コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、4コマ漫画『呪いの人形』を紹介する。『レバ美作品集』で知られる作者のレバ美さんが、9月12日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、7000件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、レバ美さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
■捨てても戻ってくる呪いの人形に悩む女性
着物を着た呪いの人形を見て、「捨てたはずの人形がまた戻ってきてる」と顔を青ざめる女性。驚いた女性は、「旅行ついでに捨ててきてやる！」と海に向かって人形を投げ捨てた。
しかし、人形はなぜかふたたび自分のもとに戻ってきてしまう。悲鳴をあげた女性の視線の先には、こんがりと日焼けした人形が立っており、どうやら夏を楽しんだようで…。
この予想を裏切る呪いの人形を読んだ人たちからは、「リサイクルショップで売れば永久機関に？」「不法投棄にならないように戻ってくれたという説もある」「茶目っ気があってかわいい」「ここまで来たら陽気なやつかも」など、多くのコメントが寄せられている。
■「資料探して描きました」作者・レバ美さんに漫画創作へのこだわりをインタビュー
――本作を創作したきっかけや理由があればお教えください。
Xに毎週土曜日にお題が提供されて1時間で4コマを描き上げる1h4dという企画があるんですがその日のお題が『人形』でした。呪いの人形で描いてる人が何人かいて私も髪が伸びる日本人形で描くことにしました。その時の4コマは孤独な少女が家じゅうの人形の髪を切るけど、なぜか日本人形だけ髪の毛が元に戻ることに対して「髪を伸ばす力があるなら私と遊んでよ」と言うシリアスな話でした。描いていると資料探ししたり手を動かしているうちにネタがポコポコ出てくるので捨てても戻ってくる人形も描いてみたいなと思ったのが始まりです。『ネットミームに強い呪いの人形』はその時Xの絵師界隈のトレンドがあったのでそれに乗っかったら今までで1番いいねがつきました。女性が人形を捨ててまた戻ってくる そのリアクションがオチなので構成が決まれば捨てた場所でバリエーションが広がるので思いつく限り描いています。
――本作では、呪いの人形に困っている女性と、夏を楽しんで帰ってきた呪いの人形とのギャップが非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい！」というポイントがあればお教えください。
ありがとうございます。「旅行ついでに捨ててきてやる！」って捨ててきたのに逆に海を楽しんで帰ってくるって面白くないですか？物事の矛盾について考えることが多いのでちょっと皮肉っぽい話が好きです。こだわった点は2コマ目の女性が人形を投げている時のフォームです。資料探して描きました。あとは人形の日焼け肌を健康的に見えるようにしました。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
タイトルとオチのセリフはいつも悩みます。わかりやすく伝わるように、でもユーモアも欲しいし。セリフ回しも流行があったりするので他の人の作品を読んで参考にしてます。余談ではありますが「アリーベデルチ！」とイタリア語でさよならを意味する言葉をかけて捨てるシーンがあるんですがポストした後イタリア在住の読者さんからコメント欄でアリーベデルチは「また会おう」という意味があるんだと伝えられ、ずっと「さよなら」だと思っていたのでビックリしました。じゃあ、戻ってくるのは必然じゃん、って。ちなみに「アリーベデルチ」は荒木飛呂彦先生の『ジョジョの奇妙な冒険』のキャラクターのキメ台詞です。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか？
他の人が描いている漫画を読んで面白いなと思った時にアイディアが浮かぶことが多いです。
自分だったらこう描くなー、とかこういうリアクションしたら面白いなーとか、描きたい気持ちが起こります。あとは人と会話したり、描きながら資料探ししたり調べてる時にストーリーが出てきます。圧倒的に動いてる時や外部からの刺激を受けている時ですね。単純だけど作品に取り組んでいる、手を動かしている事自体が大事だと思います。あとは仕事や人間関係で嫌なことがあった時。なんでそんなこと言うんだよーって思う時ですかね。物事の矛盾や人間の二面性について考える事が多いです。「なぜ」って言うのが私の中で1つの攻撃になってるからだと思います。
――今後の展望や目標をお教えください。
長い漫画も描きたいのですが完成できないのが悩みです。目標が『完成』ってレベル低すぎですが意外とハードルが高くて…長い時間がかかるのでまとめて描いて出す方がいいと思うんですが、一枚描いては投稿し描きながら出しているうちにあまりにもイイネが付かないとめんどくさくなって描くのをやめてしまう事が何回もありまして…その点4コマは結果がダメでもすぐ切り替えられるのがいいですね。計画性が無い、描くのが遅い、上手くならない…と悩みをあげるときりが無いです。理想ですが依頼で描きたいです。依頼を受け打ち合わせをしてネームを精査し締め切りに向けて責任を持って作品を描くことができればいいのにと思います。突き詰めると現金化、仕事にしたいというところですが個人活動ではうまくいってません。今は自分のキャラクターでラインスタンプを作ってますがそれも売れるかどうかわかりません。でもこういうアクションを重ねることで自分の底が知れるので納得できる部分もあります。興味を持ったことに挑戦していきたいと思っています。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします！
あなたが楽しみにしてくれる事が奇跡です！面白い漫画が描けるよう奇跡が起こせるようがんばりますので応援してください！
