緊急地震速報は地震予知ではない
緊急地震速報は、震度5強以上の強い揺れが発生すると予想されるときに発表されます。
地震には、大きな揺れを感じる「S波」(秒速4km)、ほとんど揺れを感じない「P波」(秒速7km)と呼ばれる2種類の地震波があり、この秒速の違いをもとに緊急地震速報が発表されます。
全国に設置している地震計、震度計などがP波をキャッチした後、続くS波(本震)に備えることが緊急地震速報の目的です。
緊急地震速報が発表されてから、数秒~数十秒で本格的なゆれが始まります。「たった数秒~数十秒?」と思うかもしれません。しかし、数秒~数十秒間で転倒リスクのある家具や家電から離れることができますし、屋外なら倒壊リスクのある建物から離れることもできます。
なかには「緊急地震速報イコール地震予知」と思う方もいるかもしれません。しかし、緊急地震速報は地震の発生後に発表されるため、地震予知ではありません。
いつ起こるかわからない地震に備えることが大事
繰り返しになりますが、地震予知は難しいのが現状です。しかし、「南海トラフ地震臨時情報」や「緊急地震速報」のように地震防災につながる情報は増えています。
こうした地震情報を知り、活用することはあなた自身の身を守ることにもつながります。地震はいつ起こるかわからない災害ですから、日本のどこに住んでいても大地震に見舞われる恐れがあります。気象災害のように予知ができないからこそ、普段の備えが防災に役立ちます。
「地震発生時の行動を家族で話し合う」「防災用品をそろえる」「家具や家電を固定する」など、今すぐにできる地震対策もあります。
「もしかしたら今日、明日中に大地震が起こるかもしれない」と危機感をもって、地震に備えましょう。
(記事の一部内容を2025年10月14日に更新)
〈執筆者プロフィル〉
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。
