「地に足がつかない」「雲の上を歩いているような感覚」といったふわふわするめまいには、自律神経の乱れや首・肩の筋肉の緊張が関係している場合があります。また、精神的なストレスや不安との関連も見逃せません。近年注目されている「持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)」も含め、ふわふわするめまいの背景にある原因をわかりやすく紹介します。

監修医師:
大津 和弥(医師)
三重大学医学部卒業。三重大学附属病院で研修。市立四日市病院、三重大学附属病院などに勤務後、国立がんセンター東病院研修。三重大学附属病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科 講師を務め、小松病院で一色信彦、田邊正博の音声外科医師の指導の下音声外科手術を研鑽。市立ひらかた病院耳鼻咽喉科部長、市立ひらかた病院耳鼻咽喉科主任部長、音声外科センター長などを歴任。大阪医科薬科大学臨床教授。現在は大津耳鼻咽喉科・ボイスクリニック 院長。
ふわふわするめまいの原因と特徴
「なんとなく地に足がつかない」「雲の上を歩いているような感じがする」といった浮動感のあるめまいは、ふわふわするめまいとして多くの方が経験します。このセクションでは、その原因と特徴について詳しく解説します。
自律神経の乱れがふわふわするめまいを引き起こすメカニズム
ふわふわするめまいの原因として、自律神経の乱れが深く関わっていることがあります。自律神経は、心臓の拍動・血圧の調整・消化機能など、意識せずに行われている身体の働きを自動的に制御している神経系です。活動時に働く「交感神経」とリラックス時に働く「副交感神経」の2つがバランスを取り合っており、このバランスが乱れると身体のさまざまな部分に不調が現れます。
自律神経が乱れると、脳や内耳(耳の奥の聴覚や平衡感覚を司る部分)への血流が不安定になり、バランスを保つ機能が正常に働きにくくなります。その結果、ふわふわと地に足がつかないような感覚が続くことがあります。過剰な精神的ストレス、睡眠不足、不規則な生活リズム、長時間のパソコン作業や不良姿勢(猫背など)が引き金になることも少なくありません。
また、「頸性めまい(けいせいめまい)」として知られる、首や肩のこり・筋肉の緊張が関係してふわふわするめまいが起こる場合もあります。首の筋肉や関節には「固有受容器(こゆうじゅようき)」と呼ばれる、頭の位置や傾きを感知するセンサーの役割を果たす組織があります。首の筋肉が強く緊張して血流が低下すると、脳へ送られる位置情報にズレが生じ、めまいの感覚を引き起こすと考えられています。デスクワークや長時間のスマートフォン使用により首へ負担がかかりやすい現代の生活環境は、こうしためまいを招く要因の一つとなっています。
精神的なストレスや不安との関連について
ふわふわするめまいは、精神的なストレスや強い不安感と密接に関連していることが知られています。うつ病や不安障害、パニック障害などの精神疾患に伴ってめまいが生じることがあり、これらは「心因性めまい」あるいは「精神性めまい」と呼ばれることもあります。
特に、「持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD:Persistent Posturo-perceptual Dizziness)」は近年注目されている慢性的なめまいの病態です。PPPDは、良性発作性頭位めまい症や前庭神経炎などの急性的なめまい症状をきっかけに発症し、元の病気が治った後も3ヶ月以上にわたってふわふわ感や体がゆらゆら揺れる感覚が続く状態を指します。立っているときや歩行時、あるいはパソコンの画面など動く視覚刺激を見たときに症状が悪化しやすいという特徴があります。
ストレスや不安が強くなると、身体は常に緊張状態(交感神経が優位な状態)に入りやすくなります。その状態が続くと、全身の筋肉の緊張・血流の偏り・浅く速い呼吸(過呼吸傾向)などが生じ、これがめまいの感覚をさらに増悪させる悪循環につながることがあります。
ふわふわするめまいの中には、稀に脳梗塞や脳出血といった脳の中枢神経系に関わる疾患が隠れている可能性もあります。症状が続く場合は、まず耳鼻咽喉科や脳神経外科・神経内科で頭部MRIなどの適切な身体的検査を受け、重大な病気がないか確認することが重要です。そのうえで、必要に応じて心療内科や精神科と連携した診療を受けることも有効な選択肢となります。症状を「気のせい」と放置せず、専門医のもとで丁寧に向き合うことが回復への近道となります。
まとめ
めまいには回転性・浮動性・立ちくらみといった種類があり、それぞれ原因や対処法が異なります。ふわふわするめまいには自律神経の乱れやストレスが関係していることが多く、ぐるぐる回るめまいは内耳の障害や脳の血流異常が背景にあることがあります。日常生活の見直しと並行して、症状が続く場合や神経症状を伴う場合は速やかに医療機関を受診することをおすすめします。
参考文献
日本めまい平衡医学会「めまいの診断基準化のための資料」
慶應義塾大学病院「めまい|患者さんへのガイド」
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「めまい・顔面神経麻痺」
- どんな「めまい」が回ると「脳卒中」の疑いがあるかご存知ですか?医師が徹底解説!
──────────── - “汗が止まる”のは悪循環の入り口―救急医が語る「熱中症」の見逃せない危険なサイン:熱中症特集第1回「症状編」
──────────── - 「鉄分が多い果物」1位は何かご存じですか?過剰摂取で現れる症状も管理栄養士が解説!
────────────

