娘がまだ生後6カ月だったころのお話です。赤ちゃん・子どもOKのコンサートに一緒に行ったのですが、席がなかなか見つからなくて焦っていました。やっとの思いで席に着き、開演を待っていたところ、突然後ろの座席から手が伸びてきて……。
突然赤ちゃんを触る非常識男性に喝!
近所の市民ホールで、赤ちゃん・子どもOKの吹奏楽コンサートが開催されることになりました。娘は生後6カ月でしたが、普段から抱っこされていれば機嫌がよく、音楽が流れるとうれしそうに笑う子だったので、「娘も喜ぶし、子育ての息抜きにいいかも」と2人で出かけることにしました。
コンサート当日会場に入ると、無料だったこともあり、ほとんど席が空いていない状況。抱っこ紐で娘を抱えながらあちこち探し回り、やっとの思いで席を見つけて座りました。「ホッ」と安堵して腰かけ、娘を抱っこ紐から降ろして、前向きに抱っこし直した、そのときです。私の背後から、突然手が伸びてきます。「えっ?」と思った次の瞬間、その手は娘のほっぺたをツンツンとつついたのです。
「ひぃっ! 何っ?」と思わず叫び、反射的に娘をギュッと抱き寄せて体を引き離しました。娘もドキドキしたのか「ふぇっふぇっ」と今にも泣きそうな様子。必死に宥めながら後ろを振り向くと、中年男性が座っています。しかし私が咄嗟にガードしたのが気に入らなかったのか、男性は一瞬で不機嫌な顔になり、「なんだよ、減るもんじゃないだろ!」「せっかくかわいがってやろうとしたのに、感じ悪いな」と、急に大きな声で怒ってきたのです。
見知らぬ人から急に触られただけでも怖いのに、避けただけで威圧的に怒鳴られ、私は完全に恐怖で固まってしまいました。さらに「ったくよ、最近の女は指ひとつでキレてくるよな」「そういうの自意識過剰って言うんだよ」と男性が身を乗り出して説教をしてきました。
すると横から「勝手に触っておいて、嫌がられたら怒鳴るなんて何考えてるの! 赤ちゃんもママも怖がってるでしょ!」と怒声が上がりました。男性とひとつ空席を開けて隣に座っていた70代くらいのおばあさんが、見かねて注意してくれたのです。おばあさんは続けて「見知らぬ人からわが子を守るために警戒して何が悪いの! 自分の指ひとつで他人が喜ぶと思ってたなら、自意識過剰なのはあんたの方でしょ!」と一歩も引かずに毅然と一喝してくれました。
男性は「触ったくらいで大げさなんだよ」とブツブツ言い返そうとしましたが、周囲の観客からも「なになに?」「急に怒鳴って何なのあのおじさん」と非難の視線が一斉に注がれました。事態に気づいたスタッフさんがこちらに向かってくるのも見え、男性は分が悪いと察したのか、聞き取れない捨て台詞を吐き捨てて怒り気味に席を立ち、そのまま退場していきました。
おばあさんに「すみません、ありがとうございました……」とお礼を伝えると「びっくりしたでしょうに。ママは何も間違ってないわよ」と励ましてくれました。その後、周囲の観客に心配されながら、娘をぎゅっと抱きしめて席に座り直した私。幸い娘にけがはなく、ほっぺたも傷ついていなかったので、コンサートは娘と一緒に最後まで楽しむことができました。しかし、驚きと恐怖のせいか、どこか心は落ち着かないままでした。
死角からの接触や、相手の身勝手な逆ギレは、どれだけ気をつけていても親一人で防ぎきれないことがあると痛感した今回の一件。危機を感じたらすぐに距離を取ることの大切さを改めて感じるとともに、迅速に助けてくれたおばあさんのように、私も困っている人にすぐ手を差し伸べられる大人でありたいと思った出来事でした。
著者:工藤小夜/30代・ライター。1歳の女の子を育てるママ。好奇心旺盛でおちゃめな娘に振り回されながら、日々癒されている。口癖は「今日の夕ごはん何にしよう……」であり、日々の献立に頭を悩ませている。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)

