「線香やお香の煙が原因で肺がん」を発症することはある?医師が徹底解説!

「線香やお香の煙が原因で肺がん」を発症することはある?医師が徹底解説!

線香やお香の煙が原因で発症することがある病気・疾患

日常生活において、線香を焚くことがとてもポピュラーな地域が世界的にみられます。例えば、中国やアラブ首長国連邦などといった国では、宗教的な儀式などの関係で、線香やお香を焚く機会が多いようです。
線香やお香は、不完全燃焼し煙を長時間排出するため、場合によっては有害な成分が人体に吸入される可能性があります。そうした成分によって、受動喫煙と同様、あるいはそれ以上に有害になってしまうケースもあると考えられています。ただし、どれくらいの頻度、回数、濃度で線香やお香を焚くのかなどについては、まだ研究段階といえます。
ここでは、線香やお香の煙が発症する可能性を高める可能性がある病気について紹介します。

気管支炎・喘息

アジアの学童を対象にした研究では、家庭内でお香を焚くことが、気管支炎や細気管支炎のリスク増加と関連していたとも報告されています。
煙の中に含まれる一酸化窒素や二酸化窒素が、空気の通り道である気道に進行し、こうした呼吸器疾患を引き起こす可能性が考えられています。
また、線香やお香の煙への曝露と喘息症状の増悪との関連を指摘する報告もあります。特に、小児やアレルギー体質の方では、気道の過敏性が高まりやすい傾向があるため注意が必要です。
一方、線香やお香の煙への曝露と、肺炎や慢性閉塞性肺疾患との関連はないという報告もあります。現時点では、煙の濃度やさらされる期間、頻度などにばらつきがあるので、一貫した知見は得られていないのが実情です。
なお、急性気管支炎の多くは、かぜ症候群に伴う上気道の炎症が気管からさらに奥の気管支に波及したものです。咳や痰、発熱、食欲不振、全身倦怠感などといった症状が現れます。このような症状が現れた場合は、呼吸器内科を受診しましょう。

心血管系疾患

線香の煙が心血管系疾患に影響を与える可能性があることが、数多くの研究で示唆されています。例えば、線香を焚く回数が多くなればなるほど、動脈硬化の程度も高まるというデータもあります。アジアの中高年の方で、20年以上毎日家庭で線香を焚いていた場合、心血管系の疾患による死亡リスクが高まったとも判明しています。なお、心血管疾患の例としては、例えば心筋梗塞などがあります。

認知機能の低下

最近、線香を焚くことと神経心理学的な問題との間には関連性があるのではと示唆する研究もみられます。例えば、アジアで、脳卒中や認知症のない高齢者の方を対象とした研究があります。この研究では、線香を使用した方は使用していない方と比較し、認知機能の低下がみられると明らかになっていました。

肺がんの原因

ここでは、肺がんの原因と考えられている要因について解説します。

喫煙

喫煙は、肺がんの大きなリスク因子となります。非喫煙者と比較し、喫煙者が肺がんを患うリスクは男性4.4倍、女性2.8倍といわれています。また、喫煙開始年齢が若ければ若いほど肺がんのリスクは高まります。一方で、喫煙者が禁煙すると肺がんのリスクは低下し、禁煙が早ければ早いほどその効果は大きいです。
喫煙は、本人だけでなく、周囲の方も受動喫煙の曝露を受けることで肺がんリスクを高めます。受動喫煙者は、そうでない方と比較し肺がんリスクが1.3倍に高まります。

慢性閉塞性肺疾患

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、慢性気管支炎や肺気腫といった病気の総称です。タバコの煙などの有害物質を長期間吸入することで、肺に生じた炎症性疾患です。
症状としては、咳や痰、動いた際の呼吸困難感などがあります。
COPDは肺がんのリスクを高めるのではないかと考えられています。
COPDの主な原因も、喫煙です。禁煙が治療の基本となります。タバコを現在吸っていたり、以前に吸っていたりして、慢性的な咳や痰などの症状がある場合、呼吸器内科で診察を受けるようにしましょう。

職業的曝露

アスベストやラドン、ヒ素、クロロメチルエーテル、クロム酸、ニッケルなどに職業的に曝露されていた場合、肺がんのリスクが高まると報告されています。
また、特に粒径が2.5ミクロン以下の微小浮遊粒子による大気汚染も肺がんリスクを高める可能性があります。

アスベストを吸い込んでいた可能性があり、呼吸困難や咳、胸痛などの症状がみられる場合には、お近くの労災病院などの専門医療機関への相談をおすすめします。

配信元: Medical DOC

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