「腟カンジダ症」の治し方は“市販の薬”?知るべき『5つの症状』を医師が解説

「腟カンジダ症」の治し方は“市販の薬”?知るべき『5つの症状』を医師が解説

腟カンジダ症は、どのような仕組みで起こるのでしょうか?また、日常生活のどのような習慣や状況がリスクを高めるのでしょうか。このセクションでは、腟内の細菌バランスが崩れるメカニズムと、カンジダ菌が増殖しやすくなる代表的な原因やリスク因子について詳しく取り上げます。

西野 枝里菜

監修医師:
西野 枝里菜(医師)

【経歴】
東京大学理学部生物学科卒
東京大学薬学部薬科学専攻修士課程卒
名古屋大学医学部医学科卒
JCHO東京新宿メディカルセンター初期研修
都立大塚病院産婦人科後期研修
久保田産婦人科病院
【保有資格】
産婦人科専門医
日本医師会認定産業医

腟カンジダ症の女性特有の症状と受診の目安

腟カンジダ症は、症状の現れ方や強さに個人差がありますが、デリケートゾーンに起こるいくつかの非常に特徴的なサインがあります。初期のうちに変化に気づいて迅速かつ適切に対処するためにも、女性に現れやすい症状の特徴を正しく知っておくことが大切です。このセクションでは、代表的な症状と、医療機関を受診すべき具体的なタイミングや注意点について詳しく説明します。

腟カンジダ症の代表的な症状

腟カンジダ症の症状は、外陰部から腟の内側にかけての粘膜部位に集中して現れます。代表的な症状として広く知られているのは以下の通りです。

強いかゆみ:外陰部や腟口周辺に耐えがたい激しいかゆみが生じます。特に就寝前の布団の中など、身体が温まる夜間に悪化しやすいとされています。
特徴的な白いおりものの増加:カッテージチーズやヨーグルト、ポロポロとした酒かすに例えられるような、白くボソボソ・ポロポロとしたポロポロ状の性状のおりものが急増します。
外陰部の赤みや腫れ:真菌の増殖による炎症反応により、デリケートゾーンの皮膚が赤くかぶれ、腫れぼったい感覚を伴います。
排尿時の痛みやヒリヒリ感:炎症で敏感になった皮膚やおしっこの出口に尿が触れることで、ジュッと熱くしみる刺激感(排尿痛)が生じます。
性交時の違和感や痛み:摩擦によって粘膜が刺激され、性交時に強い違和感や擦れるような痛みを伴うことがあります。

なかでも、「外陰部全体の激しいかゆみ」と「白いポロポロとしたおりものの変化」は、腟カンジダ症を疑う決定的なきっかけとして最も多く報告されています。ただし、かゆみやおりものの異常は、他の感染症(泡状で悪臭を伴うトリコモナス腟炎や、細菌性腟症、クラミジア感染症など)でも現れる共通の症状です。見た目や感覚だけで自己判断することは病気を見誤る原因となるため、慎重な対応が必要です。

受診を検討すべきタイミングと注意点

薬局やドラッグストアで購入できる市販の腟カンジダ再発治療薬(腟錠や塗り薬などのスイッチOTC医薬品)は、「過去に一度でも医師から『腟カンジダ症』と確定診断を受けたことがあり、今回も全く同じ症状(再発)である場合」に限り使用が法律上認められています。

したがって、以下のようなケースに該当する場合は自己判断での市販薬の使用を絶対に避け、速やかに産婦人科・婦人科などの専門医療機関を受診することが推奨されます。

今回が初めて症状が現れた場合(初発):他の感染症との鑑別検査が必須となるため、市販薬は使用できません。
市販の再発治療薬を3〜4日間使用しても改善の兆しがない、または悪化した場合
短期間(1ヶ月に複数回など)で頻繁に再発を繰り返す場合
妊娠中、または妊娠の可能性がある場合
発熱や激しい下腹部痛、強い悪臭(魚くさい臭いなど)を伴うおりものがある場合

特に妊娠中の場合は、自己判断での投薬が胎児へ影響を与えるリスクを考慮し、使用できる薬剤の選択や投与方法が通常と異なるため、必ず主治医の診断を受ける必要があります。また、症状がよく似ていても全く異なる感染症であった場合、カンジダの薬を使用することでかえって炎症を悪化させてしまう危険性もあります。受診に心理的な恥ずかしさやハードルを感じる方もいらっしゃいますが、腟カンジダ症は女性の約5人に1人が生涯に一度は経験すると言われるほど決して珍しい病気ではなく、婦人科では日常的に対応しているごく一般的な疾患です。我慢せず早めに専門医に相談しましょう。

まとめ

腟カンジダ症は、女性であれば誰もがかかりうるありふれた疾患であり、適切な治療によって改善が期待できます。外陰部のかゆみや白いおりものの変化に気づいたら、早めに対処することが大切です。薬の種類や使い方を正しく理解し、症状が続く場合や再発を繰り返す場合は、婦人科や産婦人科などの医療機関に相談することを検討してみてください。日常生活の工夫と適切な治療の組み合わせが、腟カンジダ症との上手な付き合い方につながります。

参考文献

国立感染症研究所「性感染症サーベイランス」

厚生労働省「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」

日本産婦人科医会「女性の健康Q&A」

配信元: Medical DOC

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