「 先天性耳瘻孔」を発症した人に起こる症状をご存じですか?【医師監修】

「 先天性耳瘻孔」を発症した人に起こる症状をご存じですか?【医師監修】

先天性耳瘻孔の治療

多くの耳瘻孔は症状がない限り治療の必要はありません。穴があっても生活に支障がなく、感染も起こさなければ、そのままにしておいて問題ありません。

ただし、何度も感染を繰り返す場合や、うみが出てくる状態が続くようであれば、手術で瘻管(穴の奥に続く管)を取り除くことが勧められます。手術は皮膚を切開して、瘻管を根元から丁寧に取り除く必要があります。感染が起きているときは、まず抗生物質で炎症を抑えてから、後日手術を行うことが一般的です。

感染が軽い場合は、抗菌薬の飲み薬やぬり薬で治療を行い、様子を見ることができます。まれに膿瘍ができて膨れてしまった場合には、膿を抜く処置が必要になることもあります。

先天性耳瘻孔になりやすい人・予防の方法

この病気は生まれつきのものであり、生活習慣や食事などで予防することは難しいとされています。ただし、親や兄弟に耳瘻孔がある場合には、遺伝的に発生する可能性も考えられます。

また、BOR症候群などの他の先天的な病気に関連していることもあるため、耳瘻孔だけでなく他の症状(難聴、腎臓の異常、首の穴など)が見られる場合には、早めに小児科や耳鼻咽喉科に相談することが大切です。基本的に耳瘻孔は珍しい病気ではなく、多くの場合は問題なく一生を過ごせます。無症状であれば定期的な診察や治療は不要です。ただし、感染が起きたときには小児科や耳鼻咽喉科を受診し、必要な処置や治療を受けるようにしましょう。


参考文献

千田いずみほか:先天性耳瘻孔.小児耳鼻咽喉科,第2版,金原出版,2017

Kim JR, et al:Int J Pediatr Otorhinolaryngol 78:1843–1848, 2014

An SY, et al:Int J Pediatr Otorhinolaryngol 78:2255–2257, 2014

Morisada N, et al:Pediatr Int 56:309–314, 2014

池田均:小児耳鼻咽喉科,第2版,金原出版,2017

有本友季子:小児科診療 82(8):1025–1031,2019

配信元: Medical DOC

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