「バセドウ病眼症」は進行する?初期症状から重症化を見極める“あの評価スコア”

「バセドウ病眼症」は進行する?初期症状から重症化を見極める“あの評価スコア”

バセドウ病眼症は、症状の程度によって軽症・中等症・視力を脅かす重症に分類されます。また「活動期」と「非活動期」という概念も治療方針を決める重要な判断材料です。CAS(Clinical Activity Score)と呼ばれる指標を用いて炎症の活発さを評価し、適切な治療法を選択します。自分の状態を正しく把握するために、重症度の見方と段階別の特徴を解説します。

柳 靖雄

監修医師:
柳 靖雄(医師)

東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。

バセドウ病眼症の初期症状の進行と重症度の分類

バセドウ病眼症は、症状の程度によっていくつかの段階に分類されます。自分の状態がどの段階にあるかを把握することは、治療方針を選択するうえで重要です。このセクションでは、症状の進行と重症度の目安について解説します。

症状の段階と重症度の見方

バセドウ病眼症の評価では、「活動性」と「重症度」を分けてみます。重症度はEUGOGO(欧州グレーブス眼症グループ)などの分類で、軽症・中等〜重症・視力脅威などに整理されることが一般的です。活動性の判定にはCAS(Clinical Activity Score)が用いられます。日本でも同様の考え方をもとに、治療選択は「活動性×重症度」で決まります。活動期の中等〜重症には静注ステロイド等が、視力脅威には高用量ステロイドや緊急減圧が、非活動期の残存変形には再建手術が、用いられることがあります。

軽症の段階では、まぶたのわずかな腫れや、軽い眼球突出、目の乾燥感程度の症状にとどまります。日常生活への支障は少ないことが多く、経過観察や保存的治療(眼科的なケアや点眼薬の使用など)が中心となります。

中等症になると、眼球突出がより目立つようになり、複視が現れることがあります。眼球の動きが制限される「眼球運動障害」が生じることもあり、生活の質に影響が出始めます。この段階では、免疫抑制療法や放射線治療などが検討される場合があります。

視力を脅かす重症(視力脅威)では、まず高用量のステロイド治療が検討され、効果が不十分な場合などに緊急の眼窩減圧術が必要になることがあります。迅速な対応が視機能を守るうえで非常に重要です。

活動性と非活動性の違い

バセドウ病眼症を理解するうえで重要なのが、「活動期」と「非活動期」の区別です。活動期は、現在進行形で炎症が起きている状態を指します。目の充血や涙が増える、強い痛み・違和感といった症状が出ている時期がこれに該当します。
この2つの時期によって、適切な治療法が異なります。活動期には、ステロイド療法が中心となり、症例によって眼窩放射線などが検討され、非活動期には、外見の改善や視機能の回復を目的とした外科的治療が検討されます。

CASスコアは、目の痛み、充血の程度、眼球突出の変化などを項目として評価し、活動期かどうかを判定するための指標です。スコアが高いほど活動性が高く、炎症が活発であることを示します。治療の効果を判定するためにも用いられるため、定期的な評価が大切です。

自己判断で症状の程度を評価することは難しいため、気になる症状がある場合は眼科や内分泌内科を受診し、専門の医師に相談することを強くおすすめします。適切な時期に適切な治療を受けることが、症状の安定や改善への近道となります。

まとめ

バセドウ病眼症(甲状腺眼症)は、バセドウ病に関連して眼窩の組織に炎症・腫脹が起きる状態で、女性に多くみられます。初期は異物感・充血・まぶたの腫れ・眼瞼後退など、疲れ目や花粉症と紛らわしい症状から始まることがあり、放置すると複視や、まれに視神経障害など視機能に関わる状態へ進むことがあります。評価では「炎症が今あるか(活動性)」と「症状の重さ(重症度)」を分けてみるのが重要で、時期によって薬物治療と手術の役割が異なります。喫煙は悪化と強く関連するため禁煙が大切です。治療費は保険診療と自由診療の境界、高額療養費・医療費控除などの制度を医療機関や相談窓口で確認すると安心です。目の調子がいつもと違う、バセドウ病治療中に眼症状が気になる場合は、内分泌内科と、バセドウ病眼症に詳しい眼科へ早めに相談してください。

本記事の数値や費用は一般的な目安です。症状の進み方や必要な検査・治療は個人差が大きく、すべての方に同じ経過・同じ費用が当てはまるわけではありません。

参考文献

日本甲状腺学会「甲状腺疾患診断ガイドライン2024」

厚生労働省「健康・医療高額療養費制度を利用される皆さまへ」

東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科「甲状腺」

配信元: Medical DOC

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