
DVや虐待、深刻な家庭内トラブルに直面する依頼者たちを命がけで救出する「夜逃げ屋」。その緊迫した現場の実態を、実際にスタッフとして働く漫画家・宮野シンイチ(@Chameleon_0219)さんがリアルに描き、SNSや書籍で爆発的な人気を博しているのが『夜逃げ屋日記』だ。



家庭内の経済的虐待や孤立が深刻な社会問題として議論されるなか、今回は第36話から第37話のエピソードをピックアップ。依頼者は、交通事故で母親を亡くし、自身も足に障害を抱えて車いす生活を送る松下ホノカさん(25歳)。母の死後、実の父親は彼女を置いて蒸発したが、4年が経過したある日、突然何食わぬ顔で自宅へ戻ってきた。そして、ホノカさんが受給している障害年金や、亡き母の遺産を自分の娯楽のために好き放題に使い始めたという。
■年金支給日に決行せよ!口座凍結を狙う頭脳戦の幕開け
実の親からの非道な搾取に限界を迎えたホノカさんは、現状を打破するために夜逃げを決意する。障害年金の支給は2カ月に1度。次の支給日までに何としても逃げ出さなければならないが、無職の父親は1日中家に引きこもっていることが多く、実行のタイミングがつかめずにいた。夜逃げ屋の社長と宮野さんが父親の行動パターンを探ると、「障害年金の支給日当日、父親は1日中外で飲み歩く」という強欲な習性が浮き彫りになる。
作戦は、その支給日に決行することに決まった。同時に障害年金の振込先口座を差し止める手続きを行い、金が引き出せずに焦った父親が右往左往している隙に、一気に荷物を運び出して時間を稼ぐ。そんな極限の頭脳戦が幕を開けるが、万全に見えた作戦の裏で彼女たちを翻弄する想定外の事態が待ち受けていた――。
■「娘のお金で娯楽に耽る姿は卑劣」現役スタッフが痛感した闇
障害をもつ我が子を食い物にし、酒に溺れる父親の姿。この信じがたい実態について、宮野シンイチさんは当時の胸中を次のように語った。
「家族の生活のため、食費や水道光熱費などに使うということなら理解はできるんですが、自分の娯楽のために娘の障害年金を使うというのは、卑劣なことだと感じました。ただ、社長から聞いた話だとこういったケースは過去にも何件か受けたことがあるらしく、闇の深さを実感しました」
血のつながった家族だからこそ逃れられない、現代社会のセーフティネットの死角。宮野さんの作品は、単なるフィクションを遥かに凌駕する「現実の恐ろしさ」を突きつけてくる。
取材協力:宮野シンイチ(@Chameleon_0219)
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