「朝起きるとまぶたが強く腫れる」は危険?バセドウ病眼症の初期症状と原因

「朝起きるとまぶたが強く腫れる」は危険?バセドウ病眼症の初期症状と原因

バセドウ病眼症は、数ヶ月をかけて徐々に進行するケースが多く、初期段階では「疲れ目」や「乾燥」として見過ごされることがあります。目のゴロゴロ感や朝方のまぶたの腫れ、まぶたの吊り上がりなど、見逃しやすいサインが数多く存在します。早期発見・早期治療のために、どのような初期症状に注意すべきか、また放置した場合のリスクについてわかりやすくご説明します。

柳 靖雄

監修医師:
柳 靖雄(医師)

東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。

バセドウ病眼症の初期症状―見逃しやすいサインとは

バセドウ病眼症は数ヶ月かけて徐々に進行する場合が多く、初期段階では「ただの疲れ目かな」「最近乾燥するな」といった軽微な違和感として現れることがあります。目の後遺症を防ぐ早期発見・早期治療のために、どのような初期サインに注意すべきかを知っておくことが大切です。

初期に現れやすい目の症状

バセドウ病眼症の初期には、以下のような不快な症状が現れることがあります。

目のゴロゴロ感や異物感(砂が入ったような感じ)
目のかゆみやまぶたの奥の重い痛み
涙が出やすい、または目の表面が乾きやすい
白目の充血やむくみ(結膜浮腫)
朝方にとくに目立つ、まぶたの腫れや目の周りのむくみ
まぶたが閉じにくく、上がったまま下がりにくく感じる

これらの症状は、花粉症やドライアイ、長時間のパソコン作業による疲れ目などでも起こりうるため、初期の段階ではバセドウ病眼症だと気づきにくいことがあります。しかし、すでにバセドウ病の診断を受けている方や、動悸・体重の急激な減少・手の震え・汗をかきやすいといった甲状腺の全身症状を伴っている場合は、目への初期サインに注意が必要です。

特に「朝起きるとまぶたが強く腫れている」「夕方になると目の不快感や疲れが強まる」といった時間帯による変動がある場合は、単なる疲れ目とは異なる可能性があります。また、上まぶたが吊り上がって黒目の上の白目が露出して見える「眼瞼後退(がんけんこうたい)」も、バセドウ病眼症の初期に非常に現れやすい重要なサインのひとつです。

初期症状を放置するリスク

バセドウ病眼症は、炎症が激しい初期(活動期・アクティブ期)に適切な医療的ケアを受けずに放置すると、組織の肥大化や硬化が進み、見え方や外見に不可逆的な(元に戻りにくい)障害を残すリスクが高まります。

眼の奥(眼窩内)の炎症によって筋肉や脂肪が膨らみ続けると、脳へ視覚情報を伝える大切な神経を圧迫する「圧迫性視神経症(あっぱくせいししんけいしょう)」を引き起こすことがあります。急激な視力低下や色の識別がしにくくなる(色覚異常)、視野が狭くなるといった症状が現れ、まれですが緊急対応が必要です。

また、眼球が前方に押し出されてまぶたが完全に閉じない状態(兎眼:とがん)が続くと、黒目(角膜)が乾燥して表面に傷がつき、細菌感染症や角膜潰瘍(かくまくかいよう)を起こしやすくなります。

バセドウ病眼症の経過には個人差があり、自然に落ち着く方もいれば、急速に進行・悪化する方もいます。早期の活動期に専門医によるステロイド治療や放射線照射などを行うことで、眼球突出や複視などの重症化を大幅に抑えられる可能性が高まります。「目の調子がいつもと違う」「視界がかすむ」と感じたときには自己判断せず、バセドウ病眼症の専門知識を持つ眼科や甲状腺内科(内分泌内科)へ早めに相談することが何より大切です。

まとめ

バセドウ病眼症(甲状腺眼症)は、バセドウ病に関連して眼窩の組織に炎症・腫脹が起きる状態で、女性に多くみられます。初期は異物感・充血・まぶたの腫れ・眼瞼後退など、疲れ目や花粉症と紛らわしい症状から始まることがあり、放置すると複視や、まれに視神経障害など視機能に関わる状態へ進むことがあります。評価では「炎症が今あるか(活動性)」と「症状の重さ(重症度)」を分けてみるのが重要で、時期によって薬物治療と手術の役割が異なります。喫煙は悪化と強く関連するため禁煙が大切です。治療費は保険診療と自由診療の境界、高額療養費・医療費控除などの制度を医療機関や相談窓口で確認すると安心です。目の調子がいつもと違う、バセドウ病治療中に眼症状が気になる場合は、内分泌内科と、バセドウ病眼症に詳しい眼科へ早めに相談してください。

本記事の数値や費用は一般的な目安です。症状の進み方や必要な検査・治療は個人差が大きく、すべての方に同じ経過・同じ費用が当てはまるわけではありません。

参考文献

日本甲状腺学会「甲状腺疾患診断ガイドライン2024」

厚生労働省「健康・医療高額療養費制度を利用される皆さまへ」

東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科「甲状腺」

配信元: Medical DOC

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