われた「普通」で一番嫌だったものは何でしょうか?
作中にも描いているのですが、“アレルギーで食べられない食べ物”を“好き嫌い”と同等に扱うのは、「さすがに度が過ぎているのでは?」と思いました。

ベテランスタッフである布津さんの「普通」の線引きは、基本的に「他人に厳しく、自分に甘い」ものである。傍から見るとブレブレの線引きなのだが、彼女自身は一貫してそれが「普通」だと言い張る。矛盾だらけの彼女の世界線での「普通」…ぜひ本編を読んでみて。
取材協力:ゆき蔵(@yuki_zo_08)
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