夏の旅行や帰省で「身近な人と衝突」するのはなぜ? 解決テクニックを心理カウンセラーが解説

夏の旅行や帰省で「身近な人と衝突」するのはなぜ? 解決テクニックを心理カウンセラーが解説


旅行や帰省の際に家族や友人など、身近な人と衝突してしまう原因は?(画像はイメージ)

【画像】「えっ…!?」 これが他人の「悪口」をよく言う人の“心理的な特徴”です

 夏は帰省や長期旅行などで、家族や友人と外出する機会が増える季節です。そんなとき、いつもは気にならないようなことでなぜかイライラしたり、ケンカしてしまったりして、帰る頃には心も体もぐったりといった経験はありませんか。

 では、いつもと違う環境や時間を、家族や近しい間柄の人たちと過ごす中で、どういった要因がイライラやケンカという状況につながるのでしょうか。上手な関係性の保ち方や「心理的境界線」について、心理カウンセラーのうるかすさんに聞きました。

Q.なぜ旅行や帰省といった「非日常」で、身近な人に対してイライラしてしまうのでしょうか。

うるかすさん「旅行や帰省をポジティブな予定として楽しみにしていても、終わって家に着くとどっと疲れてしまったり、なぜかささいなことでイライラしてしまったりする経験をしたことがある人も多いと思います。

非日常というのは、脳や体にとっては『慣れない環境に身を置く』ということになり、いつもの生活よりもどうしても外部からの刺激が多くなってしまうことから、疲れやストレスが蓄積しやすい状態にあると言えます。

これに加えて、家族や親しい友人など身近な人ほどイライラしてしまう理由は、『近くにいる存在だからこそ、自分のことを理解してくれているだろう』という気持ちが強まっているからかもしれません。

たとえ仲の良い家族や友人であっても、好きなものごとや価値観、考え方というのは人それぞれで、皆違うものというのは言われてみれば当たり前のことですよね。

この、『わたしとあなたは違う存在である』という、自分と他者を区別する境界線のことを『心理的境界線(バウンダリー)』と呼んでいます。バウンダリーは通常、相手との関係性によって強く引かれたり弱く曖昧になったりしますが、安心できる存在であれば自分を強固に守る必要が少ないため、その境界は弱くなりやすい傾向にあります。

ところが、ストレスがたまったり余裕のない状況に立たされたりすると、普段よりもさらに境界線が曖昧になってしまい、自分と異なる意見や行動を尊重できなくなってしまうことがあります。これによって、『分かってくれない』『なんで〇〇してくれないの?』といったような不満やストレスが表面化してしまい、ケンカや衝突が起こりやすくなるんですね。

ただし、バウンダリーは一律に『安心できる相手ほど自然に緩まるもの』と考えることはできません。幼少期の発達や愛着形成の研究の中でも語られることがありますが、子どもの頃に安心感や人との距離感を築く経験が十分に得られなかった場合には、親しい相手との関係であってもバウンダリーの形成が難しくなることがあります。

そのため、本来は安心できる存在である家族や親しい友人に対しても、必要以上に距離を取り過ぎたり、反対に相手との境界線が曖昧になり過ぎたりするケースもあります」

Q.相手を傷つけず、自分を守るための心理的境界線の引き方はありますか。

うるかすさん「心理的境界線は自分と他者との関係性を表すものですが、他者がどう感じるかではなく、まずは自分の価値観や感情、大事にしているものを整理してみましょう。例えば、『どんな関係であってほしいか』『何をされたら嫌だと感じるのか』『どんな過ごし方をしたいのか』『相手を尊重できる部分は何か』などが挙げられます。

自分のことを理解しないまま他者のことばかり意識したり尊重したりしすぎてしまうと、バウンダリーが薄く曖昧で不安定な関係性に陥ってしまう傾向にあります。

他者の尊重を意識しすぎると、『本当は嫌だけど口に出して嫌と言えない』『相手が不機嫌なのはきっと自分のせいだろうと思う』など、必要以上に責任を感じたり、他者の目を気にし過ぎてしまったりする不健全な関係性が構築されてしまう要因となってしまいます。

自分の価値観やニーズを把握できたら、それを相手に伝えるときの表現も重要です。他者を意識し過ぎてしまう人は、他者に自分の気持ちを伝えることが怖いと感じる人も少なくないでしょう。そのため、まずは小さなことから少しずつ『断る練習』を意識してみると良いかもしれません。

例えば、ついつい頼み事や誘い受けてしまう人は、『今はちょっと難しいです』『ちょっと疲れているので…すみません』などと、さりげなく伝えてみる経験を重ねると、必要以上に罪悪感を感じることがなくなってくると思います。

次に、バウンダリーを引くための相手に意見を伝えるときに意識することは、『わたしはこう思う』という言い方をすることです。『あなたのために言っている』『あなたのここが嫌だ』という伝え方は、健全な関係性を保つための主張というより、ただ相手を非難しているだけに伝わってしまう可能性があるからです。

あくまで『私の気持ちはこう』ということを相手に伝えることは、相手を尊重しつつ自分の意見を伝えやすくなる工夫の一つでもあります」

Q.イライラした瞬間に、頭の中で「感情を切り離す」テクニックはありますか。

うるかすさん「イライラや怒りは突発的に起こるもので、コントロールすることは難しいと思うかもしれませんが、実は支配されがちな感情にもパターンがあります。

例えば、怒りが湧いた瞬間に相手に強く当たってしまって、後になってから『なんであんなことを言ってしまったんだろう』と後悔したことのある人も多いのではないでしょうか。これは、時間が経過して客観的な視点を持てるようになったことで、『あのときは言い過ぎちゃった』『もっと他に伝える方法があったのに』という柔軟な考え方が持てるようになったことを示しています。

つまり、怒りが湧いたその瞬間は、『極端にネガティブな姿勢になっている』『自分のことを客観視できていない』ということになります。これをもとに、怒りの感情に限らず、ネガティブな感情に支配されそうになったときには、客観的な視点で自分の感情と向き合ってみる練習を続けてみましょう。

すると、少しずつ『主観や思い込み、偏った意見になってないだろうか?』という視点を持てるようになり、より柔軟に思考を整理したり対話を繰り返したりできるようになっていきます」

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 日常ではない空間で、不安になったりイライラしてしまったりすることは、ある意味では自然なことと言えます。ただ、相手との関係性や言葉の伝え方を少し気を付けるだけでも、相手と衝突したり後悔したりするような発言や行動をとることが抑えられるかもしれません。

配信元: オトナンサー

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