
仲野太賀が主演を務める大河ドラマ「豊臣兄弟!」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の第30話が8月9日に放送された。織田信長(小栗旬)の遺志を継ぎ天下取りを目指す秀吉(元の名・藤吉郎/池松壮亮)が「清須評定」で駆け引きを繰り広げる展開が描かれた。(※以下、ストーリーのネタバレを含みます)
■後継者をめぐる熾烈な駆け引き「清須評定」が開幕
1582年(天正10年)6月。本能寺の変で織田信長が倒れ、山崎の戦いで明智光秀(要潤)が討たれた後、織田家の後継者をめぐる争いが勃発していた。尾張・清須城を舞台に、跡継ぎと広大な領地の分配を決める「清須評定」が執り行われることになる。
順当にいけば、信長とともに命を落とした嫡男・織田信忠(小関裕太)の息子であり、信長の孫にあたる三法師(清水伊織)が家督を継ぐのが最も妥当な道であった。しかし、三法師はわずか3歳。元服するまでは誰かが名代となり、織田家の政を預からねばならない。血筋の正統性を重んじるならば、信長の次男で一門衆筆頭の織田信雄(山脇辰哉)だが、度重なる失敗により生前の信長からも見限られており、周囲からの信頼は壊滅的だった。三男・織田信孝(結木滉星)は、光秀を討った総大将としての実績を盾に「我こそが名代にふさわしい」と主張していた。
そんな中、秀吉は「上様(信長)の思いを継ぐ」という野望を果たすため、弟の長秀(元の名・小一郎/仲野)にも評定へ同行してほしいと頭を下げる。息子・与一郎(大西利空)の死を悼み、悲しみに暮れる妻・慶の側にいたいと一度は拒んだ長秀だったが、慶(吉岡里帆)からの「与一郎のためにもこの世を変えてくだされ」という切実な説得を受け、清須へ向かう覚悟を固める。
秀吉は、三法師が家督を継ぐ際の祝い品として立派な小袖を用意するよう家族に依頼。与一郎を失ったショックで笑顔がなくなっていた一家だったが、重大な役目を前に再び手を取り合い、一歩を踏み出し始める。

■傷心の市と対面する秀吉…さらに暗躍する宿老たち
一方、兄・信長の死によって絶望の淵に突き落とされた市(宮崎あおい)は、清須城の一室に閉じこもっていた。柴田勝家(山口馬木也)は信長を守れなかった無念さを滲ませ、涙ながらに謝罪する。
その後、市の部屋を訪れた秀吉は、信長からの書状を広げたまま、暗がりで絶望する市の姿に言葉を失ってしまう「あの頃に戻りたい…先のことなどどうでもよい」と気力なく呟く市に対し、秀吉は「わしにお力をお貸しくださりませ」と必死に語りかけるのだった。
同じ頃、長秀は評定に参加する有力武将たちの元へ急ぎ足で向かっていた。丹羽長秀(池田鉄洋)に過去の恩義を伝えつつ、誰を跡継ぎに推すのか探ろうとするものの、丹羽はなかなか本心を明かさない。
池田恒興(堀井新太)は信雄を推すと言い、「あれでなかなか話のわかるお方よ…」と不敵な笑みを浮かべる。不審に思った長秀が探ると、案の定、信雄は「自分を推せば摂津を譲る」と恒興に持ちかけていた。
摂津一国を条件に信雄へついた恒興、血統の正統性を重視して信孝を推す勝家、そして未だ態度を明らかにしないキーパーソンの丹羽。事態が混迷を極める中、秀吉は当事者である信雄と信孝を排除し、勝家、丹羽、恒興、そして自分を加えた宿老4人による直接会談という奇策を提案する。

■宿老4人による直接対談…一触即発の対立からの、団結へ
その夜、織田家の命運を握る4人が膝を突き合わせ、互いを睨み合う。議論が真っ向から対立する中、秀吉は「我ら皆でやりませぬか?」と突如として提案する。信雄でも信孝でもなく、4人がそれぞれの強みを活かして幼い三法師を支える「合議制の後見役」を立ち上げるべきだと主張したのだ。
猛反発する勝家に対し、秀吉は「お市様をめとりなされ」と言い放つ。秀吉には信長から授かった養子がおり、丹羽の妻は信長の親族、恒興は信長の乳兄弟であった。他の面々に比べて織田家との血縁が薄い勝家に対し、「織田家と深いつながりを持つべきだ」と、秀吉は巧みな大義名分を並べ立てたのだった。
実はこれこそ、秀吉が事前に市のもとを訪ねた理由だった。「織田家のため、勝家様に嫁いでほしい」と懇願して了承を得ていたのだ。長年抱き続けた市への想いがありながらも、「どのようなことになろうともうぬの言いなりになはらぬ!俺はうぬが大嫌いじゃ!」と怒りを爆発させ、殴りかかる勝家。
まさにその時、「三法師様がおられぬ!」と長秀が駆け込んでくる。それは、侍女との女遊びに見せかけて三法師を連れ去ろうという信雄の企みだった。探し回った一同はついにその姿を発見したものの、潜んでいた侍女が突如として襲いかかる。その反動で倒れかかってきた棚を身を挺して受け止める勝家と、下敷きになりかけた三法師をかばう秀吉。侍女はその場で自害を遂げた。
「こうして4人で力を合わせたのはいつ以来か…」と笑みをこぼした丹羽と恒興は、秀吉の提案を受け入れることに。勝家も市との婚礼について「あのお方をめとれるような男ではない」と固辞しつつも、合議制については渋々納得するのだった。

■秀吉が仕掛けていた罠に一同驚愕…そして市の決意
数日後、京にて織田家の新たな家督相続者となった三法師の「初お目見え」の儀が執り行われた。重臣たちが居並び平伏する中、なぜか秀吉だけが「腹を壊した」と姿を見せない。その席で長秀は、信雄の企みを知りながらもあえて静観していた真実を黒田官兵衛(倉悠貴)に打ち明けていた。
そして三法師が現れた瞬間、一同は息を呑む。そこにいたのは、三法師を抱きかかえ、一段高い玉座から見下ろす秀吉の姿だったのだ。秀吉が「これからは織田家筆頭家老となったこの羽柴秀吉が、ここにいる者たちとともに力を合わせて三法師様をお支えいたしまする!」と朗々と宣言すると、三法師の「うむ、頼りにしておるぞ、秀吉!」と幼い声が響き渡る。これこそ、自らの権力を絶対的なものにするため、秀吉が裏で何度も三法師に仕込んでいた言葉だった。
鮮やかに出し抜かれ、茫然自失となる宿老たち。とりわけ勝家は、激しい悔しさと絶望で全身を震わせていた。
後日、市に呼び出された勝家。現れた市の顔からは以前の衰弱した面影は消え去り、その瞳には兄・信長を思わせる力強さが宿っていた。そして、「やらねばならぬことができた。勝家、私をめとれ」とまっすぐに勝家を見つめ、静かに命じるのだった。

■羽柴兄弟の緻密な計略に称賛相次ぐ 市との対立に「辛すぎる」と不安の声
秀吉と長秀の計画により、有力宿老たちから一歩リードした今回。SNSには「すごい策略家…!人たらしっぷりに拍手!」「秀長も信雄の企みを知っていたなんて…」「どこからどこまでが計画なのか分からないくらい!」と称賛の声が相次いだ。
また、次回はさらに泥沼する織田家の主導権争いの中で、市・勝家との対立も描かれていく。視聴者からは「ついに賤ヶ岳か…」「大切にお守りしてきたお市様と決別するなんて辛すぎる」「『私をめとれ』という勇ましいセリフがかっこよかった」「さすが信長の妹、ただでは引かない!」と期待と不安の声が集まっている。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
※宮崎あおいの「崎」は正しくは「たつさき」


