「多様性」か「機会の公平」か?教育政策の根幹を問う
愛媛大の女子枠導入は、国が主導する「多様性推進」の政策に従ったものです。しかし、九段中等の事例が示すように、定員枠を撤廃した「公平」な市場原理に任せれば、特定の層(この場合は女子)に合格者が集中する傾向があったということ。
したがって、女子枠の導入は、「個人の機会の公平」を一時的に犠牲にしてでも、社会全体の「分野別多様性」を強制的に確保するという、極めて政治的な判断を内包しているのではないでしょうか。
この論争の行く末は、「能力に基づく選抜」という普遍的な原則が、国の主導する「ジェンダー是正」という政策的要請によってどこまで書き換えられるか、という点に集約されます。今後、理工系分野への女子枠導入が全国の大学に拡大した場合、男子受験生にとっては、進学機会の制限が恒常的なものとなり、教育政策の根幹を揺るがす構造的な課題へと発展する可能性もあり得るのではないでしょうか。
(足立むさし)

