
新卒で入社した会社で、定時退社をすると「社内の空気を悪くしている」と言われ、トイレへ行く回数まで指摘される――。理不尽な環境の中で心身のバランスを崩し、パニック障害、適応障害、抑うつ状態となった経験を描いた漫画「新卒で入った会社で精神病になってニートになった話」が、多くの読者の共感を集めている。作者は、自身の日常や生きづらさを漫画で発信しているけろちゃん@kerochan_mangaさん。今回は、作品に込めた思いや、当時の経験について話を聞いた。
■布団の中から始まった実体験の記録



けろちゃんさんは、SNSで日常や生きづらさを感じた経験を漫画として発信している。今回の作品を描き始めたきっかけは、精神的に追い詰められていた時期だった。
「漫画のタイトルどおり、パニック障害、適応障害、抑うつ状態の精神病になって会社を退職し、ニートになりました。布団から出ることもできず、『私の人生どこから狂ったんだろう』と思いながらポテチを爆食いして気を紛らわせるむなしい日々が続いていたときに、漫画は布団の中でも描けたので『どうせならこのむなしさを形にして残すか』と、軽い気持ちで描き始めました」
苦しかった日々をただ消えていく記憶にせず、形として残したい。その思いから生まれた作品は、同じように悩む多くの読者へ届くことになった。
■「この会社にいることが間違っている」と感じた日々
職場では、上司や先輩からの指示だけでなく、働き方そのものにも疑問を抱いていたという。
「定時で帰ることなどを注意されていましたが、私も『こうしたほうが効率よくなるのでは?』と上司に生意気にも直談判していました。そこからさらに反感を買い、爆速スピードで私へ苦情や注意が相次いだのを覚えています」
自身の意見を伝えたことで、さらに厳しい対応を受けるようになったけろちゃんさん。しかし、そこで感じたのは単なる怒りだけではなかった。「会社のやり方に思考停止して従順に従う人を重宝していると気づき、私がこの会社にいることが間違っているんだなと思いました」
転職を考えながら準備を進めていたものの、ストレスは少しずつ限界へ近づいていった。入社1年後には休職し、そのまま復帰することなく退職。その後、約3年間働けない時期を過ごした。「退職して約3年間ニートとして過ごしていました。2年目からは、もう引きこもりです。布団から起き上がる気力もなく『私の人生どこから狂ったんだろう』と天井を見つめ、過去に思いを馳せていました」
■自分を守るために選ぶ道
心身を削りながら働き続ける人へ、けろちゃんさんが伝えたいのは「会社基準」ではなく「自分基準」で考えることだという。
「『タイミングを見極める』ことが大事じゃないかと思っています。今いる環境から抜け出すのか、もう少し様子を見るのか、環境を変える行動をしてみるのかとか。一番してはいけないと思うのは、我慢することです」無理を重ねた結果、心や体が限界を迎えても誰かが代わりに責任を取ってくれるわけではない。だからこそ、自分自身が納得できる選択をしてほしいと語る。
漫画には「似たような症状だったので共感しました」「トイレで待ち伏せって…」など、多くのコメントが寄せられた。作品を通じて読者とつながれたことは、作者自身にとっても大きな意味を持ったという。
「漫画を描いて一番よかったのが、読者の方と心の共有ができたことです。家庭で培われた経験や癖と社会で生きていくことのズレというか、その影響もあってうまく会社になじめなかったとも感じています。そういったズレを同じように感じている方のコメントは印象深かったです」
現在は新しい環境で仕事に復帰できたというけろちゃんさん。最後に読者へ、「悲しき引きこもり爆食ニート時代の暇つぶし漫画が、こんなに多くの方に見ていただけるとは思っていませんでした。励まされたし、いただいたコメントに考えさせられることが多く、とてもありがたかったです。漫画はこれからも好きなように描いていこうと思っています!」とメッセージを寄せた。
■取材協力:けろちゃん(@kerochan_manga)
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