酒好き必見!“肝機能”を守るための「適正量」と知らないと怖い前兆【医師監修】

酒好き必見!“肝機能”を守るための「適正量」と知らないと怖い前兆【医師監修】

アルコール性肝障害の診断には、血液検査・画像検査・問診の組み合わせが用いられます。血液検査ではγ-GTP・AST・ALTといった肝機能の指標を確認し、特にASTがALTより高い場合はアルコール性肝障害の特徴として知られています。また、腹部超音波検査やエラストグラフィ検査で肝臓の状態を視覚的に把握することも大切です。診断に際しては、飲酒量を正直に伝えることが適切な判断につながります。

中路 幸之助

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

飲酒の適正量と「節酒」の考え方

アルコール性肝障害を防ぐうえで、飲酒の量を管理することは非常に重要です。このセクションでは、飲酒の適正量の目安と、節酒に取り組むための実践的な考え方について説明します。

純アルコール量から考える適正飲酒の目安

飲酒量を管理するうえで、アルコール飲料の種類ごとの量ではなく「純アルコール量(g)」で考えることが基本です。純アルコール量は、以下の計算式で求められます。

純アルコール量(g)=飲酒量(mL)×アルコール度数(%)÷100×0.8

例として、ビール中瓶1本(500mL、アルコール度数5%)の場合は、500×0.05×0.8=20gとなります。日本酒1合(180mL、アルコール度数15%)は、180×0.15×0.8=21.6gです。

厚生労働省が推進する『健康日本21(第三次)』では、節度ある適度な飲酒量として1日平均の純アルコール量を男性は約40g程度、女性はその半分の約20g程度(ビール小瓶1本、日本酒0.5合程度)と定めています。 これはビール中瓶1本、日本酒1合、チューハイ(アルコール度数7%、350mL缶)1本に相当する目安です。ただし、女性は男性と比べてアルコールを分解する能力が低い傾向があり、肝障害を起こしやすいため、現在のガイドラインでは「飲酒量が少ないほどリスクは少なくなる」という考え方が推奨されます。また、お酒に弱い体質(フラッシング反応が出やすい人)や、肝臓の機能がすでに低下している人にとっては、この目安も当てはまらない場合があります。

「ちょい飲み」「休肝日」が肝臓に与える意味

アルコール性肝障害を予防するうえで、量だけでなく「飲まない日をつくること」も重要な柱のひとつです。休肝日とは、アルコールを全く摂取しない日のことで、肝臓が回復・修復に専念できる時間を与えることを意味します。連日飲酒が続くと、肝臓は休む間もなくアルコールを処理し続けることになり、脂肪の蓄積や炎症が慢性化しやすくなります。

週に2日以上の休肝日を設けることが、肝臓への負担を軽減するうえで役立つとされています。ただし、休肝日があればそれ以外の日に多量飲酒をしてよいというわけではありません。飲酒日の1日あたりの量が過剰であれば、休肝日の効果は限られます。

節酒を実践するための具体的な工夫としては、飲み始めの1杯目をノンアルコール飲料にする、飲む前に食事を済ませる、飲み会の場では炭酸水を挟む、アルコール度数の低いものを選ぶ、などが挙げられます。完全にやめることが難しい場合でも、まずは週の総飲酒量を把握し、少しずつ減らしていく取り組みから始めることが現実的な出発点となります。

アルコール性肝障害が疑われる人の飲酒量管理

すでに血液検査で肝機能の異常を指摘されている人や、アルコール性肝炎・肝硬変と診断されている人については、節酒ではなく断酒(お酒を完全にやめること)が原則となります。節酒では肝臓への刺激が続いてしまい、病状の改善が見込みにくいためです。

飲酒量が多い状態が長期間続いていた人が急に飲酒をやめると、離脱症状(不眠・手のふるえ・発汗・不安感など)が現れることがあります。このような場合は自己判断で急にやめようとするのではなく、医師の指導のもとで段階的に対応することが大切です。飲酒をやめることに難しさを感じている人は、消化器内科や内科、あるいはアルコール依存症に対応している外来への相談も検討してみてください。

まとめ

アルコール性肝障害は、初期段階では自覚症状がなく気づきにくい反面、飲酒習慣を見直すことで回復が期待できる病気でもあります。毎日の飲酒量を把握し、適正量を守り、休肝日を設けることが予防の基本です。症状が現れていなくても、習慣的な飲酒がある人は定期的な血液検査を受けて肝機能を確認することをおすすめします。気になる症状がある人や肝機能の異常を指摘された人は、早めに消化器内科や内科を受診し、専門の医師に相談してみてください。

参考文献

厚生労働省「アルコールと肝臓病」

厚生労働省「飲酒に関するガイドライン」

日本消化器病学会「患者さんとご家族のための肝硬変ガイドブック2023」

配信元: Medical DOC

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