【国立天文台に聞く】流星群や日食・月食、オーロラなどの神秘的な天文現象はなぜ起きる?天体観測の楽しみ方も聞いてみた

【国立天文台に聞く】流星群や日食・月食、オーロラなどの神秘的な天文現象はなぜ起きる?天体観測の楽しみ方も聞いてみた

『角川まんが科学シリーズ 星と宇宙の科学 地球の危機を回避せよ!』(以下『星と宇宙の科学』)では、宇宙と暦にまつわるさまざまな現象を科学の視点から紹介。作中では、日食や月食、オーロラなどさまざまな天体イベントにまつわるエピソードが繰り広げられ、科学の視点からわかりやすく解き明かしてくれる。今回は漫画の原案・監修を担当した国立天文台の柴田雄さんに、天体イベントが起こる仕組みや天体観察する際の注意点などについてインタビューを行った。
『角川まんが科学シリーズ 星と宇宙の科学 地球の危機を回避せよ!』
『角川まんが科学シリーズ 星と宇宙の科学 地球の危機を回避せよ!』 / (C)KADOKAWA CORPORATION (C)NAOJ, NINS


――まずは月食・日食について教えていただければと思います。そもそも「日食」と「月食」は、どのような条件で起こるのでしょうか?

【国立天文台・柴田さん】太陽・地球・月が直線上にほぼ並んだときに起きます。地球と太陽の間に月が入れば日食、太陽から見て地球の裏側に月が来れば月食となります。

――月は地球の周りを、地球は太陽の周りを周期的に公転していますが、なぜ日食や月食はあまり頻繁に起こらないのでしょうか?

【国立天文台・柴田さん】それは、月の公転軌道が地球の公転軌道と比べて4度ほど傾いているため、なかなか直線上にきれいに並ばないからです。日食を例にとると、地球と太陽の直線から4度ほど月の位置がずれていれば、両天体が重ならないので、日食にはなりません。月食も同様です。地球や月の影が重なる程度に、直線上に並んだときにだけ食が起こります。

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――日本で次に日食や月食を楽しめるのはいつになりますか?

【国立天文台・柴田さん】次に月食が日本で見られるのは、2028年8月の部分月食になります。また、次に日本で見られる日食は2030年6月で、月が太陽を隠しきれず、周囲が光のリングのように輝いて見える「金環日食」です。日食を観察するときには、太陽は絶対に直接見ず、必ず専用の日食グラスや太陽観察用フィルターを使用して観察しましょう。

――『星と宇宙の科学』中では、太陽活動が活発になり、日本付近でもオーロラが見られたという物語上の描写がありました。実際に日本でもオーロラが見られることはあるのでしょうか?

【国立天文台・柴田さん】オーロラの原因となるのは、「太陽風」と呼ばれる、太陽から届く電気を帯びた粒です。「太陽フレア」という太陽表面での巨大な爆発が発生すると、太陽風で届く粒子の数が多くなり、オーロラも発生しやすくなります。そのため、太陽フレアが発生して、かつその影響範囲が地球を向いていれば、オーロラ観測のチャンスです。太陽風は地球が作る磁気(地磁気)の影響を受けて地球の極域(南極や北極)の近くに向けて流れるので、日本でも北海道などではよく観測が報告されています。
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【国立天文台・柴田さん】地磁気の軸の向きが遠い未来に変化していけば、800年以上前の1204年2月21日に京都で見られた赤いオーロラ「赤気」が、京都のような低緯度でも頻繁にみられるかもしれません。ただ、現在は軸が別の方向を向いているので、よほどのことがなければ京都で頻繁に見ることはできないと思います。しかし、地磁気が大きくゆがめられることで、このような低緯度で観測されることも稀にはあります。

――ほかに一大天文イベントといえば流星群が挙げられると思います。8月に見られる「ペルセウス座流星群」について教えてください。

【国立天文台・柴田さん】流星群は、彗星のような小天体がバラまいた粒子が地球大気と反応することで、たくさんの流れ星が出現する現象です。母天体となる彗星軌道周辺に粒子がただよう領域があるのですが、公転中の地球が毎年その領域に突っ込むことで、多量の粒子が大気と反応して流星“群”となります。流星群の流れ星は、夜空のなかのある点(放射点)から放射状に出現するのですが、「ペルセウス座流星群」はその放射点がペルセウス座の付近にあるため、その名前で呼ばれています。

今年のペルセウス座流星群の活動は、8月13日(木)11時頃に極大となることが予想されています。日本では昼間にあたり、この時間帯に観察することはできませんが、その直前となる13日(木)未明を中心に多くの流星が見られそうです。また極大の8月13日(木)が新月で、月明かりの影響を全く受けることがないという好条件ですので、ぜひ観察してみてください。

普段より目立って多くの流れ星を見ることができるのは、8月12日(水)の夜から13日(木)未明にかけてと、13日(木)夜から14日(金)未明にかけての2夜です。いずれの夜も、21時頃から流れ星が出現し始め、夜半を過ぎて薄明に近づくにつれて流星の数が多くなると予想されます。最も多く流れ星が見られるのは、13日(木)の夜明けごろ(東京では3時台)と考えられ、空の暗い場所での流れ星の数は1時間あたり35個程度が期待されます。14日(金)の夜明けごろにも比較的多くの流れ星が見られそうで、同様に1時間あたり30個程度と予想されます。流れ星は、放射点を中心に出現しますが、放射点付近だけでなく空全体に現れます。いつどこに出現するかもわかりませんので、なるべく空の広い範囲を見渡すようにしましょう。

――天体観測の際の注意点や持っていくべきアイテムはありますか?

【国立天文台・柴田さん】アイテムでいえば、私の経験では虫よけと水分補給用の飲み物、懐中電灯が必須です。暗いので足元には気をつけてください。また、今の季節は特に蚊なども多いので、虫よけは必須です。

――柴田さんにとっての星空観察における「好条件」はありますか?

【国立天文台・柴田さん】何を観測したいかによるので、一概に好条件というものはないと考えています。その場所で見られる星空がその時点での最高の星空です。ただ、しいて言えば、概算されている旧暦(月の満ち欠けで決まる暦)から予想した月の形と実際の月の形を比較して、月の満ち欠けを観測するのは楽しいかもしれません。月の観察であれば、曇天や雨天以外なら誰でも楽しめると思います。
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――実際の夜空とは別に宇宙の姿を楽しめるドームシアターが「国立天文台 三鷹キャンパス」にあるとお聞きしました。その詳細を教えてください。

【国立天文台・柴田さん】東京都三鷹市にある「国立天文台 三鷹キャンパス」には、「4次元デジタル宇宙プロジェクト(4D2Uプロジェクト)」が開発した「4D2Uドームシアター」があります。空間3次元と時間1次元を合わせた4次元で、最新の宇宙像を描き出すのが「4D2Uプロジェクト」です。最先端の観測装置から得られるデータやスーパーコンピュータによるシミュレーションデータを立体映像によって、科学的に正確に可視化することで、「宇宙の姿」を目の当たりにしてもらうことを目指しています。「4D2Uドームシアター」では、月3回の一般向けの定例公開日を設けています。事前予約制の人気コンテンツのため、受付開始日時を確認の上、お申し込みください。
4D2Uドームシアターでは月3回の一般向けの定例公開を行っている(要申込)
4D2Uドームシアターでは月3回の一般向けの定例公開を行っている(要申込) / 画像提供:国立天文台



――最後に書籍の監修にあたって、国立天文台として「子どもたちに一番伝えたかった宇宙の魅力やロマン」を教えてください。

【国立天文台・柴田さん】『星と宇宙の科学』では、暦のない異世界を舞台に、主人公の大輝や国立天文台公認キャラクターの「ホノカ」たちが活躍します。自分の知らない世界を知ることが成長や飛躍のきっかけになる、という点がストーリーとして伝えたいポイントになります。ただそれだけでなく、自分が知っていると思っている世界も、日々知らないところで変化が起きており、その変化もひっくるめた日常生活も「宇宙の一部」です。このような宇宙と日常生活のつながりも、宇宙の魅力やロマンとして伝わればと考えています。

――最後にこの記事の読者に伝えたいメッセージを教えてください。

【国立天文台・柴田さん】『星と宇宙の科学』は、読者の知識量に応じていくらでも深読みできる学習まんがです。本編と関わりのない部分にも、さまざまな科学的な知識がちりばめられており、そこから新しい学びも始められます。せっかくなので繰り返しお読みいただき、「あ、これの元ネタはあれかな?」という部分を探してみてください。

本書のあらすじは、謎の生き物・ホノカによって、「アステラ」という異世界へと導かれた主人公の大輝が、アステラの危機に立ち向かうが、「アステラを救えば、地球が滅びる。地球を救おうとすれば、アステラが滅びる。」という困難に直面するというもの。完成されすぎたがゆえに、「時刻」や「1日」、「季節」などの暦の概念すら忘れ去られたアステラで、大輝たちはどのような「答え」を導き出すのか?ファンタジーとしても楽しめる『星と宇宙の科学』には、多くの人が楽しみ、憧れを抱いている天体イベントも多く登場し、解説されている。今年の夏休みは、本書とともに「宇宙」と「地球」の不思議に接してみてはいかがだろうか?



取材協力:国立天文台

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配信元: Walkerplus

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