
しかし彼女には霊感が皆無だった。幽霊の姿も見えなければ気配を感じることもない。さっさとお風呂に入り、髪の毛を乾かし、部屋の電気を消して眠りについた…。その間、ずっとつきまとっている恐ろしい形相の女の幽霊…この結末やいかに!?無事に朝は迎えられるのか?

本作『霊感ゼロ』を読んだ読者からは「霊感ゼロは幸福なギフトだよ」「これ、深夜に気配を感じて怖くなったときに考えるやつだ」の声があがった。本作を描いたのはホラー漫画を得意とする清澄 巴(@kiyosumi6R6152)さんである。「コミティアに参加してみたいと思い立ち、得意分野のホラーで頭の中にあった話をいくつかピックアップして、しっかりと描き出してみました」といい、本作はその中の1作品である。清澄 巴さんに詳しく話を聞いてみた。

――ホラー漫画なのにタイトルは『霊感ゼロ』。この構想を考えたきっかけなどを教えてください。
これは私自身が全く霊感がなく、生まれてこのかた一度も怪奇現象・心霊体験に遭遇したことがないんですよね。でも、その分かなり怖がりなんです!旅行先で泊まったビジネスホテルでのシャワー中や寝るときに、よせばいいのについついホラー映画などを思い出してしまって…勝手に怖くなってしまうんです。そんなときに、「本当に“ナニか”がいたとしても全くその存在に気が付かなかったら…?それはいないのと同じかもしれない」「たとえ“ナニか”がいて、それが見えたとしても、見た人間が不思議とも怖いとも思わない場合は…?」といったことを、ふと考えたのがきっかけです。
――本作の主人公は霊感ゼロなので事なきを得ていますが、清澄 巴さんの他のホラー作品ではさまざまな恐怖が描かれています。ホラー漫画を描くうえで大切にしていることを教えてください。
ホラー作品を読んだり描いたりしていると「何をやっても太刀打ちできない」という最強の怪異ももちろん怖いのですが、ある程度ルールや法則を持った怪異のほうが逆に緊張感が増すのではないかと個人的には思っています。例えばホラーでありがちな「返事をしてはいけない」や「〇時以降には入ってはいけない」などの縛りなどがそれです。なので、「それさえクリアできれば助かるかもしれないくらいのに…」という塩梅でルールを設けるようにしています。
――なるほど!清澄 巴さんのほかの作品にはたしかに“法則”が登場していますね!
はい。たとえば『山にいるモノ』の場合は、「人間は音をたててはいけない」「怪異は車やバイクに追いつけるほど足は速くない」「怪異は山からは出ることはできない」といったものにしました。そういったルールがあると、読んでる人も思わず息を止めてしまうような緊張感が生まれるのではないか、そういった緊張感を出せたらいいなと思って描いています。

清澄 巴さんは「ホラー作品は日常の中でヒントを得やすく、自分の中では描きやすいジャンルなんです」と教えてくれた。日常で見つけたヒントだからこそ、次の瞬間に自分にも起こりうる可能性を秘めていて、恐怖がジワジワと迫ってくるのだろう。ひとりで古めのビジネスホテルに宿泊する際は、この話を思い出さないように要注意だ。
取材協力:清澄 巴(@kiyosumi6R6152)
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