
現役の郵便局員である送達ねこ(@jinjanosandou)さんのもとに集まった、同僚たちが体験した不思議な話や怖い話を漫画化したのが『郵便屋が集めた奇談』である。毎日、町の隅々まで配達して回る郵便局員たちは、どんなに怖い体験をしても、配達物がある限りその場所を回避することはできない。今回紹介するのは「僕は霊を信じない。幽霊を見たとかそんなのは錯覚だと思っている」と語る、I局に勤める配達員・山本さんの話だ。霊に否定的な彼が、桜の季節になると思い出す少し不気味なエピソードである。




■霊を信じない郵便局員が遭遇した奇妙な出来事
数年前の春、とある家へ郵便配達に訪れた山本さんは、庭先にたたずむご主人と遭遇する。手渡ししようと声をかけるが、一向に振り向いてくれない。熱心に何かを見ている様子だったので尋ねてみると「桜を見ているんです」と答えてくれた。しかし、その返答には2つの奇妙な点があった。
本作『桜』について、送達ねこさんに話を伺った。この体験後も山本さんの「霊を信じない」というスタンスは変わらないという。
「『人は死んだら無に還ると思っています。幽霊もいるはずがない。それだけに、この体験がずっと気になっています』と山本さんは言っていました。もし彼が霊の存在を信じていたなら、これほど引きずらなかったかもしれません。自分としては全くありえないことなので、いまだに納得のできないところも含めて、とても気持ちの悪い体験になっているようです」
芯を持って霊を信じない彼だからこそ、この出来事に得体のしれない不気味さを感じているのだ。
■「自分では見えない」背中に張り付いた不気味な花びら
漫画を読んだ読者からは「逃げようと背中を向けたときに花びらをつけられたんですかね…」といった感想が寄せられている。山本さんも、同僚に背中を指摘された瞬間を思い出すとゾッとするそうだ。
さらに「自分では見えない背中」にびっしりと濡れた桜の花びらをつけられたことについて、送達ねこさんは「霊を信じない立場だからこそ、複雑な思いがあるようです」と語る。
「死んだ住人の家から、逃げる自分を追いかけてきた花びら。死の光景に背中を向けて現実の世界に戻ろうとする自分を追ってまで、痕跡を残した桜…。『ずっと霊の話に背中を向けてきた自分に、背後から声もなく呼びかけてくるものがあるようで、それもまたこの体験を引きずっている一因と思います』と複雑な気持ちを話してくれました」
■死の世界から呼びかけるような恐怖の痕跡
霊を信じない山本さんだが、彼が会った人は一体誰だったのか。さらに、すでに桜は散ってしまっていた時期に、彼の背中に付着していた“濡れた”花びらはどう説明できるのか。
『郵便屋が集めた奇談』は、読者から「こういう不思議で怖い話って好き」「背筋がゾクッとしたけど、めちゃくちゃおもしろい」と好評を得ている。日本のどこかの町でひっそりと起こっている怪異を、ぜひ覗き見してみてほしい。
取材協力:送達ねこ(@jinjanosandou)
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

