食後高血糖の改善には、治療だけでなく日々の生活習慣の見直しが不可欠です。「やめること」を意識するだけで、血糖の変動を抑えやすくなる場合があります。このセクションでは、食後高血糖に悪影響を与える習慣と、その改善に向けた具体的な方向性を解説します。

監修医師:
井筒 琢磨(医師)
2016年仙台市立病院循環器内科
2019年江戸川病院糖尿病・代謝・腎臓内科
2023年岩手県立中央病院糖尿病・内分泌内科 兼 救急診療科
2023年医療法人社団啓愛会理事
2026年孝仁病院美希病院
所属学会
日本医師会 産業医
日本循環器学会 循環器専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医
日本内科学会 総合内科専門医
食後高血糖を改善するためにやめるべき習慣
食後高血糖の改善には、日々の習慣を少しずつ整えることが大切です。まず、食後すぐに横になったり座り続けたりする習慣は、食後血糖を高い状態に留めやすくします。食後15〜30分程度の軽い散歩を取り入れることで、血糖の変動が緩やかになる可能性があります。次に、精製糖質の多い食事や早食いも見直したいポイントです。野菜・たんぱく質・食物繊維を組み合わせた食事の中で糖質を摂ることで、吸収の速さが和らぎます。さらに、朝食を抜く習慣にも注意が必要です。朝食を抜くと「セカンドミール効果」(最初の食事が次の食事後の血糖上昇を抑えるメカニズム)の恩恵が受けられず、昼食後に血糖値が急激に跳ね上がりやすくなります。できることから、焦らず取り組んでいきましょう。食事の内容や回数については、管理栄養士や内科・糖尿病内科の医師に相談することが、長く続けられる近道になるかもしれません。
食後すぐに横になる・座り続ける習慣をやめる
食後にすぐ横になる、あるいはソファでじっとテレビを見続けるといった行動は、食後血糖を高い状態に留めやすくします。食事の直後は血糖値が上昇するタイミングであり、このときに身体を動かさないでいると、筋肉によるブドウ糖の消費が行われないまま時間が過ぎることになります。
食後15〜30分程度の軽い散歩は、食後血糖の上昇を穏やかにする効果があるとされています。「食後は休む」という習慣が根付いている方も多いかもしれませんが、少なくとも10分程度でも身体を動かすことを意識するだけで、血糖値の変動が緩やかになる可能性があります。
もちろん、術後や体調不良の方、高齢で歩行が難しい方などには、無理な運動は禁物です。自分の身体の状態に合わせた無理のない動き方を、主治医と相談しながら取り入れることが重要です。
精製糖質の多い食事・早食いの習慣をやめる
白米、食パン、甘い飲み物、お菓子類など、精製された糖質を多く含む食品は、食後の血糖値を急激に上げやすい食べ物です。これらをすべて排除する必要はありませんが、一度の食事での摂取量や頻度を見直すことは、食後高血糖の改善に向けた重要なステップになります。
特に、糖質の多い食べ物を単独でまとめて食べる食べ方は血糖値の急上昇につながりやすくなります。野菜・たんぱく質・食物繊維を組み合わせた食事の中で糖質を摂ることで、吸収の速さが緩やかになります。
また、早食いをやめることも大切な改善策のひとつです。食事をゆっくりよく噛んで食べることで、インスリンの分泌が血糖の上昇に追いつきやすくなります。目安として、一口30回程度を意識するとよいといわれることがありますが、まずは今よりも少し時間をかけて食べることから始めてみることが現実的な出発点となるでしょう。
不規則な食生活・欠食の習慣をやめる
朝食を抜いたり、食事の時間が毎日バラバラだったりする不規則な食生活も、食後高血糖を悪化させる原因のひとつとして挙げられます。特に、朝食を抜いた後の昼食では、食後の血糖値がより大きく上昇しやすい傾向があるとされています。朝食を抜いたり、食事の時間が毎日バラバラだったりする不規則な食生活も、食後高血糖を悪化させる原因のひとつとして挙げられます。特に、朝食を抜いた後の昼食では、食後の血糖値がより大きく上昇しやすい傾向があるとされています。
これには「セカンドミール効果」という仕組みが深く関係しています。セカンドミール効果とは、「その日最初にとった食事が、次の食事(第2の食事)の後の血糖値上昇を抑える」という体の大切なメカニズムです。朝食を抜いてしまうと、この恩恵を受けられないだけでなく、前夜からの絶食時間が長くなりすぎることで、昼食をとった際にかえって血糖値が急激に跳ね上がりやすくなってしまいます。
1日3食を一定のリズムで食べることは、血糖値を安定させる基本的な習慣のひとつです。とはいえ、仕事や生活スタイルによってすぐに改善することが難しい方も多いでしょう。まずは朝食だけでも摂るよう意識する、食事の間隔が長くなりすぎないよう少量の補食を活用するなど、できる範囲から取り組むことが継続のコツになります。
なお、食事の回数や内容については、病状や体重、服薬内容によって個人差が大きいため、具体的な食事計画は管理栄養士や担当医に相談することが理想的です。
まとめ
食後高血糖は、糖尿病の発症や合併症の進行と深くかかわる重要な健康課題です。空腹時血糖値が正常でも油断できない場合があり、食後の血糖の動きを意識することが大切です。食後高血糖の主な原因には、インスリンの分泌遅延・抵抗性、食事内容や食べ方の問題、運動不足や睡眠不足など多くの要因が絡み合っています。食後すぐに横になる習慣や早食い、不規則な食事をやめることが改善の第一歩になります。気になる症状がある方や健診で血糖値の高さを指摘された方は、ぜひ内科や糖尿病内科・代謝内科への受診と相談を検討してください。
参考文献
日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
国立国際医療研究センター 「糖尿病情報センター」
厚生労働省「糖尿病の基礎知識」
国立循環器病研究センター「糖尿病・脂質代謝内科」
日本内科学会「インスリン抵抗性と2型糖尿病」(日本内科学会雑誌)
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