放置は危険?“クレアチニン”高値で受診すべきタイミングと「治療法」【医師監修】

放置は危険?“クレアチニン”高値で受診すべきタイミングと「治療法」【医師監修】

BUNやクレアチニンの値が高い状態が続くときは、医療機関での適切な評価を受けることが大切です。「どのタイミングで受診すればよいのか」「どのような検査や治療が行われるのか」と不安に感じる方もいるかもしれません。このセクションでは、受診の目安から検査・薬物療法・透析治療の流れまで、医療機関での対応について順を追って説明します。

田中 茂

監修医師:
田中 茂(医師)

2002年鹿児島大学医学部医学科卒業 現在は腎臓専門医/透析専門医として本村内科医院で地域医療に従事している。
専門は内科学・腎臓内科・血液透析・腹膜透析・臨床疫学・生物統計学

尿素窒素(BUN)が高いときの医療機関での対応

BUNやクレアチニンの値が継続的に高い場合や、急激に上昇している場合は、生活習慣の改善だけでなく医療機関での評価と治療が必要になることがあります。このセクションでは、医療機関での検査・治療の流れと、日常生活での注意点について説明します。

受診の目安と検査の流れ

健康診断でBUNやクレアチニンの異常を指摘された場合、まずは内科・腎臓内科を受診することが推奨されます。受診時には、健康診断の結果票・内服中の薬のリスト・生活習慣(食事・運動・飲酒・喫煙)に関する情報を持参すると、医師がより正確に状態を評価できます。
医療機関では、血液検査・尿検査に加えて、腹部超音波検査(エコー検査)や必要に応じて腎生検(じんせいけん)などの精密検査が行われることがあります。尿検査ではたんぱく尿や血尿の有無を確認し、腎臓の損傷の程度や原因を探ります。腹部超音波検査では腎臓の大きさや形態の異常を確認します。
検査結果に基づいて、生活指導のみで経過観察する場合と、薬物療法を開始する場合があります。慢性腎臓病が疑われる場合は定期的な外来通院が必要となり、腎臓内科での専門的な管理が行われます。

薬物療法と腎保護の治療

腎機能の低下が確認された場合、腎臓を保護することを目的とした薬物療法が行われることがあります。代表的なものとして、レニン・アンジオテンシン系(RAS)を抑制するACE阻害薬やARBと呼ばれる種類の降圧薬があります。これらは血圧を下げるだけでなく、腎臓の糸球体への圧力を軽減し、たんぱく尿を減少させる効果が期待されています。
近年では、SGLT2阻害薬という薬剤が糖尿病の有無にかかわらず腎保護効果を持つことが確認され、実際の治療で広く導入されています。 また、貧血を合併している場合はESA(赤血球造血刺激因子製剤)が用いられ、高カリウム血症や高リン血症に対してはそれぞれに対応した薬剤が使用されることがあります。
薬物療法はあくまでも腎機能の悪化を遅らせることを目指すものであり、一度低下した腎機能が完全に回復することは難しい場合もあります。しかし、適切な治療と生活習慣の改善を組み合わせることで、透析が必要になる時期を大幅に先延ばしできる可能性があります。治療の目標や方針については、主治医と十分に話し合いながら進めることが大切です。

透析治療が必要になる場合

腎機能が著しく低下し、老廃物の蓄積や水分・電解質バランスの乱れが生命維持を困難にするほど進行した場合は、腎代替療法(腎臓の機能を代替する治療)が必要になります。腎代替療法には、血液透析・腹膜透析・腎移植の3種類があります。
血液透析は週に3回程度、1回4〜5時間かけて医療機関でダイアライザー(人工腎臓)を使って血液をきれいにする治療法です。腹膜透析は自宅で行えるタイプの透析で、腹腔内に透析液を入れて老廃物を除去します。腎移植は健康な腎臓を移植する方法で、透析から解放される可能性がありますが、免疫抑制薬の継続が必要です。
透析への移行を見据えた準備は、腎機能がある程度低下した段階から医師と相談しながら計画的に進めることが望まれます。透析導入を避けるためにも、日常的なBUNやクレアチニンのモニタリングと、早期からの積極的な管理が重要です。

まとめ

尿素窒素(BUN)とクレアチニンは、腎臓の働きを知るための大切な指標です。基準値を超えた場合は、食事内容の見直しや生活習慣の改善を行うとともに、医療機関での精密検査を受けることが大切です。早期発見と適切な管理で、進行を遅らせることが期待できます。健康診断の結果に異常を感じた際は、一人で抱え込まず、まずは内科や腎臓内科に相談してみてください。日々の小さな積み重ねが、腎臓を守ることにつながります。

参考文献

厚生労働省「第7回 慢性腎臓病(CKD)ってなぁに?」

日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン2023」

東京大学医学部附属病院「腎臓・内分泌内科」

日本透析医学会「わが国の慢性透析医療の現況」

配信元: Medical DOC

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