低血圧の薬物療法

低血圧の治療に薬を使うことはありますか?
症状がない場合には、一般に積極的な治療の対象とはなりません。一方で、めまいやふらつきなど症状がある場合には、症状の程度と原因に応じて、薬物療法が検討されることがあります。
本態性低血圧では、まず生活習慣の見直しが基本となりますが、症状が強い場合には薬の使用が考慮されます。
起立性低血圧や食後低血圧では、原因への対応や非薬物療法が優先されますが、改善が不十分な場合には薬物療法が用いられることもあります。
また、症候性低血圧では、原因となる病気の治療が優先されますが、それと並行して、低血圧の症状に応じた薬物療法が行われることもあります。
低血圧の治療に使われる薬の種類を教えてください
低血圧の治療に用いられる薬剤は、血圧を上げる薬(昇圧薬)と、循環血液量を増やす薬が中心となります。
前者の代表的なものには、ミドドリン塩酸塩、アメジニウムメチル硫酸塩、エチレフリン塩酸塩などがあります。
また後者には、鉱質コルチコイド(フルドロコルチゾン)やエリスロポエチンなどがあります。
そのほか、ドロキシドパや塩化ナトリウム(食塩)が処方されることもあります。
ただし、低血圧の原因や基礎疾患によって選択される薬剤は異なるため、使用にあたっては医師とよく相談することが大切です。
編集部まとめ

低血圧は日常生活に支障をきたすこともあり、背景に重大な病気が隠れている場合もあります。めまいやふらつきなどの症状が続く場合は軽視せずに、早めに医師へ相談することが大切です。
また、日常生活の習慣によって、ある程度症状が軽減できる可能性もあります。
食生活の見直しや、水分や塩分の適切な摂取、睡眠や運動習慣の改善などを、医師と相談しながら無理のない範囲で少しずつ取り入れてみましょう。
特に高齢の方や、持病のある方は、低血圧が思わぬ転倒やけがにつながることもあります。体調に不安があるときは、遠慮せず医療機関を受診しましょう。
日頃から自分の血圧の傾向を知っておくことも、変化に気付くための第一歩です。
参考文献
健康長寿ネット. 低血圧.起立性低血圧. 昭和医会誌 2011; 71(6): 523–529.
高齢者の食後低血圧. 日本老年療法学会誌 2024; 3: 1–9.
福岡県薬剤師会

