「クレアチニン」が“基準値”を超える原因とは?腎臓が発する危険なサイン【医師監修】

「クレアチニン」が“基準値”を超える原因とは?腎臓が発する危険なサイン【医師監修】

クレアチニンは、筋肉を動かす際に生じる老廃物の一種です。健康な腎臓は血液中のクレアチニンをろ過して尿として排出しますが、腎機能が低下するとこのろ過がうまく働かず、血中濃度が上昇します。基準値は成人男性でおよそ0.65〜1.07mg/dL、成人女性でおよそ0.46〜0.79mg/dLとされています。ただし、筋肉量や食事内容によって数値が変動するため、一度の検査だけで判断せず、継続的な経過観察が大切です。

浅川 貴介

監修医師:
浅川 貴介(医師)

【経歴】
2004年私立海城高等学校卒業
2010年私立東邦大学医学部卒業医師免許取得
2012年公益財団法人日産厚生会玉川病院
2016年東邦大学医療センター大橋病院腎臓内科
2018年医療社団法人七福会ホリィマームクリニック
2022年浅川クリニック
【免許・資格】
・医学博士
・日本内科学会総合内科専門医
・日本腎臓学会腎臓専門医
・日本透析医学会透析専門医
・労働衛生コンサルタント(保健衛生)
・東京都福祉局認定難病指定医

多発性嚢胞腎(PKD)とクレアチニンの関係

多発性嚢胞腎(PKD)の経過を追ううえで、クレアチニンという血液検査の数値は欠かせない重要指標です。このセクションでは、クレアチニンとはどのような物質なのか、そして多発性嚢胞腎とどのように深く関係しているのかを詳しく解説します。

クレアチニンとは何か

クレアチニンとは、筋肉を動かしたときにエネルギーを使った後に生じる老廃物の一種です。通常、健康な腎臓がこのクレアチニンを血液中からろ過して、尿と一緒に体外へ排出しています。血液検査でクレアチニンの濃度を測定することで、腎臓がどの程度きちんと血液の清掃・ろ過の仕事をこなせているかを確認することができます。

クレアチニンの基準値は、成人男性でおおよそ0.65〜1.07mg/dL、成人女性でおおよそ0.46〜0.79mg/dLとされています。ただし、クレアチニンは筋肉量の影響を強く受けるため、筋肉量の多い方やスポーツをする方、食事内容によって数値が変動することもあります。そのため、一度だけの検査結果で判断するのではなく、定期的な血液検査で継続的に経過を観察していくことが大切です。

腎臓の働きが低下すると、老廃物が十分にろ過されずに血液中に残るため、クレアチニンの数値が上昇していきます。クレアチニンの値は腎機能の低下を直接的に反映しているため、腎臓内科などの医療機関において治療管理の重要な指標として位置づけられています。クレアチニンが少し上昇したからといって直ちに激しい症状が出るわけではありませんが、その推移のスピードを丁寧に追っていくことが求められます。

多発性嚢胞腎ではなぜクレアチニンが上昇するのか

多発性嚢胞腎(PKD)では、腎臓の中に嚢胞(のうほう:水や液体が溜まった袋)が年齢とともに数多く発生し、少しずつ大きくなっていきます。この増大した嚢胞が周囲の正常な腎臓の組織や血管を圧迫して破壊してしまうことで、腎臓全体のろ過機能が徐々に低下していきます。その結果として、老廃物であるクレアチニンが血液中に蓄積しやすくなり、検査数値が上昇していきます。

多発性嚢胞腎の大きな特徴として、初期段階では自覚症状がほとんど現れない点が挙げられます。また、初期〜中期は残された正常な組織がカバーして働く(代償機能)ため、嚢胞が大きくなっていても長期間クレアチニン値が正常範囲内に留まり、ある時期を境に急激に数値が上昇し始めるケースも少なくありません。
クレアチニン値が上昇するペースには大きな個人差があります。遺伝的な要因のほか、高血圧のコントロール状態、嚢胞全体の増大スピードなどによって進行速度は異なります。そのため医師は、クレアチニン値の推移だけでなく、年齢や性別を考慮して腎臓のろ過パワーを算出した「eGFR(推算糸球体ろ過量)」という指標も組み合わせて腎機能を総合的に評価します。eGFRの値が低いほど腎機能低下が進んでいることを示しており、これらの数値を定期的にモニタリングしながら、治療や生活指導が進められます。

まとめ

多発性嚢胞腎(PKD)は、遺伝的な背景を持ち、クレアチニン値の上昇とともに腎機能が徐々に低下していく疾患です。家族歴のある方や健康診断で異常を指摘された方は、早めに腎臓内科や内科を受診し、専門的な評価を受けることが大切です。治療費については指定難病制度や高額療養費制度を活用することで負担を軽減できる可能性があります。一人で抱え込まず、担当医や医療ソーシャルワーカーに相談しながら、長期的に向き合っていただければと思います。

参考文献

難病情報センター「多発性嚢胞腎(指定難病67)」

国立国際医療センター「多発性嚢胞腎について」

厚生労働省「健康・医療高額療養費制度を利用される皆さまへ」

難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」

日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」

配信元: Medical DOC

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