自転車部品大手のシマノが下請け業者に金型を無償で保管させていたことなどが下請法違反にあたるとして、公正取引委員会は9月17日、同社に対し再発防止や保管費用の支払いなどを勧告した。
●「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」に該当
公取委によると、シマノは2023年12月以降、製品の発注を長期間おこなわないにもかかわらず、下請事業者121名に計4313個の金型などを無償で保管させていた。さらに現状確認などの棚卸作業を年2回おこなわせていたという。
これらの行為が下請法で禁じられている「不当な経済上の利益の提供要請」にあたると認定された。
勧告では、シマノに対して、金型などの保管や棚卸にかかった費用に相当する額を公取委の確認を得たうえで速やかに下請事業者に支払うこと、さらに同様の行為をしないよう従業員などに周知することを求めた。
●シマノ「お取引先様に心配とご迷惑をおかけした」
シマノは同日、勧告を受けて声明を発表。「お取引先様をはじめ関係者の皆様には、ご心配とご迷惑をおかけしておりますことを心より深くお詫び申し上げます」と謝罪した。
公取委が指摘した行為によって下請け業者に生じた費用については「既に当該すべての下請事業者様に当該費用に相当する額のお見積りを依頼し、このうち請求の意向を示された下請事業者様に対しましては、協議の上でお支払いするべき金額を確定させた上で、お支払いしました」と説明した。
さらに「下請法遵守のための社内教育の見直しやチェック体制の強化などを実施し、これらの取り組みを全役職員に周知徹底することでコンプライアンスの一層の強化と再発防止に努めてまいります」としている。

