
世間知らずでリッチな財閥3世が、莫大な財力とコネ、持ち前の遊びのスキルで悪党を追い詰めていく痛快アクションコメディー「財閥 x 刑事」のシーズン2が、8月7日にディズニープラス スターで配信開始。シーズン1に続いて主人公の財閥3世チン・イスを演じているのが、韓国の人気俳優アン・ボヒョンだ。オリンピックを目指すほどの元ボクシング選手という異色の経歴から、キャリアを重ねてきた彼の足跡と人となりに迫る。(以下、過去出演作のネタバレを含みます)
■ボクシング選手からモデル、そして俳優へ
1988年5月16日生まれの38歳。俳優デビューは2014年、26歳の年だった。中・高校時代はボクシングに熱中。釜山地域の代表選手として活躍し、全国会長杯ボクシング大会などで金メダルを複数獲得した有望株だった。
オリンピックを目指していたもののケガが多く、高校卒業を機に競技生活から引退。当時は職業軍人になりたかったが、両親に止められ、187cmという長身だったこともあって大学のモデル学科に進学。入学後、数カ月でソウルコレクションの舞台に出演し、モデルデビューを果たした。
芸能事務所にも所属しないまま、入学からわずか数カ月でソウルコレクションの舞台に立つという異例のスピードデビューだった。こうして、導かれるように芸能の世界に足を踏み入れたボヒョン。本人にとっても、人前に立つこの世界が肌に合っていたようで、バラエティー番組で「両親にモデルはどうかと勧められて、一度やってみようかと思ってやってみたら、すごく面白かったんです。新世界でした」と当時を振り返っている。
モデルとして活動を始めてから数年後、ドラマ「ゴールデンクロス」(2014年)の端役で俳優デビュー。演技学科を出ていないことを引け目に感じていたといい、1日に3つのアルバイトを掛け持ちするような生活の中で数々のオーディションを受け続け、つかんだのが大ヒットドラマ「太陽の末裔 Love Under The Sun」(2016年)のイム・グァンナム役だった。ボヒョン自身も「僕の始点」と語るこの作品から、彼の俳優人生は大きく開けていく。
■「10年後には“俳優アン・ボヒョン”になっていると思います」
最高視聴率41.6%を記録した「太陽の末裔」で演じたグァンナムは、主人公ユ・シジン(ソン・ジュンギ)の部下。せりふの少ない役だったにもかかわらず、画面に映り込む鍛え上げられた肉体美がファンの視線を集めた。当時、インタビューで語っていた「今はまだ“モデル兼俳優”ですが、10年後には“俳優アン・ボヒョン”になっていると思います」という俳優業への強い思いは、10年もかからずに実現することになる。
同作の4年後、ボヒョン本人も「ターニングポイントになった作品」と振り返る、話題作「梨泰院クラス」(2020年)で主人公を苦しめる金持ち御曹司チャン・グンウォンを怪演し、本格的にブレイク。その後も、原作コミックのキャラと“歴代級のシンクロ率”と言われた「ユミの細胞たち」シーズン1(2021年)のユミの彼氏ク・ウン役、「マイネーム:偽りと復讐」(2021年)での先輩刑事チョン・ピルド役などで注目を集め、着々と人気・実力を兼ね備えた存在としてステップアップしていった。
オリンピックも目指したほどのボクシング選手出身であることから、身体能力を生かした抜てきも多かった。ウェブドラマ「トッコ リワインド~復讐の毒鼓~」(2018年)では、元高校レスリング部エースのピョ・テジンを演じるため3カ月前から体作りに没頭。「彼女の私生活」(2019年)では、元オリンピック柔道銀メダリスト、ナム・ウンギ役のためバルクアップして彫刻のような肉体を完成させ、主演ドラマ「軍検事ドーベルマン」(2022年)では圧倒的なアクションを披露。2ケタ視聴率を獲得した。

■アクションにも代役なしで挑んだ「財閥 x 刑事」
「財閥 x 刑事」シリーズは、そんなボヒョンの代表作の一つに数えられる作品だ。2024年に放送・配信されたシーズン1の第1話から、豪快な財閥御曹司キャラと、代役に頼らないキレ抜群のケンカアクションが爽快で、話題を呼んだ。
当時、放送開始直前に行われた制作発表会で、ボヒョンは「今回のアクション監督さんはこれまでも僕と4作品でご一緒させていただいている方なので、僕がうまくできること、得意とするものを加味してアクションシーンを作ってくださいました。監督も代役を立てずに演じることを望んでいたので、できるだけ自分の力でやり切りました」とコメントしていた。
キム・ジェホン監督もボヒョンの“ヒーローとしての能力値”について、「想像以上です。僕が見てきた俳優の中で最高だと思います」と絶賛していることからも、彼の身体能力の高さがうかがえる。
シーズン1で「SBS演技大賞」ミニシリーズ・ジャンル/アクション部門男子最優秀演技賞を獲得したボヒョン。受賞スピーチでは、「家族のみんなに。『お前に演技なんかできるのか』って言ってたけど…賞、とりました」とトロフィーを掲げていたずらっぽく笑ってみせ、チャーミングな人柄ものぞかせた。
■シーズン2は「ワクワクそわそわした気持ち」
そして、約2年半ぶりの続編となるシーズン2がスタート。シーズン1の人気から、放送終了前の2024年3月時点ですでにシーズン2の制作が決定していたが、今作では主人公チン・イスがメキシコに飛ぶなどスケール感も完成度もさらにアップ。相棒として新たに「ジョンニョン:スター誕生」(2024年、ディズニープラス)のチョン・ウンチェが加わり、愉快痛快爽快なストーリーが展開する。
シーズン2の制作発表会では「シーズン2はプレッシャーよりも期待が大きかったです。90%くらい(シーズン1と)同じスタッフとキャストが集まったので、まるで冬休みが終わって学校に戻ってきたようなうれしい気持ち、ワクワクそわそわした気持ちで戻ってきた気がします」と、本人も期待を膨らませており、「シーズン2では、予想できないエピソードや人物がたくさん出てきます」とアピールしていた。
プライベートでは自転車に乗るのが好きで、休みの日にはよく南漢江のサイクリングロードを疾走しているという。「休むのが体質的に合わない気がします。休んでいても、すぐ仕事をしたくなる」といい、兵役義務を学生時代に果たしていたこともあって、この12年は途切れることなく活動し続けてきたボヒョン。
俳優という仕事を愛する彼が、最新作「財閥 x 刑事」シーズン2でどこまで進化したチン・イスを見せてくれるのか楽しみだ。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

