【学習漫画】「1年・1日」の長さはどう決まる?時間と季節を生み出す「地球の動き」の秘密【国立天文台に聞く】

【学習漫画】「1年・1日」の長さはどう決まる?時間と季節を生み出す「地球の動き」の秘密【国立天文台に聞く】

私たちの生きる現代には欠かせない「暦」。「1日」や「1年」といった時間の概念は暦が基となっており、たとえばお盆、シルバーウィークといった季節ごとに決まったスケジュールが定義できるのも、「暦」があってこそ。

では、暦はどのようにして決まっているのだろうか?それには、太陽と地球と月の動きが密接に関わっている。そしてまた、それら星の動きにも宇宙の原理が働いている。『角川まんが科学シリーズ 星と宇宙の科学 地球の危機を回避せよ!』(以下『星と宇宙の科学』)では、宇宙と暦にまつわるさまざまな現象を科学の視点から紹介している。
『角川まんが科学シリーズ 星と宇宙の科学 地球の危機を回避せよ!』
『角川まんが科学シリーズ 星と宇宙の科学 地球の危機を回避せよ!』 / (C)KADOKAWA CORPORATION (C)NAOJ, NINS


たとえば1日は、地球から見た時に太陽が地球の周りを回る規則性を利用して、その周期を「1日」とすることで決められた。これは、地球が自ら回転、つまり「自転」をしていることと関係している。地球が自転をしているから、地球上の私たちからは太陽が空を動いているように見えるのだ。
地球は自ら回転している
地球は自ら回転している / (C)KADOKAWA CORPORATION


同じように1年は、地球が太陽の周りを回っている「公転」が基となっている。1年が365日と決まっているのは、地球が太陽の周りを1周するのに約365日かかるからだ。ただ、本当は365日ぴったりの周期で1周しているわけではないので、その調整のために「うるう年」という概念が導入されている。
太陽の周りを地球が1周する時間に応じて1年は決まっている
太陽の周りを地球が1周する時間に応じて1年は決まっている / (C)KADOKAWA CORPORATION (C)NAOJ, NINS

わずかなずれを「うるう年」で調整している
わずかなずれを「うるう年」で調整している / (C)KADOKAWA CORPORATION (C)NAOJ, NINS


1年のなかに季節があるのにも、地球の天体運動の特徴が関わっている。自転・公転に加えて、地球の傾きがそのカギ。地球の地軸は公転面に垂直な線に対して、約23.4度斜めに傾いたまま太陽の周りを公転している。これによって、太陽の高度や昼の長さが時期によって異なり、太陽から受け取るエネルギーが変わり、気温や天気などに影響を与えている。このように私たちが感じる季節ごとの変化にも、地球の「動き」が大きく関わっているのだ。
日本に四季があるのは地球が傾いて自転しているから
日本に四季があるのは地球が傾いて自転しているから / (C)KADOKAWA CORPORATION (C)NAOJ, NINS

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このように、天体の動きと、私たちが日常生活で使っている暦は切れない関係にある。『星と宇宙の科学』では、ドラマチックなファンタジーストーリーも交えつつ、こういった暦や日常生活のつながりを科学の視点からわかりやすく解き明かしてくれる。今回は漫画の原案・監修を担当した国立天文台の柴田雄さんに、暦や宇宙の不思議などについて話を聞いてみた。

――『星と宇宙の科学』の原案・監修を担当した「国立天文台」とはどのような施設ですか?

【国立天文台・柴田さん】国立天文台は、日本の天文学研究の拠点となる研究機関です。大規模な天文観測施設を全国の研究者に提供するとともに、天文学研究と天文観測機器の開発を広く推進しています。

――本書の大きなテーマでもある「暦」と国立天文台にはどのような関わりがあるのですか?

【国立天文台・柴田さん】国立天文台では、「暦象年表」の編集や、その要旨である「暦要項」の作成、原子時計を用いた時刻のデータ収集と関係機関への共有を行っております。これらは、国立天文台に課された重要な「法定業務」(法律や政令によって実施が義務付けられている業務)となります。

暦計算室というところで編集している「暦象年表」には、天体の運動に基づき、毎年の天象(日食や月食など)予測、潮汐などの情報が掲載されています。その要旨の「暦要項」が内閣府などに共有されることで、「春分の日」などの国民の休日を国が発表できます。

また、「保時室」というところで収集している時刻のデータは、日本の中央標準時の決定にも使われています。私たちの収集したデータと、NICT(情報通信研究機構)や産総研(産業技術総合研究所)といった国内のほかの研究機関や、海外のデータが組み合わさり、日本の時間の基準となる中央標準時が決定されているのです。

――本書では、今と昔で暦が異なるという話もありましたが、詳しく教えてください。

【国立天文台・柴田さん】今使われている太陽暦(たいようれき)は、地球から見た太陽や恒星の動きが一巡するのを1年とした暦で、季節感とあまり矛盾が生じません。本書中にも説明がありますが、正確には1年の長さは365.2422日なので、約6時間の端数が毎年残ってしまいます。その補正のために設けられるのがうるう年です。4年に一度うるう年を設けて、2月を1日多い29日にすることで調整しています。

一方、日本では明治5年まで月の満ち欠けを1カ月の基準にする暦を使っていました。満ち欠けが一巡する周期を1カ月とする「太陰暦(たいいんれき)」では、太陽暦の1カ月より1日程度短くなります。このため、毎年10日強太陽暦に比べて日数が足りなくなり、季節とのずれが大きくなっていきます。このずれを補正するために、日本や中国では3年に一度の割合で1カ月分の「閏月」を挿入していました。この補正された暦を「太陰太陽暦」といい、明治5年まではこの暦を用いていました。
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――太陽暦では、なぜ1年は365日、1カ月は約30日、1日は24時間という数字になったのでしょうか?

【国立天文台・柴田さん】まず1日が24時間と決まりました。基本的に数字の選び方は、使いやすさを優先して、割り切れる数が多いものが優先されてきたようです。半分、三等分、四等分などにできますね。なので人間の都合で24時間と決まりました。

ざっくり1日は太陽が前日と同じ位置に戻るまでと決められます。太陰暦のころは月の満ち欠けで1カ月の長さが決まっており、前述の太陽が1周する「1日」が1カ月のうちに平均で29.5日でした。なので、1カ月はざっくり30日です。太陽暦になるとそれでは日数が足りないので、平均が30.5日になるよう日にちが加えられました。

1年が365日なのは、太陽が前日のもとの位置に戻るのを365回繰り返すと元の季節に戻るからです。エジプトでは太陽ではなく、恒星のシリウスが元の位置に戻るまでの期間を正確に記録しており、そのおかげで365日+αの端数があることが明らかになりました。

――地球の1年や1日の基準となった自転・公転の周期は一定なのですか?

【国立天文台・柴田さん】実は自転・公転の周期は一定ではありません。まず、自転の速さは減少傾向にあると言われています。地球の自転周期が月の公転周期よりも短いため、地球上から見ると、自転する方向に対して月がどんどん遅れて、置き去りになっていきます。月の引力によって地球の海水は月から引っ張られているのですが、置き去りになる月に引き付けられ、海水も地球自転に比べて置き去りにされます。海水と地面の間には摩擦があるので、地面も自転とは逆方向に引き戻される力を受けます。これが地球の自転が減速傾向にあると言われている原因の1つです。

また、公転の速度も一定ではありません。地球の公転軌道はきれいな円ではなく、楕円の軌道を描いて太陽の周りを公転しています。公転速度は太陽に近いほど早く、遠いほど遅くなるという性質があり、加速減速を毎年繰り返しているのです。このほかにも、木星など、太陽系のほかの惑星からの影響もあるため、不規則な変化も無視できません。

――太陽系のほかの惑星の話も本書ではありました。ほかの惑星の「1年」や「1日」は地球とは違うのですか?

【国立天文台・柴田さん】公転軌道が地球より大きかったり小さかったりするために、「1年の長さ」(太陽の周りを1周する期間)は惑星によって異なります。また、自転速度もまちまちなので、「1日の長さ」も24時間とは限りません。自転も公転も、惑星が作られたころに大まかに決まり、その後さまざまな天体同士の相互作用を経て、現在の多様な運動になったと考えられています。
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日本周辺に四季をもたらしている自転軸の傾きも惑星によって異なり、たとえば天王星であれば、地球の時間にして何年も太陽の光が当たらない地域や、その逆の何年もずっと夜が来ない、つまり太陽の光が当たり続ける地域も存在します。
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――本書の監修にあたって、国立天文台として「子どもたちに一番伝えたかった宇宙の魅力やロマン」を教えてください。

【国立天文台・柴田さん】本作では、暦のない異世界を舞台に、主人公の大輝や国立天文台公認キャラクターの『ホノカ』たちが活躍します。自分の知らない世界を知ることが、成長や飛躍のきっかけになるという点が、ストーリーとして伝えたいポイントになります。ただそれだけでなく、自分が知っていると思っている世界も、日々知らないところで変化が起きており、その変化もひっくるめた日常生活も「宇宙の一部」です。このような宇宙と日常生活のつながりも、宇宙の魅力やロマンとして伝わればと考えています。

――最後にこの記事の読者に伝えたいメッセージを教えてください。

【国立天文台・柴田さん】『星と宇宙の科学』は、読者の知識量に応じていくらでも深読みできる学習漫画です。本編と関わりのない部分にも、さまざまな科学的な知識がちりばめられており、そこから新しい学びも始められます。せっかくなので繰り返しお読みいただき、「あ、これの元ネタはあれかな?」という部分を探してみてください。

本書のあらすじは、謎の生き物・ホノカによって、「アステラ」という異世界へと導かれた主人公の大輝がアステラの危機に立ち向かうが、「アステラを救えば、地球が滅びる。地球を救おうとすれば、アステラが滅びる。」という困難に直面するというもの。完成されすぎたがゆえに、「時刻」や「1日」、「季節」などの暦の概念すら忘れ去られたアステラで、大輝たちはどのような「答え」を導き出すのか?ファンタジーとしても楽しめる『星と宇宙の科学』には、私たちが日々自然と使っている「暦」の不思議が詰まっている。今年の夏休みは、「宇宙」と「地球」の不思議に接してみてはいかがだろうか?

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配信元: Walkerplus

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