腎細胞がんの診断には、血液検査・尿検査・超音波検査・CT検査・MRI検査・生検などが組み合わせて用いられます。病期(ステージ)はⅠからⅣの4段階で分類され、腫瘍の大きさや周囲への広がり、遠隔転移の有無をもとに判定されます。早期に発見された場合は手術で対応できる可能性が高く、治療の選択肢も広がります。検査の目的と流れを知っておくことが、受診への第一歩になるかもしれません。

監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科
腎細胞がんの初期症状とその特徴
腎細胞がんは初期段階では自覚症状がほとんどないことが多く、健康診断や別の病気の検査中に偶然発見されるケースも少なくありません。このセクションでは、腎細胞がんの初期症状について詳しく解説します。
腎細胞がんで見られる可能性のある症状
腎細胞がんの初期症状は曖昧なものが多く、日常生活の中で見過ごされやすい傾向があります。代表的な症状としては、以下のものが挙げられます。
血尿(けつにょう)
尿に血液が混じる状態を血尿といいます。肉眼で確認できるほど赤みがかった尿が出る場合もありますが、初期段階では尿検査でのみ検出される「顕微鏡的血尿」として見つかることが多いです。血尿が見られた場合は、腎細胞がんのほかにも膀胱がんや尿路結石など、さまざまな疾患の可能性があるため、早めに泌尿器科などで診察を受けることが大切です。
腰や背中の痛み・違和感
腫瘍が大きくなるにつれて、腰や背中の側面(側腹部)に鈍い痛みや違和感を感じることがあります。ただし、この症状は腰痛や筋肉痛と混同されやすく、がんに特有の症状ではありません。痛みが続く場合や原因がわからない場合は、医師への相談をおすすめします。
腹部に触れる腫瘤(しこり)
腫瘍が大きくなると、お腹を触れたときにしこりとして感じられることがあります。ただし、腎臓は背中側に位置しているため、腫瘤として自覚されるには腫瘍がある程度大きくなっている場合が多いです。
全身的な症状
腎細胞がんでは、がん自体が炎症を引き起こしたり、特定のホルモンや物質を産生したりすることで、発熱・体重減少・倦怠感(だるさ)・食欲不振などの全身的な症状が現れることがあります。これらの症状は他の疾患でも見られるため、がんとの関連を見極めるには医療機関での検査が不可欠です。
なぜ腎細胞がんは初期に発見されにくいのか
腎臓は身体の深い部分(後腹膜腔)に位置しており、他の臓器に比べて触診や視診では状態を把握しにくい構造にあります。また、腎臓には一定の「予備能」があり、片側の腎臓の機能が低下しても、もう一方の腎臓が補うことがあるため、症状が出にくい面があります。
さらに、腎細胞がんの初期症状は非特異的(がんに特有とは言えない)なものが多く、日常的な疲労感や腰痛と区別がつきにくいため、自覚症状から早期に気づくことが難しい状況です。このような背景から、腎細胞がんは無症状のまま進行してしまうことがあり、健康診断などで偶然発見される「偶発がん」として見つかることも少なくありません。
定期的な健康診断を受けること、特に超音波検査や尿検査を活用することが、腎細胞がんの早期発見につながると考えられています。症状がなくても、リスクが高いと思われる場合(高血圧・肥満・喫煙歴がある方など)は、積極的に検査を受けることを検討してみてください。
まとめ
腎細胞がんは初期症状が現れにくいため、早期発見には健康診断での超音波(エコー)検査や尿検査が非常に有効です。また、血液検査でわかる「クレアチニン値」は、がんの直接的なサインではありませんが、いざ手術や薬物療法を行うとなった際に、残された腎臓の機能を評価するための重要なバロメーターとなります。クレアチニン値の異常を指摘された場合は慢性腎臓病などの可能性もあるため、自己判断せずに腎臓内科を受診し、ご自身の腎機能を正しく把握しておくことをおすすめします。
参考文献
国立がん研究センター「腎がんとは | 国立がん研究センター中央病院」
厚生労働省「健康・医療腎疾患対策」
がん情報サービス「腎臓がん(腎細胞がん) 検査」
- 何をし続けると「腎臓がん手術後の予後」が悪くなる?生存率や症状も医師が解説!
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