尿膜管遺残症の治療
治療の第一選択は手術です。感染を起こしている場合には、まず抗菌薬や膿を出す処置をして炎症を抑え、その後に手術を行います (参考文献1)。
手術の方法は尿膜管遺残のタイプによって異なります。お腹に小さな穴を数か所あけ、そこから機材をいれて手術をする腹腔鏡手術は体への負担が少ないですが、膀胱に近いところまで尿膜管が開いている場合には下腹部を切開する開腹手術が選択される場合があります (参考文献1)。
新生児や乳児期の尿膜管遺残は自然に治ることがあるため、手術をする時期については慎重に決めます (参考文献1)。
尿膜管遺残症になりやすい人・予防の方法
尿膜管遺残症は生まれつきの疾患であり、生活習慣などで予防することはできません。発症リスクが高い人の特徴も明らかにはなっていません。
尿膜管遺残症に起因する尿路感染症に限りませんが、尿路感染症を繰り返すと大人になってから腎機能の低下や高血圧に悩まされることがあります。そのほか尿膜管遺残は尿膜管癌の原因になることが知られています。尿膜管癌は自覚症状がでにくく、見つかった時には進行していることが多いです。尿膜管癌に対する第一選択の治療は手術ですが、腹腔内に癌が散らばった状態である腹膜播種をきたした状態で見つかることも多く、手術ができない患者さんも少なくありません (参考文献3)。化学療法も選択肢になりますが、どの薬で治療するのがよいのか、意見が定まっていないのが現状です。
症状の項で解説したような症状がある場合には早めに医療機関を受診してください。感染症を繰り返すことによる合併症や、尿膜管癌を予防することができます。
参考文献
一般社団法人日本小児外科学会. 小児外科で治療する病気 臍腸管遺残・尿膜管遺残(参照日: 2025.08.30)Cleveland Clinic. Urachal Remnant. Last reviewed on 09/29/2022
国立がん研究センター 希少がんセンター. 尿膜管がん (にょうまくかんがん). 2024.4.28

