
郵便配達員が実際に経験した不思議な話や怖い話を漫画化した『郵便屋が集めた奇談』。今回は、F支店に勤める配達員・Iさんが遭遇した奇妙な“シミ”にまつわる恐怖体験『壁貌』を紹介する。




Iさんの配達先には、少し入り組んだ路地の先に家があった。バイクを降りて歩いて向かうその家には、寝たきりの高齢女性とその家族が暮らしており、呼び鈴に反応がない場合は不在票を切っていた。ある日、路地の壁に人の顔のようなシミがあることに気づいたIさん。「前からあったっけ?」と見つめるが、そのシミは妙にリアルで、自然現象とは思えなかったのだ。
■日ごとに移動する「顔」と、直後に訪れた住人の死
さらに気味が悪いことに、翌日「壁の顔」は移動していた。さらに翌々日には明らかに玄関前まで迫っていたという。その後、この家の家族と郵便局員を巻き込む騒動が起き、玄関には「忌中」の札がかけられることになった。
目を離したすきに顔が消えていたという事態に、本作の作者である現役郵便局員の送達ねこ(@jinjanosandou)さんは、「直後にこのお宅でご不幸があったといいますから、家族の『死』を知らせる前兆のような何かだったのか…」と推測する。
■「死神」の伝承か?怪異に向き合う配達員の職業意識
Iさんは腑に落ちる答えを見つけられなかったが、送達ねこさんは「世界各地で死者の魂を導く『死神』の伝承があるように、昔からはかり知れない存在があったのかもしれません」と語る。正体を言い切るのは難しいが、この事件以降、Iさんは路地で壁を見てしまう癖がついたという。
「奇妙な現象に遭った配達員は、しばらく記憶にとらわれるようです。でも、どんなに不気味な道でも配達があれば通ります」と送達ねこさん。Iさんの癖も、怪異への恐怖というよりは「大切な郵便を預かっているため、前にもまして周囲に気を配ろう」という職業意識の表れかもしれないという。
読者からも「背筋がゾクッとした」と好評の本作。日本のどこかでひっそりと起こる“怪異”を覗き見してみてはいかがだろうか。
取材協力:送達ねこ(@jinjanosandou)
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