クレアチニンの基準値は、成人男性で0.65〜1.07 mg/dL程度、成人女性で0.46〜0.79 mg/dL程度とされています。この違いは筋肉量の差によるものです。また、eGFRの値が60未満の状態が3ヶ月以上続く場合は慢性腎臓病(CKD)と判断され、G1からG5のステージで腎機能の低下程度が分類されます。数値の意味を理解することで、自身の状態をより正確に把握できます。

監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科
腎細胞がんの診断基準と検査の流れ
腎細胞がんの診断は、クレアチニンや腎機能の値だけでなく、さまざまな検査を組み合わせて行われます。このセクションでは、腎細胞がんの診断に用いられる検査の種類と流れについて解説します。
腎細胞がんの診断に使われる主な検査
腎細胞がんの診断には、以下のような検査が組み合わせて用いられます。
血液検査・尿検査
クレアチニン値やeGFRなどの腎機能指標に加え、貧血の有無や炎症の状態を確認するための血液検査、たんぱく尿や血尿の有無を調べる尿検査が行われます。腎細胞がんでは、血尿が見られることがありますが、初期段階では肉眼ではわからない程度の「顕微鏡的血尿」として検出されることもあります。
超音波検査(エコー検査)
超音波を使って腎臓の形や大きさ、腫瘍の有無を調べる検査です。身体への負担が少なく、外来で比較的手軽に実施できるため、最初のスクリーニングとして広く行われています。腎臓に腫瘤(しこり)が確認された場合は、次の精密検査へと進みます。
CT検査(コンピュータ断層撮影)
腎細胞がんの診断において中心的な役割を担う検査です。造影剤を使用することで、腫瘍の位置・大きさ・性状を詳しく把握でき、周囲の臓器やリンパ節への広がりも評価できます。CT検査によって病期(ステージ)の判定も行われます。
MRI検査(磁気共鳴画像法)
CT検査と組み合わせて用いられることがあります。特に、CT検査では判断が難しい腫瘍の性状を評価する際に役立ちます。また、造影剤が使えない患者さんに対しても有用な検査です。
生検(組織検査)
腫瘍から細胞や組織の一部を採取し、顕微鏡で確認することで確定診断を行う検査です。腎細胞がんの確定診断には病理検査が必要な場合がありますが、手術前に必ずしも生検が行われるわけではなく、画像検査の結果をもとに手術が行われることも多くあります。
腎細胞がんの病期(ステージ)分類について
腎細胞がんの治療方針は、病期(ステージ)によって大きく異なります。病期はがんの大きさや広がりをもとに分類され、一般的にステージI〜IVの4段階で表されます。
ステージIは腫瘍が腎臓内にとどまっており、大きさが7cm以下の状態です。ステージIIは腫瘍が腎臓内にとどまっているものの、大きさが7cmを超えた状態を指します。ステージIIIはがんが腎臓の周辺組織や近くのリンパ節に広がっている状態であり、ステージIVはがんが遠隔臓器(肺・骨・脳・肝臓など)に転移している状態です。
早期(ステージI・II)に発見された場合は、手術によってがんを取り除くことができる場合が多く、治療後の経過も良好な傾向があります。一方、ステージIVでは全身的な治療が必要となります。病期の判定にはCT検査やMRI検査が用いられ、クレアチニンやeGFRなどの腎機能評価も治療方針を決めるうえで重要な情報となります。
まとめ
腎細胞がんは初期症状が現れにくいため、早期発見には健康診断での超音波(エコー)検査や尿検査が非常に有効です。また、血液検査でわかる「クレアチニン値」は、がんの直接的なサインではありませんが、いざ手術や薬物療法を行うとなった際に、残された腎臓の機能を評価するための重要なバロメーターとなります。クレアチニン値の異常を指摘された場合は慢性腎臓病などの可能性もあるため、自己判断せずに腎臓内科を受診し、ご自身の腎機能を正しく把握しておくことをおすすめします。
参考文献
国立がん研究センター「腎がんとは | 国立がん研究センター中央病院」
厚生労働省「健康・医療腎疾患対策」
がん情報サービス「腎臓がん(腎細胞がん) 検査」
- 何をし続けると「腎臓がん手術後の予後」が悪くなる?生存率や症状も医師が解説!
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