皮膚がんの患者数が年々増えていることをご存知でしょうか。高齢化に伴い10年前の2倍以上に増え、年間3万人罹患しています。
軟膏を塗ってもしばらく治らなかったりシミがどんどん大きくなってきたり、その原因は加齢のせいではないかもしれません。
「肌が白いとなりやすい」や「ほくろを取るとがんになる」など様々な仮説についての検証と早期発見のためのポイントまで解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「皮膚がん」を疑う症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
皮膚がんの診断と治療方法

皮膚がんを疑うポイントはどんなところですか?
最近急にほくろが大きくなった・盛り上がってきた・出血した
かたく触れるできものがある
急にシミが6ミリ以上の大きさになってきた
鼻や目の周りにできものがある
左右非対称でギザギザのほくろができた
爪に黒や茶色い線が入った
頭や顔に紫色の大きくなった湿疹がある
顔・手・お尻などにできた湿疹がステロイドを使用しても2週間以上治らない
昔の火傷やケガをした部位に湿疹のようなものができて治らない
陰部や肛門周辺などに赤い斑点や白斑のような湿疹ができた
頭をぶつけたところのあざが治らない
一見、皮膚表面は普通だがつまむとしこりがある
顔にカサつくピンクのできものがある
検査の方法について教えてください。
ダーモスコピーという真皮上層の10~30倍拡大できるルーペで皮膚を切らずに良性・悪性の検査ができ、皮膚深部の検査にはMRI・CT・エコーなど画像検査でがんの性質を判定しがんの疑いがあれば腫瘍の一部を採取し病理検査を行います。手術前に触診や画像診断などでリンパ節転移が確認されない患者さんが対象となるセンチネルリンパ節生で最初にがんが転移するリンパ節を調べることもあります。
治療には手術を行いますか?
がんの種類により手術方法も異なり、基本は外科手術で腫瘍部位の切除をし進行すると転移を起こす可能性のあるものは化学療法・放射線治療を行います。センチネルリンパ節を取り除く手術の後はその通り道を考えた再建法が必要です。もし診断を受けたらなるべく2週間以内に手術を行うことが必要です。イボ様のものにはレーザーや液体窒素で治療が可能なものもあります。
どんな薬を使いますか?
治療薬は皮膚がんの種類と進行度によって異なります。悪性黒色腫は進行期には分子標的薬で治療を行い免疫チェックポイント阻害薬を術後補助療法として行うことが一般的です。患者さんの状態によって治療法を使い分けています。外用薬・内服薬で治療できるものもありますので高齢者でも治療がしやすいでしょう。
編集部まとめ

メラノーマという言葉は耳にしていましたが、それ以外にも皮膚がんにはいくつもの種類があることが分かりました。まずは気付くことが大事です。
普段から、自分の体を見ていないと病変に気付くことができないので顔・手足・足の裏など特に皮膚がんに罹患しやすい部位は観察しておきましょう。
皮膚がんに限らずですが、免疫力がないとがんに負けてしまうので日頃からビタミンを摂り、適度な紫外線対策をしてよく笑うなど細胞を活性化していくと良いですね。
参考文献
悪性黒色腫(メラノーマ)(日本形成外科学会)
ビタミンD(厚生労働省)
メラノーマ(ほくろのがん)(日本皮膚科学会)

