
美しい正統派のビジュアルと説得力ある演技で日本のドラマ・映画界をけん引する俳優・岡田将生が、8月15日に37歳の誕生日を迎えた。デビュー以来、俳優としての表現領域を広げ続け、端正なルックスから抱かれるイメージをいい意味で裏切るキャラクターも数多く演じてきた。最新作「殺し屋たちの店 2」では海外に進出。本格的な対人アクションにも初めて挑み、新たな顔を見せた。誕生日をきっかけに、そんな岡田の軌跡をあらためて振り返ってみたい。(以下、出演作のネタバレを含みます)
■“美しいのに、まともじゃない”キャラの系譜
岡田は1989年8月15日生まれで、17歳の時に「東京少女」(2006年、BS-i※現:BS-TBS)でドラマデビュー。その後、映画やドラマ、舞台など合わせて100を超える作品に出演してきた。
高校の制服姿も爽やかだった映画「天然コケッコー」(2007年)など、美しいビジュアルを生かして一気に映画界の若手注目株に躍り出た時代を経て、20代に入ると、正統派のルックスから人々が抱くイメージをあえて裏切るキャラクターが多くなっていく。
映画「告白」では、善意ゆえに意図せず周囲を追い詰めていく教師。「悪人」(ともに2010年)では、傲慢で軽薄な、他者を傷つけても悪びれない御曹司――このあたりから、“美しいのに、まともじゃない”キャラクターを演じる機会が増えた。
「ゆとりですがなにか」(2016年、日本テレビ系)での美貌を忘れさせるほど人間くさい“ゆとり第一世代”の会社員、「大豆田とわ子と三人の元夫」(2021年、フジテレビ系)での理屈っぽくひねくれ者の弁護士、映画「CUBE 一度入ったら、最後」(2021年)での人懐っこいが精神的に危ういフリーター、「さんかく窓の外側は夜」(2021年)での人の感情に無頓着な除霊師…と、幅広い作品で、端正なビジュアルから想像される“まともさ”を爽快に裏切っていく意外性あるキャラクターも多い。
30代に入ると、その傾向はさらに加速。「ドライブ・マイ・カー」(2021年)での“何を考えているのか分からない”俳優や、「ゴールド・ボーイ」(2024年)での“一見人を殺すようには見えない殺人犯”など、持ち前の美貌とのギャップが著しいキャラクターが注目を集めてきた。
■「将生さんの魅力?イケメンでしょう!」
そんな、“美しいのに、まともじゃない”キャラクターの現時点での到達点ともいえるのが「殺し屋たちの店 2」(ディズニープラス スターで全話独占配信中)の傭兵・Jだ。
主人公チョン・ジンマン(イ・ドンウク)を捕らえるため、世界的な傭兵組織「バビロン」の東アジア支部からチームリーダーで姉のQ(玄理)と共に派遣されてきたJ。
制作発表でイ・グォン監督が開口一番「将生さんの魅力ですか?まずイケメンでしょう!」と語った通り、美しいビジュアルを生かしたスタイリッシュな役柄。同時に監督はJについて、殺しという任務を遂行しながらも「ビートの効いた音楽を聴いたり服装で遊んだり、自分をすごく楽しんでいるキャラクター」だとも語っている。

■“大人と子どもが共存”するキャラクターを好演
さらに、岡田自身もJの役どころについて「好奇心旺盛でとても危険な、危うい香りを持った人物。大人と子どもの両面を持ったキャラクター」と説明している。
誰もが目を奪われる“爽やかイケメン”でありながら、傭兵としての仕事を楽しむ危うさを持ち、“大人と子どもが共存”する人物。これこそまさに、岡田自身が20代の頃から培ってきた“美しいのに、まともじゃない”キャラクターの系譜に連なる存在ではないか。
配信前に公開された予告動画から、Jがジンマンに対峙(たいじ)するシーンでニヤリと笑い、実に面白そうに「久しぶりだな」と英語でささやく場面も確認できる。
一方で、この「殺し屋たちの店 2」は岡田にとって、俳優としての領域を一気に広げる新たな挑戦が2つも入っている。それが“海外ドラマへの挑戦”であり、“本格アクション”だ。
■「また新しいキャリアを作っていけると思いました」
岡田は、今作が韓国ドラマはもちろん海外制作ドラマへの初挑戦でもある。当メディアのインタビューでは、オファーを受けた経緯について「僕自身ずっと新しい刺激が欲しくて、“今年こそは何か違うことをしたい”と思っていたときにこのお話を頂いて、『挑戦したい!』と。また新しいキャリアを作っていけるなと思いましたし、すごく運命的なタイミングでした」とコメント。
日本とは異なる環境だった撮影現場での経験についても「同じ空間で皆さんとご飯を食べて、みんなでスタジオに歩いて戻って撮影が始まるっていうのも一体感が増すというか、すてきだなと思いました。あと、とにかくスタジオが広かった!」と、実に楽しそうに語っていた。
「殺し屋たちの店」シリーズは、アクションシーンの完成度に定評のある韓国ドラマの中でも特に、アクションに力を入れた作品であり、出演決定時に、岡田は「僕自身、アクションはあまり経験はありませんが、練習のために韓国に渡り教えていただいています」とコメントしていた。
岡田はバスケットボール経験者で、2012年の「未来日記-ANOTHER:WORLD-」(フジテレビ系)でアクション自体は経験しているが、今回求められたのは、本格的な対人バトルアクション。
先のインタビューで「アクション練習初日はつらすぎて吐いてしまった」とも打ち明けたが、本編で披露しているアクションはキレッキレ。アクション監督も岡田について「教えれば教えるほどスポンジのように何でも吸収する俳優」とコメントするほどの上達ぶりで、当初はスタントマンが担当する予定だった、フルフェイスヘルメット姿での戦闘アクションも、代役を立てずに自ら演じた。岡田は「『やれるだろ?』と言われて、じゃあちょっと練習しよう…って」と振り返っている。
俳優としてのキャリアを通じて「爽やかなイケメン俳優」から、傲慢だったり、空気が読めなかったり、ひねくれ者だったり、何を考えているか分からなかったり…“美しいのに、まともじゃない唯一無二の俳優”として作品ごとに進化を遂げてきた岡田。今回、これまで培ってきたその持ち味に新たに“世界進出”と“身体性”が加わった。
20代、30代と、絶えず表現の幅を広げてきた岡田。そんな彼にとって、新たに2つの持ち味を獲得した2026年も長い俳優人生における一つの通過点に過ぎないのかもしれない。37歳を迎え、この先どのような役柄で新たな顔を見せてくれるのか、期待したい。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

